岩手県産養殖素干しコンブの初入札会が8日、宮古市の県漁連北部支所で開かれた。前年同期比19%減の41トンが出荷され、主力の黒長切はほぼ前年並みの十キロ1万3千円台で取引された。
漁協別出荷量は重茂36トン、田老町5トン。同支所によると、春先のシケ被害などもなく、生産はおおむね順調という。
宮城県漁協石巻湾支所(髙橋文生運営委員長)は、管内で獲れる天然アサリ資源の保護、増大を目指している。東日本大震災で被災し、新たに造成された石巻市の万石浦の干潟で5年前から漁を再開。漁期や漁獲上限、採取サイズを定め、今季は10トンを水揚げした。環境の変化を逆手に取った干潟拡大計画が進行中。水揚量を増やし、ブランド力強化につなげる。
宮城県漁協(寺沢春彦組合長)の通常総代会が6月30日、石巻市で開かれ、当期剰余金2億807万円(前年度比9442万円増)を計上した2021年度決算を承認した。黒字は10期連続。22年度事業計画などの議案も可決したほか、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出に「断固反対であることはいささかも変わらない」とする特別決議を採択した。
秋サケの消流動向は、北海道の水揚げが3年連続の5万トン割れ、三陸も大減産で、親製品、魚卵製品とも昨年産の供給量が低水準。加えて競合する輸入物が高値で推移し、比較的順調に消化が進んでいる。ただ、売り場の縮小、産地の物流・背面処理能力の低下などで突発・集中水揚げ時に相場が下落に転じる状況が顕在化。今期も原魚処理体制の再構築と需要先の堅持・拡充が不可欠となる。
海外マーケットの大幅な需要回復に伴い、昨年から継続する輸出主導のホタテ玉冷。米国の減産や物価高、円安相場が大きく影響し海外需要がけん引する形で新物シーズンに突入した。製品価格は3Sの産地蔵前がキロ3千円台中盤から強含みの展開。このため国内消費は下降の一途をたどっている。量販店に加え、コロナ禍の収束感から動き始めた外食産業の引き合いも消極的。円安進行で「輸出主体やむなし」との見方はあるものの、消費地からは冷静な価格設定を望む声が強まっている。
海の男の心情を歌った曲で知られる演歌歌手・鳥羽一郎さんの新曲のミュージックビデオ(MV)に、一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン(FJ、宮城県石巻市、阿部勝太代表理事)が特別出演した。「カッコよく、稼げて、革新的」という「新3K」の新たな水産業のイメージを確立し、担い手を増やすことを目指すFJ。鳥羽さんがメンバーの心意気に感動し、共演が実現した。
2022年度の半成貝について、青森県漁連では昨年並みの水揚げを想定している。6月末で終漁したが、ネットの付着物が多く水揚げペースが遅れた漁協もあり7月も継続する見通し。これらを合わせた累計は5万5千トン程度となる見通しだ。浜値は初回入札から堅調に推移、最終5回目に200円を突破した。今後のベビー製品の消費動向が注目される。
食品に関わる事業者は元来、食中毒菌などの付着・増殖、異物混入など人体への危害要因を排除することが責務。食品衛生法の改正で2021年6月から、その危害を分析し防止につながる加熱・冷却・包装などの重要工程を継続的に監視・記録する「HACCP」に沿った衛生管理の導入・運用が完全義務化された。本特集では衛生・品質管理の動向や関連機器・システムなどを紹介する。
一般社団法人岩手県さけ・ます増殖協会(大井誠治会長)は、2022年度の秋サケ稚魚放流数を7500万尾とする方針を決めた。県内で人工ふ化放流事業が本格化した1980年代以降、4億~4億5千万尾を目標としてきたが、深刻な不振が続く漁獲実績から大幅に下方修正。改良餌を導入して大型で遊泳力の高い稚魚を生産し、回帰率を上げてサケ資源の回復を図る計画だ。ふ化場の再編に着手し、事業収支の適正化も目指す。
「賠償なんていらない。とにかく流さないでほしい」―。宮城県漁協の組合員を対象に開かれた、東京電力福島第一原発の処理水を海へ放出する政府方針を巡る説明会。原発事故後、信頼回復のため懸命に努力を重ねてきた漁業者は方針の撤回を強く訴えた。放出となれば「沿岸漁業への影響は計り知れない」などと憤りの声も上がった。国や東電の担当者が安全性や風評対策を説明したが、放出を容認する意見は全く出なかった。