ホタテ玉冷の2024年度消流は、円安水準の為替相場を背景に北米や東南アジアなど輸出がけん引する形で新シーズンを迎えた。昨年後半に3Sの産地価格がキロ2千円台中盤まで下がり国内外需要が伸長。このため3月の期末在庫は払底し2800円程度まで戻す「ない物高」の展開となっている。荷受や商社筋は「これ以上の製品高は国内消費にブレーキがかかる」と危機感を強めており、拡大した内販需要の確保に向け冷静な相場形成を期待している。
札幌市中央卸売市場の水産物荷受・カネシメ髙橋水産㈱を中核とするカネシメホールディングスグループは1924年に海陸物産委託問屋「カネシメ髙橋松吉商店」を創業以来、今年で100周年を迎え、4月23日、札幌パークホテルで記念式典・祝賀会を開いた。荷主、取引先、来賓ら約350人が出席。道産をはじめ水産物の安定供給、消費拡大に貢献してきた同グループの節目を祝うとともに、200年企業への一層の躍進に期待を寄せた。
湧別漁協のホタテけた引自営船「第三十三ゆうべつ丸」が竣工した。中央ブリッジからおもてブリッジに変更し、船体を大型化したことで機能性・安全性が格段に向上。前方のサイドスラスターで八尺巻き揚げ時の船体調整も容易となった。竣工式で阿部俊彦組合長は元請け・建造元に敬意を表し、乗組員には「安全操業に努め一丸となって作業に当たってほしい」と要請。近く稚貝放流から本格稼働する。
ウニ専門店として催事・飲食・卸小売り事業を展開する札幌市の株式会社世壱屋(犬嶋裕司社長、電話011・533・5726)。今年は独自製法「生うに熟成製法」で仕立てる北海道産の冷凍ウニ「幸福雲丹」をミョウバン不使用の無添加にバージョンアップする。併せて主産地・礼文島香深地区に第3工場を構え、取扱数量の増大に着手。社名に込めた品質・物量「世界一」に向け、国内外に攻勢をかけていく。
寿都町漁協所属の小西若葉さんは寿都町で前浜産魚介類を使用した創作料理を提供するカフェ「海辺の茶屋ぐ~みん」(4月末~9月営業)を経営する傍ら、自ら採取した海藻類の商品作りに取り組んでいる。3年ほど前に外食需要が落ち込んだコロナ禍が端緒。カフェで前浜産の岩ノリやフノリなどをトッピングしたメニューが好評だったことを受け、家庭でも気軽に味わえる海藻類の商品開発に乗り出した。今では「店で食事を楽しんで土産に購入されるお客さまが多い」と相乗効果を創出している。
大津漁協のエゾバイツブかご漁は漁場間でばらつきがあり、全般的に日量も徐々に減少している。川村和也エゾバイ篭部会長は「昨年ほどではないがハシリは獲れた。漁が落ちるのは毎年の傾向。餌付きが悪くなる」と話す。4月上旬にかご入れして開始。厚内含め13隻が操業している。川村部会長は「それほどシケ休みは多くないが、場所によって漁に差がある」と説明。操業する水深は30メートル以浅で、資源の厚い水深帯は30メートル近辺。25メートルより陸側に入ると規格外の小さいサイズが多いという。続けて「比較的漁があるのは大津前から十勝太前にかけて」とも。他船の動きやGPSで過去のデータを確認してかごを移動。「徐々に下側にも入れているがツブが入る場所と入らない場所がはっきりしている」と漁況を話す。一方で「上側は大樹との境界で入りの良い場所があるが、漁場は遠く漁も切れて徐々に下側に移っているようだ」と話す。
古宇郡漁協(池守力組合長)が神恵内地区に建設を進めていた神恵内荷捌所施設が竣工、4月1日から供用を開始した。蓄養施設、屋根施設、製氷施設も併設し、衛生管理型施設の機能を整備。鮮度・品質保持に一層力を入れて、漁獲物の付加価値向上と漁業者の所得向上につなげていく。
道昆布事業協同組合(山本哲治理事長)はこのほど、小冊子『昆布のチカラ』を作成した。15頁で生態や歴史、種類、健康効果、レシピなどをマンガ形式で紹介する内容。組合員が行う食育授業やイベントなどでの活用を想定している。消流拡大対策事業の一環。道産昆布の普及啓発を目的に、将来の需要を見据えて小中学生を中心とした食育用の副読本として約7千部作成。組合員や関係先などに配布した。
4月に始まった青森県陸奥湾の半成貝出荷は、5月中旬からようやく本格化する。昨年の高水温に伴う分散後のへい死が増加したことに加え、収容しているパールネットにユウレイボヤが大量付着したため半成貝の成長不足が散見。4月末水揚量は前年同期比65%減の1760トンと苦戦を強いられている。
北海道のコンブは道南の養殖などを皮切りに5月から徐々に水揚げが始まり、夏場に各地で本番を迎える。昨年度は道内全体で5年ぶりに増産に転じたものの、前年度に次いで過去2番目に少ない1万2千㌧台の低水準の実績となった。着業者数の減少に歯止めがかからず、乾燥や製品づくりといった陸上作業を支える陸回り作業員の不足も慢性化、生産回復に向け人手対策が課題となっている。また、生コンブの活用など陸上作業を省力化する取り組みも進んでいる。