「くら寿司」(くら寿司株式会社運営)は15日、地元の旬の魚を毎週楽しめる「くらの逸品シリーズ」を始めた。こうした取り組みは、これまで地域のご当地回転ずしが得意としていたもので、全国展開する大手回転ずしチェーンとしては初の試み。各地域の漁業者や水産会社とネットワークを築いて完成させた。「地魚地食」をコンセプトに、地域の人が地域で獲れた魚を食べることで、地域の漁業者支援につなげていきたいとしている。
混獲、小型などの規格外、なじみがないなどの理由でマーケットにあまり出回らない「少流通魚」や「未・低利用魚」。物価高の生活防衛術などの観点、サステイナブルや食品ロス削減などの時流を捉え、最近はテレビ番組などがスポットを当て、その利用方法の紹介で出演依頼が相次いでいるのが札幌市西区西野の鮮魚店「鮮魚鯔背(いなせ)」(小野真代表、電話011・303・9101)。2008年の開店当初から扱って調理・料理方法を訴求、固定客をつかんでいる。
宮城県石巻市大谷川浜の漁業者、渡辺隆太さん(ワタキ水産、電話090・1932・6462)はホヤの販路開拓に力を入れている。潜在需要の掘り起こしを目指し開発した味付けホヤが今年1月、県水産加工品品評会で県知事賞を受賞。全国からの注文に製造が追いつかないほどの人気だ。東日本大震災以降、海外向けの需要が激減した県産ホヤは苦境が続くが「東北以外の地域ではホヤを食べたことがない人も多い。国内消費の拡大はまだまだ可能」と気を吐く。
雄武漁協・新沢木地区の山崎雅教さんが前浜で採取し、妻千春さんが仕立てるエゾバフンウニの一夜漬け(粒ウニ)=写真右=は浜で注目されている逸品。25年近く手掛け、5年ほど前から地元のスーパーやホテルが取り扱う。地域住民の自家需要・贈答用、観光客の土産品などで好評を得ている。
ホタテ玉冷の2023年度消流は、景気後退に転じた欧米の需要動向に加え、福島第一原発処理水放出後に懸念される海外の水産物輸入の対応が注目される。米国の産地供給量は昨年以上に減少するため輸出に有利な情勢とみる向きもあるが、世界的金融不安や物価高に伴う消費停滞の高まり、中国の米国向け保水加工原料の増大といったリスクも流通環境に及ぼす影響が大きく、足元の国内消費を軸に冷静な価格帯でのシーズンスタートが期待されている。
株式会社阿部長商店(宮城県気仙沼市、阿部泰浩社長)は、地元産のサメ肉を有効活用した魚由来のプロテインバー「FISH PROTEIN BAR meZAmeメザメ」を発売した。気仙沼市、吉本興業㈱との3者のコラボ企画「フカカツ(復活)気仙沼プロジェクト」の一環として開発。高級中華食材として引き合いが強いひれに対し、積極的な利用が進んでいない正肉の市場拡大を目指す。
1848年(嘉永元年)創業の老舗、株式会社小倉屋山本(大阪市、山本博史社長、電話06・6243・0011)は、ギフトや土産関係の商品展開を強化している。主力のつくだ煮や塩吹きを小瓶に入れたシリーズや女性を意識した新ブランドを打ち出し、手軽なギフト商品として提案。また、昆布のうま味を生かした菓子製品も商品化するなど、2025年開催の日本国際博覧会(大阪・関西万博)を見据え土産品の開発にも取り組んでいる。
3月下旬で開店10年目を迎えた昆布専門店「伝承の味 京昆布」(京都市、谷口寿朗社長、電話075・432・3877)は、昆布を使ったおやつ関係も充実。新商品のあられは真昆布だしのうま味を生かした逸品で好評を博している。あられは各種ミックスした「彩りあられ 萬福」と、硬くない食感で小さな子どもでも食べやすい「ソフト昆布あられ」の2種類展開する。谷口友啓専務は「昆布とかけ離れず京都らしい和を取り入れたおやつを販売したかった」と話す。
15日に開幕したオホーツク海沿岸の毛ガニ漁は、昨年より安値基調で推移している。出足の水揚げは流氷など操業の支障はなく、沙留以北で比較的順調。今季の許容漁獲量は3年ぶりの減枠で昨年に比べて最大183トン減。着業者は許容量達成と浜値浮上を切望している。一方、千トン割れの供給量に対し、消流環境は3年に及ぶコロナ禍からの社会経済活動の正常化が好材料に期待されるものの、中サイズを主体に越年在庫が残存。値崩れなどの警戒感で冷凍需要はリスク回避の停滞感を抱えている。
東京電力福島第一原発事故に伴う風評を払拭しようと、復興庁は18日、福島県いわき市の久之浜公民館で「常磐もの」の魅力や安全性を発信するイベントを開いた。県外から訪れた親子連れが福島の海の現状や放射性物質の測定方法を学んだり、メバルの調理や実食を体験したりしながら、県沖で水揚げされる水産物への理解を深めた。