海藻産業の安全性と持続可能な規模拡大を推進する国際組織「世界海藻連合」の共同設立者らがこのほど来日した。行政やNGO、海藻業界関係者との会合を持ち、三陸地方や三重県で日本の海藻産業の現地を視察。各所では海藻研究やワカメ製品の製造販売大手である理研ビタミン株式会社が協力し、日本の海藻産業の理解促進へ働き掛けた。
歯舞漁協は23日に理事会を開き、貝殻さお前の解禁日を6月15日に決定した。5月16日に実施した前浜(太平洋側)の資源調査で、浅場中心に流氷接岸の影響が残り着生・生育状況が芳しくなかったことを考慮し、例年に比べて解禁日を半月遅らせた。同漁協は毎年、前浜調査の結果などを踏まえて貝殻さお前の解禁日を決めている。近年はロシアによる軍事侵攻の影響で操業条件を決める日ロ交渉の妥結が遅れた2022年を除き6月1日に解禁していた。資源状況を考慮して解禁日を遅らせたのは17年以来となる。
戸井漁協東戸井地区でコンブ養殖を営む芳賀浩平さんは、高圧洗浄機で綱や浮球に付着した雑海藻を除去、作業の省力化を図っている。昨年、収穫終了後に試験的に活用して効果を実感。今年は収穫前にも使い雑海藻を除去、コンブの生育促進を図る。
道昆布事業協同組合(山本哲治理事長)はこのほど、小冊子『昆布のチカラ』を作成した。15頁で生態や歴史、種類、健康効果、レシピなどをマンガ形式で紹介する内容。組合員が行う食育授業やイベントなどでの活用を想定している。消流拡大対策事業の一環。道産昆布の普及啓発を目的に、将来の需要を見据えて小中学生を中心とした食育用の副読本として約7千部作成。組合員や関係先などに配布した。
北海道のコンブは道南の養殖などを皮切りに5月から徐々に水揚げが始まり、夏場に各地で本番を迎える。昨年度は道内全体で5年ぶりに増産に転じたものの、前年度に次いで過去2番目に少ない1万2千㌧台の低水準の実績となった。着業者数の減少に歯止めがかからず、乾燥や製品づくりといった陸上作業を支える陸回り作業員の不足も慢性化、生産回復に向け人手対策が課題となっている。また、生コンブの活用など陸上作業を省力化する取り組みも進んでいる。
明治35年創業で各種昆布製品を販売する五辻の昆布(京都市、久世章斗社長)は昨年、本店2階に「昆布と麺 喜一」をオープンした。昆布3銘柄(利尻、羅臼、真昆布)をベースに各素材をブレンドしたスープが特徴のラーメンを提供するほか、昆布水の試飲やおぼろ削りの実演も行い、多角的に昆布の魅力を発信する場として営業。久世社長は「昆布の価値を再認識してもらい、その食文化を次世代につないでいきたい」と思いを話す。
函館市はトヨタ自動車北海道株式会社と連携して基幹漁業である養殖コンブの陸上作業工程改善に取り組んだ。作業負担が大きいことが漁業者数減少の一因と捉え、省力化を目指して戸井漁協小安地区をモデル地区に、巻き取りや赤葉切りなど各工程で改善案を提案。重複作業を削減したり新たに開発した試作機を活用した結果、作業時間の短縮や付着物を多く除去できる効果が得られた。
昆布加工大手のフジッコ株式会社(本社・神戸市、福井正一社長)は、北海道産の生コンブを原料とした商品開発にも注力している。海水温の上昇や生産者数の減少、人手不足などを背景に道産コンブの生産量低迷が続く中、生コンブは乾燥など陸上作業の負担軽減につながることが利点。原料の仕入れは試験的に道東の一部地域に限られるが、コンブ漁業の未来を見据えて取り組みを行う。
チルド総菜を主力に製造販売する株式会社ヤマザキ(静岡県、山崎朝彦社長)のグループ会社で昆布の1次加工を手掛ける株式会社北海シーウィード(福島町)が稼働7年目を迎えている。福島吉岡漁協と連携し間引きを中心とした生コンブを仕入れ乾燥・加工処理。高齢化や人手不足など漁業を取り巻く環境が厳しさを増す中、浜にとっては間引きコンブの有効活用と併せて、重労働となる乾燥や製品化など陸上作業の負担なく出荷できることが利点。資源低迷で不漁が続くイカ釣り漁業者なども着業、漁閑期の増収対策にもつながっている。
生産低迷が続く北海道のコンブ。流氷や爆弾低気圧、天候不順といった自然環境の影響だけでなく、高齢化や後継者不足に伴う着業者数の減少も減産要因の一つとして挙げられる。道水産物検査協会のまとめによると2023年度の道内全体のコンブ着業者数(着業申請数、拾い専業除く)は5419人(前年度比310人減)とこれまでで最も少なく、13年度からの10年間で1660人も減少している。