宮城県石巻市の末永海産株式会社(末永寛太社長、電話0225・24・1519)が製造販売する「漁師の潮煮(うしおに)3種セット」が、今年度の全国水産加工品総合品質審査会(全国水産加工業協同組合連合会主催)で最高賞の農林水産大臣賞を受賞した。三陸の豊かな海で育ったホヤ、カキ、ホタテの潮煮をそろえ、観光客らにPR。末永社長(42)は「漁師直伝の製法で素材そのままの味わいを楽しめるのが自慢。名産品に育て上げたい」と喜ぶ。表彰式は24日に都内であり、今年秋には国主催の農林水産祭に出品される。
岩手県内の秋サケ漁が記録的な不漁に苦しむ中、大槌町の新おおつち漁協(平野榮紀組合長)は日本水産株式会社(東京都、的埜明世社長)など4者と連携協定を結び、ギンザケとトラウトサーモンの海面養殖を試験的に始める。事業化を視野に入れた取り組みで、数年以内に年間生産量2000~3000トンを目指す。町内で養殖の一貫生産体制を確立し、加工業者への安定供給やブランド化につなげたい考えだ。
宮城県石巻市の水産加工・有限会社マルセ秋山商店(秋山英輝社長、電話0225・24・0822)は、放射光を活用した冷凍食品の研究開発に取り組んでいる。超高性能の巨大な「顕微鏡」で水産物の身質などを調べ、筋繊維の向きなどから凍結方法を選択。消費期限や鮮度、品質の向上につなげている。秋山繁専務は「おいしさを客観的に可視化したい」と話す。マグロやカキなどに合った凍結方法を3月に公表する予定だ。
カキやホヤ、ムール貝などの生産から加工・販売はじめ、オイスターバーの経営まで手掛ける株式会社海遊(宮城県石巻市雄勝町、電話0225・25・6851)。「生産者が食品衛生やリスク管理まで責任を持つことが大事。消費者も、作り手の顔が見える安全・安心を求めているはずだ」。自らもカキ養殖を行う社長の伊藤浩光さん(58)は、6次産業化を推進する理由をこう明かす。所得向上や雇用創出も生み出す「強い漁業」を目指す。
昨年6月の「G20大阪サミット」でも主要テーマに挙がったSDGs(持続可能な開発目標)。その目標のひとつ「海の豊かさを守ろう」では廃プラスチック製品による海洋汚染が世界的に環境問題として認識され、海をなりわいとする水産関係者に率先した行動が問われている。昨年、青森県八戸市では港単位・関係者連携で全国初の宣言を実施。北海道では漁協系統運動として「脱・抑プラスチック」を決議。具体的な取り組みが始動している。
ウニやワカメの加工・卸売などを手掛ける株式会社ひろの屋(岩手県洋野町、電話0194・65・2408)。今年5月に創業10年を迎える若い会社だが、中小企業庁の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選出されるなど未来を見据えた事業展開が注目を集めている。磯焼け対策の一環で取り組む、配合飼料を活用したウニの養殖技術開発もその一つ。社長の下苧坪(したうつぼ)之典さん(39)は「海の恵みと美しさを次世代に引き継いでいくことが、水産業に携わる者に課せられた使命だ」と熱く語る。
青森産技水産総合研究所資源増殖部の遊佐貴志研究員は2日、青森市の県水産ビルで開かれた陸奥湾地区水産振興研修会で「最近のマナマコをめぐる社会情勢と生態研究結果」と題して講演した。マナマコの成長速度などを紹介しながら、持続可能な資源管理の在り方を探った。
青森県漁連(三津谷廣明会長)が昨年10月から青森市港町2丁目に建設を進めてきた県水産物の流通拠点施設「JF青森漁連流通PRセンター」が完成した。最新の急速凍結技術「プロトン凍結」を用いて年中出荷できる高品質な冷凍加工品を作り、漁業者の所得向上につなげる。市民らが気軽に来場できる販売スペースも設けた。14日にオープニングフェアが開催される。
青森県陸奥湾の2019年度秋季実態調査結果によると、19年産(稚貝)のへい死率は、分散済みの全湾平均値が8.9%と平年値(過去34年間の平均値)より4.5ポイント上回り過去3番目の高さとなった。18年産(新貝)のへい死率も30.2%と平年値を16.1ポイント上回る過去4番目の高さ。県は8~9月の高水温で衰弱したものと指摘している。
岩手県の久慈市漁協(皀健一郎組合長)が本年度から取り組む、久慈湾でのギンザケ養殖試験の2季目がスタートした。久慈港湾口防波堤の整備に伴い、穏やかになる湾内を活用。1日までに稚魚3万3000尾を投入した。稚魚から越冬させる通年試験は今季が初で、冬場の低水温やシケの影響が焦点となる。ギンザケが品薄となる盆前に出荷し、浜の新たな収入源としたい考えだ。