昆布巻き専門に札幌で50年近く製造販売を手掛けてきた札幌こんぶ屋の店主・桑折廣幸さんは今年2月、故郷のえりも町庶野に拠点を移し新たなスタートを切った。自身の段ボールアート作品を展示する美術館の一部を「昆布巻研究所」に改装し厨房として利用。さっそく近年水揚げが増えているブリを使い新商品も開発した。店舗は持たず通販中心に来館者にも販売する。「昆布巻き文化を継承していきたい」と思いを語り、講習会などを開き若い世代への普及にも力を入れていく。
小樽市漁協は2日から地まき用稚貝の出荷を開始した。成長、生残率ともに良好で、規定殻長もクリアし順調に水揚げ。着業者は「このまま最後までへい死することのないよう、計画量を出し終えたい」と話す。1日開始予定がシケで1日順延し、9日まで枝幸向けに6回出荷した。
根室市内4漁協と根室市で組織する根室市ベニザケ養殖協議会(会長・大坂鉄夫根室漁協組合長)は、トラウトサーモン(ニジマス)の養殖試験を手掛ける。協議会立ち上げから2023年で5年目を迎え、これまで養殖試験に取り組んだベニザケ以外の魚種も成育できるか検証する。
混獲、小型などの規格外、なじみがないなどの理由でマーケットにあまり出回らない「少流通魚」や「未・低利用魚」。物価高の生活防衛術などの観点、サステイナブルや食品ロス削減などの時流を捉え、最近はテレビ番組などがスポットを当て、その利用方法の紹介で出演依頼が相次いでいるのが札幌市西区西野の鮮魚店「鮮魚鯔背(いなせ)」(小野真代表、電話011・303・9101)。2008年の開店当初から扱って調理・料理方法を訴求、固定客をつかんでいる。
えりも漁協庶野地区のタコ空釣縄漁が厳しい操業を強いられている。昨年10月の漁開始から主力のミズダコが振るわず、年明け以降漁獲の中心となるヤナギダコも低迷、好転の兆しが見えないまま漁期後半へと入っている。また昨秋からイワシなどが針に掛かる影響でヤメ絡みがひどく、着業者を悩ませている。
雄武漁協・新沢木地区の山崎雅教さんが前浜で採取し、妻千春さんが仕立てるエゾバフンウニの一夜漬け(粒ウニ)=写真右=は浜で注目されている逸品。25年近く手掛け、5年ほど前から地元のスーパーやホテルが取り扱う。地域住民の自家需要・贈答用、観光客の土産品などで好評を得ている。
稚内漁協声問地区の佐々木達広さんは、約5年前から早採り時期に漁獲した間引きのリシリコンブで早煮昆布を生産している。「カキの付着前に間引くコンブを使って、少しでも付加価値を高めたい」と話す。一年生に加え、二年生で未成熟のコンブを活用。85センチ切りなどに仕立て「実が軟らかいコンブをだし用ではなく、『食べる昆布』として価値を打ち出している」と話す。
盛漁期を迎えた留萌管内のニシン漁は、漁場間で数量に格差が生じているものの、日量で1~2トンとなる着業者も少なくない。放卵寸前の成熟した魚体が多く、メスの浜値は各漁協ともキロ500円前後と強含みに推移している。
道水産物検査協会がまとめた2022年度の道産コンブ格付実績は、前年度を14%下回る1万970トンに落ち込み、4年連続で過去最低を更新した。渡島、釧路、根室の主要3地区が過去最低実績に低迷した。道内全体の格付実績は減少傾向に歯止めが掛からず、22年度はピークの1989年と比べると67%減。過去10年(12~21年)平均比でも27%下回った。
西網走漁協(石館正也組合長)が能取湖で養殖しているオホーツク海沿岸の地まき用稚貝が大量死した。生産計画の2億粒がほぼ全滅しており、網走市は3日、水谷洋一市長を本部長とする対策本部を設置。へい死の原因究明や再発防止策などを検討していく。へい死率91%、被害総額は6億8310万円に上る。