北海道の秋サケは低水準の水揚げペースで盛漁期を迎えた。9月中旬に入ってオホーツクが上向いてきたものの、高水温の太平洋側は低調に推移。浜値はオス、メスとも昨年より高値に張り付き、価格形成は今週から水揚げ水準がどこまで拡大するかが焦点になる。
砂原漁協のアカガレイ刺網は、順調な水揚げが続いている。シケが多く日産格差はあるものの平均2トン前後で推移。ソウハチも切れず浜値は好値を付けている。
厚岸漁協の成コンブは台風によるシケで抜け流失、裂けたり傷んだコンブも多い。鈴木康則班長は「漁に出てもコンブがなく日産はいつもの半分。品質も良くない。減産になる」と厳しい表情で話す。
東しゃこたん漁協のエビかご漁はハシリから不調だ。シオムシによる食害が影響。組成も例年より小型に傾斜、単価の高い大型が獲れず、金額も伸び悩んでいる。
8月後半に北海道に上陸・接近が相次いだ4つの台風による水産業の被害推計額が9日時点で52億円に達したことが道の集計で明らかになった。このうち、胆振、渡島の噴火湾での養殖ホタテの脱落・流出が28億円、養殖施設の損壊が7億円以上と、台風10号によるホタテの被害が全体の約7割を占める。
古宇郡漁協のイカ釣り着業者は水揚げしたスルメイカを当日中に札幌市中央卸売市場で販売する「朝出し」を行っている。泊地区から片道2時間ほどと近い好立地を生かし、高鮮度を売り込んでいる。
増毛町のぐるめ食品株式会社(村井良泰社長、電話0164・53・1213)は、主力のたらこ商品=写真=で、生活習慣病予防など健康訴求の減塩食品、加熱調理済みの簡便総菜など新たな切り口で商品開発。消費シーンの拡大で安定消化に臨んでいる。
8月16日から31日にかけて上陸・接近が相次いだ4つの台風は、本道水産業に大きな被害をもたらした。大シケで養殖ホタテは脱落・流出し施設も損壊。高波でコンブ干場の砂利が流出したほか、河川から次々と流木が流れ定置漁場に漂着した。5日現在で7、11、9号による水産被害は176件1億5400万円。10号では634件に上る。道漁協系統5団体などは6日付けで「北海道水産被害合同対策会議」を設置。復旧に向けた支援対策を道などに要請した。
太平洋沿岸などの秋サケ定置では、網入れ作業が大幅に遅れたのに加え、操業開始後も河川から流出した流木の被害に見舞われている。漁場に大量に漂着し、型の破損などの被害も発生。定置業者や漁協など関係者は連日撤去作業に追われている。
「沖は流木だらけ」。1日の網入れから5日経過した6日。3号定置船頭を務める大樹漁協の神山久典組合長は漁場への流木の漂着が一向に収まらない状況に表情を曇らせ「まだ1週間から10日は流木被害が続くだろう」と言葉少なに荷揚げ後すぐに沖に向かった。
根元から抜けた流木も多く、1本1本が大きい。沖では定置船を近づけ、ロープを掛けてユニックでつり上げ、チェーンソーで裁断し、船に積み込む。ひたすらその作業を繰り返す。
北海道の秋サケ定置はメス、オスとも全面高でスタートした。台風や低気圧による出遅れ、休漁も絡んで水揚げが低調な出足となり、メスがキロ800円台半ばから700円台後半中心、オスが400円絡みの高値発進。いくら製品の在庫薄などに加え、工場稼働の原料確保で高止まりの様相も呈しており、製品価格の形成は、秋サケと併せてサンマやイカなど他魚種の水揚げ動向にも行方がかかっている。