首都圏の量販店では、8月中旬から「北海道産生秋サケ」とうたった切り身を提供し、季節の先取りで集客に乗り出す店も現れた。近年は水揚げ不振が続いていたが、昨年は10月に入って入荷も増えて巻き返しを図れたことに加え、引き続き不振なサンマに替わる商材として重点的に販売を仕掛ける場面も多く、売り上げが前年比増で着地した店舗も少なくなかった。今年も旬を訴求できる商材として各店は品ぞろえに注力していく。
第25回「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」(大日本水産会主催)が23~25日、東京ビッグサイトで開催される。前年を上回る1267小間は、出展者数・小間数ともにコロナ禍前に迫る規模。来場者数2万5千人を目標とし、コロナ禍からの水産業界の脱却となる機会とする。
函館市の株式会社誉食品(熊谷輝彦社長、電話0138・86・9291)は、噴火湾産ベビーホタテを使用した「ほたて松前漬」のプラスチック容器入りタイプを新たに打ち出した=写真。看板商品の松前漬で、需要が回復してきた土産品や、ギフト向けの単品・セット商品を充実し、販売拡大に臨んでいる。
福島県浜通り地方の水産加工品を集めたフェア「常磐大漁市」が8月1~8日、JR仙台駅2階ステンドグラス前で開かれる。メヒカリのから揚げやサンマの干物、アオサの加工品などを販売するほか、5、6の両日は試食コーナーも開設。常磐ものの魅力を伝え、取引先の開拓につなげる。時間は午前10時~午後8時(最終日は7時)。浜通りを中心とする15市町村の事業者の販路拡大を支援する「ふくしまみらいチャレンジプロジェクト」の一環で、公益社団法人福島相双復興推進機構の主催。本年度は全国各地で第5弾まで計画されており、第3弾の今回は「東北物産展」に出展する形をとる。
岩手県普代村の有限会社カネシメ水産(金子太一社長)は25日、新商品の魚醤「鮭醤-KEISHO-」の発売に向け、クラウドファンディング(CF)サイト「Makuake」で資金調達を始めた。商品発表直前に工場が全焼。再起の足がかりに販売を決意した。今後も基盤の鮮魚・活魚販売に注力しながら新たな商品開発に取り組んでいく。
増毛町のはますい株式会社(金平嘉則社長、電話0164・53・9410)は2020年4月に沼田町の食品加工・北斗興産株式会社(多田宏社長)の子会社として新たな一歩を踏み出し、代名詞の「たこのやわらか煮」をはじめ創業当初からのミズダコ、ホタテ、甘エビの加工に臨んでいる。今年はホタテで新規に玉冷を打ち出していく。
道水産林務部の若手職員が生産と販売の橋渡し役となる「道産水産物営業プロジェクト(PJ)」チームは、道産ホッケの消費拡大に向け、三井物産株式会社と同社グループ企業・エームサービス株式会社との共同で新たなホッケ料理を開発。6月24日から7月31日の期間、エームサービスが運営する道内の企業・病院などの食堂18カ所で提供した。新料理は「フライ 山わさびソース」「ひつまぶし」「塩昆布天」「蕎麦(そば)」「アクアパッツァパスタ」の計5品を考案し、5月25日に試食会・意見交換会を実施。その中から各食堂が提供メニューを選ぶかたちで「道産ホッケ料理イベント」を展開した。
ウトロ漁協の定置業者・有限会社協和漁業部(古坂彰彦代表)は、魚料理店「OYAJI(おやじ)」の運営で知床産を発信している。漁業や魚、まちの魅力、時には人生観のトークを添えて、自船「第二十八栄宝丸」でその日水揚げした魚を使った「漁師料理」を振る舞う。“ご当地グルメ”を求めて訪れた観光客らに舌と心に残る感動体験を提供し、前浜資源の価値を高めていく。
標津町で起業し、事業を通じ社会課題の解決などを目指す合同会社しゃけを(椙田圭輔代表)は、標津の若手漁師で組織し魚の付加価値向上に取り組む波心会(林強徳代表)と連携し、地元で未利用魚として扱われているカジカを活用しただしを商品化した。4月下旬から標津近隣の道の駅や商業施設を中心に販売し、高評価を得ている。
宮古漁協(岩手県宮古市、大井誠治組合長)は、定置船「第十八日出島丸」(FRP製19トン)を新造した。従来船に比べてトン数が大きくなったことで作業効率が大幅にアップ。巻き上げ能力に優れた漁労機器や最新の航海計器なども搭載する。主力漁場で操業し、「水産の街」宮古の振興と発展にも貢献する。