ニッスイグループの弓ヶ浜水産株式会社(鳥取県境港市、竹下朗社長)は15日、岩手県大槌町で海面養殖するギンザケの水揚げを開始した。事業化2年目の今季も餌食いが良く成育は順調。7月上中旬までに、並行して養殖中のトラウトサーモン(ニジマス)と合わせ、前季比2倍の計670トンの活じめ出荷を目指す。
海水温の上昇など海洋環境の変化にさらされている水産業。回遊型魚類を中心に水揚げが不安定化する中、各浜では魚介類を育む藻場の再生、種苗放流など資源の安定・増大への取り組みを続けている。併せて後進地の北海道を含めサーモンを主体に海面・陸上での新たな養殖の挑戦も拡大している。「育てる漁業」の技術・資機材の開発動向などの一端を紹介する。
青森県陸奥湾で半成貝の水揚げが最盛期に入った。昨年の採苗不振で大幅に減産となる今季は、5月中旬時点の日産が千トン割れの700~800トンと苦戦。4月~5月15日時点の水揚量は1万499トンで、前年同期の半減に近い。東湾の協力を得て稚貝を移入した西湾各地では、量確保のため小型の稚貝も収容したことからサイズにばらつきも見られる。
株式会社北三陸ファクトリー(岩手県洋野町、電話0194・75・3548)はオーストラリアで、磯焼け海域で採捕したウニを身入りの良い個体に育て直す「再生養殖」事業に乗り出す。来年にも現地生産を開始する計画で、「北三陸の地から世界の水産業の未来を創っていきたい」と下苧坪之典代表取締役CEO(最高経営責任者)。北海道大などと6年かけて確立した技術を生かし、商品価値の低い痩せウニの活用を藻場の保全・再生に役立てて豊かな海を取り戻す。
2023年産三陸ワカメの共販が10日終了した。全漁連東北事業所(仙台市)によると、数量は前年比6%減2万646トンで、過去最低だった21年とほぼ同水準。栄養塩不足による最盛期の生育不良が大きく響いた。減産を受け、平均単価は17%高キロ266円と高騰。金額は9%増54億9258万円だった。
青森県漁連は2023年度ホタテ水揚げ年間計画を確定した。数量は成貝が増加を見込む一方、半成貝の大幅な減少で前年度比24%減5万5500トンと設定。キロ平均単価(税抜き)は7%高207円とし、金額は18%減115億900万円と試算。単価高で金額を補い100億円台を見込んでいる。
コンブ漁場の維持・回復で重要な取り組みの一つが雑海藻の駆除。民間業者による機械式のほか漁業者が自ら行う駆除もあり、道内各地でさまざまな手法で実施、コンブ胞子の岩盤への着生環境を整備している。
「東北復興水産加工品展示商談会2023」が9月26、27の両日、福島県郡山市のビッグパレットふくしまで開かれる。復興水産加工業販路回復促進センター(東京都、代表機関・全国水産加工業協同組合連合会)が2015年から続けており、今年で9回目。東日本大震災で被災した水産加工業の販路拡大を図る。
宮城県女川町の飯子浜でギンザケの海面養殖を手掛ける漁業者、阿部郁也さん(有限会社グルメイト=本社・石巻市=専務、電話0225・22・7270)は活じめにこだわる。祖父の代から40年続く出荷方法を守り継ぐ。「生食用だけでなく加工商材にも最適」と強調。浜の他の生産者と共にグループを作り、水揚げする年間800トンの全てを「みやぎサーモン」として出荷する。封じ込めた鮮度とうま味で浸透を目指す。
岩手県大船渡市の漁業者、佐々木晶生さん(有限会社マルカツ水産=同市三陸町綾里=取締役、電話0192・42・2665)は養殖ワカメの大規模生産に挑戦している。理研食品㈱(宮城県多賀城市)が種苗を供給するなど全面的にサポート。2年目の今季は生産量が前季比2倍の120トン(原藻換算)に達する見込みだ。家業の漁船漁業が振るわず、三陸産ワカメも減産傾向が続く中、「まだまだ勉強中の身だが、規模はもっと拡大できる。地域の雇用創出にも貢献したい」と意気込む。