首都圏を中心に生鮮魚介専門店を展開する東信水産株式会社(織茂信尋社長)は、PB商品としてレトルト食品「小川原湖産大和しじみ」を開発し、1日から全29店舗で販売を始めた。時短需要を捉えながらも、産地と原料を厳選し高品質を追求した商品に仕上げた。
オホーツクや陸奥湾のホタテの水揚げが伸びている今年は、玉冷、ベビーの生産量が大幅に増加した。玉冷生産量は2万1000トンと試算され内販消化で1万3000トンの目標。小型主体に回転ずし店や業務筋で順調に消費されているが、相場は昨年とほぼ同様のため量販店では値ごろ感のあるベビーが席巻。国内消費に期待がかかる今シーズン。今後は大型の玉冷消化やアジア圏の輸出動向が注目される。
12日から13日未明にかけて台風19号が直撃した岩手県と宮城県で、水産業関連の被害額が計16億円以上に上ることが23日、両県のまとめで分かった。被害の詳細はまだ完全には把握できておらず、今後、さらに拡大する可能性がある。
陸奥湾の2019年度最終実績は、昨年度より1万3500トン多い9万1800トンが見込まれている。過去の9万トン超えは5回のみ、ここ10年では3番目の水揚げ記録となりそうだ。年明けの成貝出荷は来年3月までに4000トン余りの水揚げを予定している。
岩手県の秋サケ漁が厳しい出足のまま、10日までの漁獲尾数は昨年同期の23%となった。序盤の水揚げがまとまる久慈市場は同21%で、要因として高い海水温のほか、3年前の近隣ふ化場の台風被害に伴う放流尾数減少の影響も指摘されている。台風19号の通過で水温が下がり、ようやく水揚げが上向く兆しが見えてきた。今後の盛漁期に向け関係者は巻き返しを願う。
青森県太平洋のイカ釣りは今季も不漁が続く。専用の荷捌施設を整え「昼イカ」を全国に送る三沢市場では、継続的な水揚げとなり昨シーズンを4割近く上回るものの、10月は漁のある船で40~50箱、多い日で千箱強。1箱5500~3千円ほどと高値だが、船は厳しい操業が続く。
株式会社ハケタ水産(青森県平内町、八桁由悦社長)は、陸奥湾産ホタテを使った加工品3種を完成させた。10月から青森、岩手県内の一部量販店で販売を始めた。もともとの主力である蒸しホタテにスラリーアイスを活用し、よりうま味を引き出すことに成功。ラー油やチーズといった濃厚な味付けながらも、ホタテのうま味をしっかりと残した商品に仕立てた。これまでにない陸奥湾産ホタテの本格的な総菜品として全国に向け販路を開拓する。
宮城県中部のワカメ養殖で今季、少なくとも19人の漁業者が新規着業する見通しだ。11月上旬から活発化する種苗糸の幹縄への挟み込みに向け、養殖資材の準備や種苗の手配が進む。コウナゴなどの春漁の不振や、後継者のカキ終漁後の営漁安定のため、3、4月に確実な水揚げが見込め、高値が続くワカメとめかぶの魅力が増している。
宮城県産カキは7日、むき身の共販入札が始まった。「卵持ち」状況から昨シーズンより8日遅れたが、多くの地区で放卵が進み、身入りは昨シーズン以上との見方が大勢。初入札の10キロ平均単価は3万円台後半の高値となり、「待ったかいがあった」というスタートだ。
岩手県産カキの水揚げが9月末、東京・豊洲など首都圏市場の販売に合わせ活発化した。昨シーズンに比べ、多くの浜で放卵が遅れ気味、進んだ浜でも身入り回復が遅れている。だが、1日の豊洲市場のむき身初売りでは小友産の大サイズ5万~4万5千円(10キロ値)など昨シーズンを上回る浜が相次いだ。殻付きは出荷産地が限られ、赤崎産の受注が好調スタート。