北海道の漁業生産は、秋サケ、サンマ、スルメイカの主要魚種が記録的不漁だった昨年をさらに下回る危機的状況に見舞われている。コンブも2年連続の大幅減産。加工・流通業者をはじめ資材、運送など関連業者に影響を及ぼしている。特に道東地域の不振が際立つ一方、マイワシの豊漁など光明も差し込んだ。資源回復策とともに、代替魚種の有効利用など環境変化への対応策が急がれる。
森漁協のナマコけた引が振るわない。水揚げは序盤の10月単月で8割の減産。浜値は薄漁の影響もあり一時キロ4500円に急伸、11月以降は4000円前後と堅調だ。
いぶり噴火湾漁協の稚貝は、変形・欠刻やへい死が昨季より若干多いことが分かった。同漁協は「昨年の稚貝の成育が良過ぎたこともあり特に問題視する数値ではない」としている。
枝幸町で沖底船「第八龍寶丸」を操業する合名会社枝幸水産商会(岩谷隆行社長、電話0163・62・1622)は、前浜産を中心に加工販売事業に取り組んでいる。国内をはじめ海外市場に売り込み。事務所を構える中国・上海に加え、今年からシンガポールへの輸出に乗り出している。
古宇郡漁協の底建網はホッケが振るわない。特に例年まとまる神恵内地区で水揚げが伸びず苦戦している。
4月~10月末の数量は前年同期比72%減の23トン、金額は同53%減の830万円、キロ平均単価は同69%高の353円。刺網や定置の不漁も響き大幅に減産している。
白糠漁協と釧路3単協(釧路市・釧路市東部・昆布森)のシシャモは、低調な水揚げで推移している。白糠・3単協ともに16日現在で操業船全体の日産が数トン程度が大半で、10トンを超えた日は11月10日だけ。着業者は「この後上向くことに期待したい」と終盤での挽回に力を込める。薄漁を映し浜値は高く推移、キロ2000円強まで上昇している。
歴史的不漁で終盤を迎えた北海道の秋サケ。道総研さけます・内水面水産試験場は14日に開かれた道連合海区で、中期までの来遊実績と後期の来遊傾向から、最終の総来遊数が1700万尾前後にとどまる見通しを示した。主群の5年魚(平成24年級)、4年魚(25年級)とも来遊不振となり、特に根室、えりも以東の両海区が顕著。総来遊数の2000万尾割れは1544万尾だった昭和55年以来37年ぶり。
寿都町(片岡春雄町長)の特産品をPRする商業施設「寿都アンテナショップ神楽」が11日、観光地・ニセコ町にオープンした。寿都産魚介類を使った料理を提供するレストランと、寿都漁港から直送販売の鮮魚ショップで構成。国内外からの来訪者に寿都の魅力を発信し、観光客誘致や基幹産業・水産業の振興などにつなげていく。
長万部漁協の稚貝本分散作業は終盤戦に入っている。台風18号後に一部へい死も見られたが、大半は作業・成育ともに順調。漁業者の多くが「昨年より成長している」と笑顔を見せる。
東しゃこたん漁協のスルメイカ漁が好調だ。6月~10月末の数量は発泡が前年同期比2.6倍の826トン、木箱が同33倍302トン。同漁協は「昨年は11月後半から群れが南下してきて水揚げが急伸した。今年も期待したい」と意気込む。