道産コンブの減産高騰で消費地業者が苦境に立たされている。2019年度の生産も過去最低の水準で推移。中でも道南産天然真昆布はここ数年繁茂不良による大減産が続いており、主力で扱う加工業者は「在庫が減る一方。今までで一番少ない」と現状を吐露。手すき業者は「促成も高く、完全に赤字。事業として成り立たない」と厳しい経営を強いられている。
(株)舞昆のこうはら(大阪市、鴻原森蔵社長、電話06・4702・1101)は、道南産真昆布を発酵熟成させた塩昆布風発酵食品「舞昆シリーズ」が看板。その中から「椎茸舞昆」と「粒生姜舞昆」の2品が、今年開かれた第65回全国水産加工たべもの展で大阪府知事賞を受賞した。また季節限定の「うなぎ舞昆」も注文が殺到するなど高い人気を誇る。
(株)石昆(名古屋市、石川哲司社長、電話052・932・2911)の菓子昆布「こぶてん」(内容量55グラム)が好評だ。国産昆布に衣を付けて揚げたスナック菓子で、サクッとした食感と昆布の豊かな風味が特長。「食べ応え十分な上に昆布を使っているのでヘルシー。女性人気も高い」という。順調に売り上げが伸び、定番のうす塩味に加え梅や塩レモン、濃厚チーズなど次々と新味を発売。4月からは手軽に購入できるミニパック(同25グラム)も本格展開する。
第65回全国水産加工たべもの展(同運営委員会主催)がこのほど開かれ、加工昆布部門は303品が出品、大賞にあたる農林水産大臣賞に株式会社松前屋(大阪市、松村茂社長)の「焼き昆布 パリポ」が選ばれた。昆布をかつおや椎茸のだしで味付け、ぱりっと香ばしく焼き上げたもので、つまみやお茶請けにお薦めだ。
札幌のセンチュリーロイヤルホテルは、「北海道喜こんぶフェア」開催記念企画として「五感で感じる!昆布食育セミナー&ランチ会」を初めて開く。道漁連職員が講師となり産地や銘柄、栄養素、健康効果など幅広く解説するほか、だしの試飲でうま味も体感する「見て、食べて、触って、感じる授業」を展開。レストランでは多彩な昆布料理を提供、世界無形文化遺産にも登録された「和食」を支える昆布の魅力を発信する。
促成マコンブの試験養殖に取り組む八雲町漁協の養殖コンブ研究会(川村忠夫会長、20人)は、このほど最初の間引き作業を行った。昨年12月後半から約1カ月で2倍の長さに伸びたコンブも見られ、川村会長は「順調に成長している。作業工程も問題ない」と一安心。今後の成長に期待を寄せている。
昆布森漁協青年部(能登崇部長)が試験的に取り組むトロロコンブ養殖。昨夏収穫分は全般的に生育が良く、従来の刻み加工(生)に加え新たに乾燥品も生産した。
天然資源が減少する中、養殖の可能性を探るため釧路地区水産技術普及指導所の協力で数年前に開始。昆布森漁港内に施設を設置、のし2本で養殖する。
総務省の家計調査によると、昨年1年間の1世帯当たり(2人以上)の昆布購入金額は、富山市が全国主要都市の中で最も多く、6年連続の全国一となった。昆布つくだ煮は、福井市が前年から2つ順位を上げ、4年ぶりの1位に浮上した。両品目とも上位は昆布食文化が根付く近畿・北陸勢が多く、昆布は東北勢も食い込んだ。
浜中町の株式会社北産(和田英雄社長)は浜中産コンブで作る「キリタップ昆布物語」シリーズの新たなブランド「昆布だし」を昨年9月から販売している。11月にローソンの商品アイテムに登録されたのを皮切りに、今後はセブンイレブンでも取り扱いが予定されるなど早くも販路拡大の勢いをみせる。
株式会社マツモト(堺市、松本紳吾社長)の「徳用おつまみ昆布」(内容量100㌘)=写真=が、インターネット通販最大手「アマゾン」の「おつまみ・珍味」部門売れ筋ランキングで上位をキープ、人気を集めている。
アマゾンには5年ほど前から出品。現在とろろなど10品程度出品する中で、売れ行き好調なのが徳用おつまみ昆布。同社は「おつまみ・珍味部門で1位になったこともあり、ここ2年ほど上位にランクインしている」と話す。