北海道産のマダラは全道的に好漁が続き、今季も浜値が軟調に推移している。年明け以降は日本海側で稚内、小樽の底引、礼文島や後志管内の刺網などが増産。刺網着業者からは「価格が潰れて経営的には厳しい」と嘆く声も聞かれる。一方で、大手の工場稼働維持を含む底堅い加工原料需要を受け、流通業者は生鮮相場の大幅な値崩れ回避を見通す。
湧別漁協(阿部俊彦組合長)のホタテけた引自営船「第十八ゆうべつ丸」(14トン、アルミ)が竣工し、昨年12月12日に広尾町で進水式を挙行した。老朽化に伴う代船建造。おもてブリッジ構造で、船員室を最後尾に配置するなど、甲板の作業スペースを広々と確保し、安全性と作業性を重視した。
標津町の土木建設業・株式会社篠田興業(篠田静男社長、電話0153・82・2179)は、ウニの自動殻割り機を開発した。輪切り状に殻の上部を割って除去、身を目視し取り出しやすい状態になるのが特長。作業効率が格段に上がり、人手不足対策や歩留まり向上、高品質の商品づくりのバックアップを目指し、3月初旬の販売開始を予定している。
十勝総合振興局産業振興部水産課は親魚捕獲の要所・十勝川をはじめ管内での秋サケ密漁取締で、今年度からドローンを活用した取締手法の確立に乗り出している。昨年の河川そ上期に初めて試験導入。密漁容疑者2人の検挙に至った成果を受け、来年度以降も試行を継続していく。
底建網に新規着業し、今年で3年目に入る砂原漁協の坂本晃太さんは、2022年から産地直送アプリの「ポケットマルシェ(ポケマル)」を活用し、活じめ処理を施した新鮮な魚介類の提供に力を入れている。その都度獲れる魚を厳選し購入者の要望に沿った下処理にも努め、すでに複数のリピーターを獲得。発送作業は市場出荷後に行うが「慌ただしさはあっても何より楽しい。やりがいがある」と語る。
道総研釧路水産試験場は、計量魚群探知機を用いた音響計測手法で大型海藻類の判別・繁茂状況を調べる技術開発に取り組んでいる。浜中・落石両地区で実施。音響反応に加え潜水や水中カメラによる実測値も収集し基礎データを蓄積。計測の精度向上を図り、コンブ群落の分布マップを作成し可視化することで、将来的に資源状況の把握や雑海藻駆除の効率化が期待できる。
根室管内5単協(歯舞・根室・根室湾中部・別海・野付漁協)が操業する野付尾岱沼共同海区の2023年計画は1万500トンとなった。前年実績比4割減と大幅な減産見通し。空貝が目立つ場所があり、同漁協市場では「限定はできないが赤潮の影響以外に考えられない少なさ」と困惑している。このため操業を1カ月短縮し4月で終漁する予定だ。
羅臼漁協所属で定置網漁を営む阿保水産と髙橋水産が2019年から協業化し、水揚げや魚価の浮動が大きい中でも経営の持続性を確立している。2社は「丸共阿保髙橋」を設立(芦崎拓也代表)し、網起こし作業の合理化や人材育成でメリットを発揮。同漁協・定置網33カ統の漁業経営体で唯一のケース。芦崎代表は「就業環境も向上し、若い乗組員の雇用も実現している」と話す。
別海漁協の鈴木隆三さん(63)、次男走志さん(30)の親子は、サケ定置やホタテけた引に従事しながら、水産加工の「漁師の台所 銀邑(ぎんゆう)」を営んでいる。秋サケ、ホタテ、イカ、ホッケなど前浜・根室海峡産を中心に生鮮・冷凍切り身、塩蔵、干物などを製造。「安全な食べ物」の提供を理念とする宅配事業会社が主力取引先で、味付けは岩塩一本。水揚げ減少や魚価安など厳しい環境下、漁業の持続に向け、6次化の安定に臨んでいる。
サステナブルシーフードをテーマとする東京都渋谷区のフレンチレストラン「Sⅰncere BLUE(シンシアブルー)」は3月末に北海道北広島市の北海道ボールパークFヴィレッジ内に移転する。店名を「Sⅰncere N°(ノード)」に改め、質の高い道産食材を生かした料理とサステナブルシーフードの大切さを伝えていく。