ホタテ玉冷の2023年度消流は、景気後退に転じた欧米の需要動向に加え、福島第一原発処理水放出後に懸念される海外の水産物輸入の対応が注目される。米国の産地供給量は昨年以上に減少するため輸出に有利な情勢とみる向きもあるが、世界的金融不安や物価高に伴う消費停滞の高まり、中国の米国向け保水加工原料の増大といったリスクも流通環境に及ぼす影響が大きく、足元の国内消費を軸に冷静な価格帯でのシーズンスタートが期待されている。
宗谷漁協の毛ガニかご漁は順調な水揚げ状況で推移している。今季は小を漁獲せず、高単価が期待できる大中で許容漁獲量(ノルマ)の消化を目指す。毛ガニ部会の本間毅部会長は「操業は順調。ただ今年は大中の浜値が3600円程度と安値を付ける。経費をかけず、4月中旬ごろにノルマを達成させることも考えている」と話す。
湧別漁協の「第八ゆうべつ丸」が竣工した。ホタテけた引自営船新造計画(7隻)の4隻目が誕生。中央ブリッジをおもてブリッジに替え甲板スペースが拡大したことで作業性が向上。バルジを下げ安定感も増した。竣工式で阿部俊彦組合長は「船体構造の要望にも迅速に応えてくれた」と建造元に敬意を示しつつ、乗組員には「海難事故のないよう安全に操業してほしい」と要請。3月28日から漁場造成に入った。
加工機や包装機などを幅広く取り扱う食品エンジニアリング商社、NASCO株式会社(千葉県松戸市、中村剛太郎社長)は3日、札幌支店を開設した。ショールームを設置してテスト運転に応じ、北海道のユーザーに対して同社サービスをより行き届かせる。「お客さまからの要望が多く、当社としても以前から設置したかった地域。専属スタッフも充実させてアフターサービスも万全」と中村社長は語る。待望の拠点が運用を始めた。
水産庁は、水産地域の関係者が災害に備えて取り組む事項を整理したガイドラインを改訂した。対象とする災害やエリアを拡大したほか、東日本大震災の経験から「事前復興」に関する記載を追加した。減災計画やBCP(事業継続計画)の策定をサポートするマニュアルと事例集も整備し、防災や減災対策の促進を図る。
2023年度のさけ・ます人工ふ化放流計画は、サケの放流数が道計画で前年度比3090万尾減の8億5625万尾。水産研究・教育機構水産資源研究所の計画分を合わせた総放流数は9億8525万尾で、道が計画策定を始めた01年以降最低。特にえりも以西海区では資金難から3065万尾減となった状況に対し、計画案が諮問・協議された3月24日の道連合海区では委員から道、国の対応を求める意見が相次いだ。
上磯郡漁協上磯地区のブランド「峩朗ガキ」はハシリに比べて身入りが向上した。荷動きもコロナ禍で鈍化した昨シーズンまでと比べて順調で、北斗峩朗ガキ養殖部会の加藤佑基部会長は「残量を見ると春の大型連休ごろまでに出荷が終わりそう」と見込む。
15日に開幕したオホーツク海沿岸の毛ガニ漁は、昨年より安値基調で推移している。出足の水揚げは流氷など操業の支障はなく、沙留以北で比較的順調。今季の許容漁獲量は3年ぶりの減枠で昨年に比べて最大183トン減。着業者は許容量達成と浜値浮上を切望している。一方、千トン割れの供給量に対し、消流環境は3年に及ぶコロナ禍からの社会経済活動の正常化が好材料に期待されるものの、中サイズを主体に越年在庫が残存。値崩れなどの警戒感で冷凍需要はリスク回避の停滞感を抱えている。
新ひだか町東静内の老舗鮮魚店・高槻商店を営む株式会社 銀鱗(堀田毅一社長、電話0146・44・2433)は、活魚蓄養の新技術と電気刺激の脱血処理を施した鮮魚出荷で固定客をつかんでいる。自然界の電気「雷」にかけて「雷神 Raijin 」の表記で訴求し、活きと日持ちの良さが評価を獲得。今後は主力加工品の干物で、対を成す「風神」を冠したブランディングに取り組んでいく。
苫小牧漁協の冬ホッキ漁は、シケ早い海況に見舞われ操業回数が伸び悩む中でも潤沢な資源量を受け順調な水揚げ状況で推移している。冬ホッキ部会の小堤昌樹船団長は「3月中旬はシケが多発している。水揚げは順調だが、現状の出漁ペースを考慮すると、全体のノルマ達成は4月中旬過ぎになる」と見通す。