苫小牧漁協のホタテ漁は好調に推移している。昨年12月に始まり、10日現在の漁獲実績は数量が前年同期比40%増の254.7トン。平均単価が32%高のキロ520円に付き、金額は85%増の1億3254万円(税抜き)。
総務省の全国家計調査によると、2024年の1世帯(2人以上)当たりホタテ年間購入量は前年比6%減の353グラムとなり、4年連続で減少した。支出額は5%増の1157円、100グラム当たりの平均価格は12%高の328円に上昇し過去最高を更新している。1世帯当たりの購入量は、海外需要が強かった17年まで減少を続け、18年以降は価格修正の対応もあり増加へ転じた。20年はコロナ禍に伴い前年比3割増と伸長したが、21年以降は欧米の急速なインフレを背景に海外需要が加速。さらに中国禁輸の影響で欧米や中国に代わる第三国向けの需要が伸び価格が高騰、国内消費が減速している。
ひやま漁協乙部支所で桧山地区漁青連会長(道漁青連理事)を務める工藤優介さんは、乙部漁港近くに漁師直営の飲食店「津花食堂」(乙部町元町)を構え、前浜の魚を中心に地産地消にこだわった「漁師めし」を提供している。第六十三泰安丸でタコいさり、一本釣り、磯回りなどに従事する傍ら、食堂を通じて地元の魅力を発信。浜の活気につなげようと奮闘している。
苫小牧漁協のホッキ冬漁は、昨年12月2日の浜値が大キロ1050~813円を付けるなど好発進。年明けも堅調で12日は大の高値で前年同期比40%高の988円と高水準で推移している。
白糠漁協のタコ空釣縄漁が好調に推移している。漁期序盤となる昨年12月から今年1月末までの累計数量は前年同期比3.2倍の214トンと伸長。キロ平均単価は28%安の642円に下落しているものの、好漁を受け金額は2.4倍の1億3746万円に伸ばしており、今後の上積みも期待される。
ヤナギダコ主体に水揚げ。今季は多い船で日量4トンに達するなど好漁に恵まれており、2カ月間の操業で、前年実績(2023年12月~24年5月)の244トンに迫る数量を確保した。
1月に1週間ほど操業した別海漁協のホッキ漁は、3月の再開を予定している。1月のキロ平均単価は800円と高値に振れ、水揚量は前年より半減したが金額は若干減まで押し上げた。日量は4トン半~5トンと昨年並みに推移したが、宮川比呂巳ホッキ部会長(幸裕丸)は「中が主体だった組成は大の比率が高まっており、資源状況に一抹の不安もある」と示す。
道は13日、2025年度当初予算案・24年度補正予算案を発表した。25年度一般会計予算案の水産関係分は277億5649万5千円で、24年度比0.8%減。主要魚種の秋サケやコンブの資源低迷、ホタテの採苗不振などを受けた生産安定対策、海業推進の事業費などを新たに盛り込んだ。
道内メーカーが開発した加工食品の品評会「第32回北海道加工食品コンクール」(一般社団法人北海道食品産業協議会主催)で、水産品では鹿部町・有限会社一印高田水産の「たらすみ」が札幌市長賞、釧路市・株式会社マルハニチロ北日本の「北乃創彩 北海道産ぶりラー油」が奨励賞にそれぞれ選ばれた。10日に札幌市の札幌パークホテルで表彰式が行われた。
野付漁協の外海ホタテ部会(藤村潤一郎部会長)は、外海天然造成漁場で水揚げされる特大サイズを「潤帆(じゅんほ)」と名付けブランド化した。殻長を16センチ以上に規定し今シーズンから活貝での出荷を始めている。同漁協は「特大サイズをブランド化することで付加価値を高め、野付尾岱沼産の知名度向上につなげたい」と話している。
北海道産毛ガニの供給量は今年も低水準が続く。許容漁獲量が太平洋側の日高海域は過去最低の前季同数(19トン)、釧路東部海域(昆布森・厚岸・散布・浜中の4漁協)も低位の前季同数(48トン)。加えて3月に開幕する主産地・オホーツク海域が755トンで前季より90トンの増枠ながら史上ワースト3番目、3年連続で千トンを下回る。一方、異常高騰した2024年産は年末需要期の消化が鈍く、冷凍在庫が繰り越し。今季の消流は価格が下降の様相だが、ホタテの減産見通しなどが絡んで流通業者は高止まりの展開も注視している。