三陸産ホタテはへい死が増えている。黒潮続流が北上し海水温が上昇した影響とみられる。2023年度の共販数量は宮城県が前年度比19%減の5372トン、岩手県が同8%減の1530トンにとどまった。まひ性貝毒による出荷の自主規制が長期化している浜もある。
陸奥湾主力の半成貝が昨年に続き大幅に減産している。2024年度4~6月の水揚量は、前年同期比44%減1万9990トン。2万6千トン計画の達成率は77%。昨年に続いて7月の水揚げも予定されており、青森県漁連は「計画に届かないまでも2万3千トン近い数量になる」と説明する。最終入札は高値がキロ260円と高騰。ベビー製品の価格上昇も避けられない状況にある。
水産加工のマルサン松並商店株式会社(宮城県塩竈市、松並理恵社長、電話022・367・3003)は、塩竈や七ケ浜町で水揚げされた県産の未利用魚アカエイの漬け商品を開発した。「バター香草」と「金山寺みそ」の2種類。淡白でくせのない白身を生かした。豊富なコラーゲンも魅力といい、女性をメインターゲットに、県内の量販店などで売り出す計画だ。
株式会社イービス藻類産業研究所(宮城県石巻市、寺井良治社長)が、新たな海洋バイオ産業を創出しようと奮闘している。微細藻類「ナンノクロロプシス」の大規模培養技術を国内で初めて確立。タンパク質やエイコサペンタエン酸(EPA)、葉酸といった種類豊富な栄養素と含有量の多さに着目し、食品や医薬品などへの利用を進める。高成長を促す養殖魚の餌としても通年で供給可能。粉末化することで用途の広がりを目指す。
宮城県漁協(寺沢春彦組合長)は6月28日、2024年度通常総代会を塩釜総合支所で開き、23年度の事業報告や収支決算などを承認した。23年度は乾のりやギンザケなど主要5品目全てで数量が振るわなかったものの高単価を維持。販売事業の受託販売取扱高は前年度を0.2%上回る358億3904万円と、東日本大震災以降の最高を2年連続で更新した。
有限会社泉澤水産(岩手県釜石市、泉澤宏社長、電話0193・55・5481)は、釜石湾で養殖するサクラマスとギンザケの水揚げを開始した。両魚種とも輸出を視野に、4月3日付で水産養殖管理協議会(ASC)の国際認証を取得。ブランド力に磨きをかけた。今季は給餌を工夫することで大型化にも成功している。7月中旬までに計400トンの生産を目指す。
公益財団法人宮城県水産振興協会(七ケ浜町、石田幸司理事長)は今年、ホシガレイ種苗の大量生産に成功した。ホシガレイは成長が早くて単価が高く、刺網など多様な漁法で漁獲可能。主要魚種の水揚げ低迷が続く中、特色ある栽培対象種として期待する漁業者も多い。種苗生産技術はおおむね確立されている。漁業所得の向上と資源の維持・増大を目指す。
定置網漁を営む有限会社道下漁業(岩手県大船渡市三陸町越喜来、道下晃嘉社長)の新造船「第十八正伸丸」(アルミ製19トン)が竣工した。国内の定置船で初めて、軽くて高強度で燃費向上につながるカーボン素材のプロペラを導入。荷役作業を省力化するスクープマスターや夜間航行をサポートする暗視カメラも備える。最新技術を詰め込んだ新鋭船で大々漁を目指す。
青森県漁連(二木春美会長)は17日、青森市の県水産ビルで2024年度通常総会を開き、23年度の事業報告や収支決算などを承認した。23年度の総取扱高は計画比99%の295億3506万円で、計画をほぼ達成したものの前年度と比べ45億8553万円(13%)のマイナス。スルメイカやホタテの不漁が響いた。昨夏の高水温による大量へい死の影響でホタテの24年度取扱高が前年度から半減し、70億円を割る見通しも示された。
能登半島地震で被災した石川県漁協青壮年部連合会の竹内大生会長(七尾支所運営委員長)ら5人は12~14日、宮城県を訪れ、東日本大震災の復興状況などを視察した。海底が隆起し、水深が浅くなった石川県内の漁港では、地震から5カ月以上たった今でも船が出せない日々が続く。復興の道を一歩ずつ進める宮城の漁業関係者から多くのエールを受け、「なりわいを取り戻す。絶対に諦めない」と再建を誓った。