むかわ町の有限会社丸中舛岡水産(舛岡博美社長、電話0145・42・2178)は、主力商材・シシャモの不漁高騰、コロナ禍など社会情勢を踏まえ、新たな商品開発で活路を探っている。昨年はレトルトの海鮮スープカレーなどに加え、異分野の和菓子を商品化。今年は量販店などの売り場に並ぶ総菜商品に力を入れて内食需要拡大の商機をつかんでいく。
サステイナブルな漁業のコンサルティングやPRブランディングを手掛ける株式会社UMITO Partners(東京都渋谷区)は、持続的な漁業を目指し資源管理やDX(デジタルトランスフォーメーション)に励む漁業者の商材を首都圏の飲食店へ紹介している。環境に配慮する漁業者・地域に関心が高い飲食店経営者に要望にあった商材を調達している。
いぶり中央漁協白老地区でスケソ刺網などに従事する木下一志さん(43)は昨年12月25日、白老町内に鮮魚や水産加工品を扱う直営店「一雪・水産」(きみ・すいさん)をオープンした。1月下旬は網に掛かったスケソやソウハチの加工品をお手頃価格で提供したほか、サクラマスやハッカクなど獲れたての鮮魚も販売。白老で獲れる旬の鮮魚を手軽に味わえると評判を呼び、早くも地元客のリピーターを獲得するなど鮮やかなスタートダッシュを飾った。
大量繁殖した「痩せウニ」の養殖試験に取り組む落部漁協は、養殖ウニの試験販売で一定の成果を得たことから、次年度は規模を拡大し事業化する。養殖開始前に3%だった痩せウニの歩留まりは、新たに開発した配合飼料の給餌で最高20%以上に向上した。この飼料開発や養殖ウニの加工・流通には㈱北三陸ファクトリー(岩手県洋野町)が協力し、同漁協が養殖したウニを首都圏の百貨店で試験販売したところ、高く評価されたため、「HAGUKUMU―UNI~はぐくむうに」のブランドで今春にも商品化する。両者は磯焼け解消と新ブランド展開のW効果に期待する。
札幌市の株式会社ダイホク(大場啓二社長、電話011・661・0707)は、焼きのり、昆布など乾物、昆布だし調味料などの製造・OEM(相手先ブランド製造)商品の開発を手掛け、海外にも販路を広げている。特に台湾は直接貿易を確立。ホタテ玉冷など輸出仲介業にも乗り出し、今秋には札幌市に台湾のテレビ局と直接商談ができるオンラインブースを開設。道内食品企業の販路拡大を後押ししていく。
神奈川県三浦市三崎の鮮魚卸・活々水産合同会社(電話046・854・8008)は、前浜産を仕入れた当日に東京都内の飲食店へ配達する「朝どれ鮮魚」に力を入れている。大庭剛社長が三崎市場で一尾一尾精査。欠品のリスクや手間を惜しまず、商材の価値を最大限に引き出す販売に臨んでいる。
1月11日の余市郡漁協を皮切りに始まった後志北部以北の日本海沿岸ニシンは、2月中旬以降増産基調を示すなど順調な水揚げペースで推移している。一方、例年通りオスの荷動きが鈍いものの、コンテナ不足などで北米・カナダ産の搬入に不安定感を懸念する加工筋が数の子製品の原料手当てを強化。流通関係者は「卵の抜け具合など魚体の状態にもよるが、メスの価格が大きく下落することはないだろう」と見通す。
大田市場の仲卸・株式会社ハルキ(電話03・5755・9413)は、関東以西と以北へ北海道産の商材を提供している。函館市の本社(株式会社春木商店)と連携し、高鮮度と卸価格の圧縮でリード。同社と取り引きがある東京都の飲食店「北海道海鮮市場がんがん」の三上徹朗さんは「他店と差別化できる商材が多い」と強調する。
海鮮丼専門店を経営する株式会社レイジックス(敬禮匡社長)は昨年12月に熟成ずしの宅配事業「熟成 鮨匡(すしまさ)」に乗り出した。「津本式究極の血抜き」、乾燥・熟成の製法で魚本来のうま味を引き出す。「新鮮信仰」が強い北海道民に調理技術を加えた魚食の優を発信。“新たな食文化”の訴求に臨んでいる。
北海道産のいくらやホタテといった旬の魚介類をふんだんにトッピングし、食用花「エディブルフラワー」を添えた「お魚ぱふぇ」。札幌市東区の「お魚ぱふぇ カサナル」が提供し、コロナ禍のテークアウト需要などで若い女性を中心に「インスタ映えする」と人気を集めている。店長の山口聖也さんは「営業を継続することで、鮮魚の仕入れでお世話になっている漁協や生産者を少しでも支えることができれば」と話す。