根室市のカネ共三友冷蔵株式会社(石田一志社長、電話0153・23・5261)は今年からサケ加工で、新たにフィレー・切り身・生食用ロインなど骨取り製品の製造に乗り出している。取引先の要望も受け、高性能の専用機器を導入し、生産体制を構築。北海道産秋サケを中心に量販店に加え、学校、病院・福祉施設などの給食素向けで新規販路の拡大に取り組む。
東京都の豊洲市場で岩手県久慈市産のボイルマダコが人気だ。仲卸業者は「輸入のアフリカダコより香りが高い」とし「顧客にはその香りを感じやすい食べ方を勧めている。刺身ならしょうゆよりも塩で食べるのを紹介する」と強調。一方で「近年は製造する荷主が減っている」と加工技術の継承に不安を抱く。卸値はキロ2800円で安定。「アフリカダコは値上げ傾向で、東北産は安くておいしい。黙っていても売れる。当社は鮮魚店の顧客が多いが、今回は飲食店からの注文が目立った」。一方で「売れる商材だからこそ安定供給が望まれている。煮だこの生産者はどんどん減っている」と危惧する。
包装業界や容器・包装を使用する食品など各種業界では、SDGsを達成するため、各社が2030年をターゲットに取り組みを進めている。政府も海洋ごみや地球温暖化に対応するため、「プラスチック資源循環戦略」を制定するなど、プラスチック使用量の削減、容器・包装のリサイクル、CO2削減への取り組みが鍵となる。プラ使用量削減では、環境対応素材の採用が進み、従来のバイオ樹脂やリサイクル樹脂、紙への切り替えだけでなく、ケミカルリサイクルやマスバランスなど新たな手法を用いた環境対応素材の採用が進められている。容器・包装のリサイクル推進に向け、モノマテリアル化の推進、着色剤レス、脱墨技術の開発など素材循環への取り組みが進行。さらに、フードロス対策、賞味期限延長ニーズ、人手不足解消がターゲットとなっており、以前にも増してバリア性を有する包装ニーズが拡大している。
三重県の志摩観光ホテルは、生産者とともに地場産食材の魅力を伝えるイベント「ランチ賞味会」を開催している。水産物など毎月テーマにする食材を決め、和食やフレンチで多彩な特別メニューを提供するほか、食材への理解を深めてもらおうと生産者による「ミニ講演会」も実施。当日までテーマが明かされない期待感も相まって高いリピート率を誇る。イベントを通して生産者と消費者をつなげるとともに、伊勢志摩地方の食の豊かさを発信、地域資源の持続化に寄与している。
枝幸町のホタテを柱とする水産物の海外輸出拡大に向け新たな事業が動き出した。町内水産加工業者はじめ漁協、商工会、運送事業者、町の13団体は「枝幸水産物輸出促進協議会」(会長・三國浩司枝幸水産加工業協同組合長)を発足。生産・加工・物流面の効果的な体制整備を目指す。農林水産物・食品の輸出拡大を支援する農水省の「GFPグローバル産地づくり推進事業」にこのほど採択され、刻々と変化する輸出環境に対応しながら、新たな輸出先の掘り起こしにつなげたい考えだ。
農林水産省と経済産業省は7日、日本貿易振興機構(JETRO)に「水産品等食品輸出支援にかかる緊急対策本部」を設置した。政府の要請に基づく。海外における代替市場の販路開拓、水産物をはじめとした日本産食品のさらなるイメージアップへの取り組みを重点的に展開する。
東京都の豊洲市場で十勝や釧路からマツダイの入荷が増えている。秋サケ定置の混獲で、例年より水揚げが増加しているのが背景。ただ、従来安定した入荷状況ではなく、なじみが薄いため、需要先の確保など供給増への対応に苦慮している。卸値は9月11日時点で広尾産がキロ千円、高値はキロ2千円ほど。仲卸業者は「いつもは青森県、岩手県、宮城県の東北太平洋側が主。北海道産を豊洲で見かけるようになったのはここ2~3年で顧客からの詳しい評判はわからない」と話す。
大樹漁協の秋サケ自営加工は、大樹さけ定置共同経営体が手掛ける船上活じめ製品の拡販に取り組んでいる。生鮮出荷に加え、昨年から塩蔵品(新巻き・山漬け)を差別化して売り込み。また、生筋子も血合いがなく、きれいで鮮やかな見栄えなどが評価を得て、量販店からの引き合いが強まっている。
中国の日本産水産物禁輸措置を受け、青森県は13日、ホタテの販路確保を柱とする流通緊急支援パッケージを公表した。県内外でつながりの強い小売業59社に対し取扱量の拡大を要請するほか、輸出先の転換・販路開拓を強化し国内外対策を進める。また9月中にも水産団体や国の研究機関などで構成する「戦略チーム」を立ち上げ、ホタテ生産体制の強化策などを検討していく。
北海道の秋サケ定置漁はオス、メスとも異常高騰の昨年より安値でスタートした。8万トン超の水揚げ予測、昨年産の消化・在庫状況に加え、ロシア・アラスカのマス豊漁などから下方修正の滑り出しは予定調和。ただ、価格形成は全網出そろう今週から本格化。中国の日本産禁輸措置で保管場所を含め冷凍品の行き場に懸念を抱え、生鮮消化の促進、通年商材の売り場再構築に向けた適正価格の見極めなど正念場の年となる。