陸奥湾で夏場の高水温が影響し稚貝のへい死が深刻な状況にある。海水温は10月中旬を過ぎても20度を下回らず分散作業がずれ込んでいる。サンプル調査を行った漁協では相当量の死滅を確認しており、漁協関係者は「年末にへい死した昨年よりも拡大した」と頭を抱える。来年も主力となる半成貝の減産は避けられない情勢だ。
羅臼漁協の潜水漁業部会が着業する秋のホタテ漁は1人当たり日量400キロ前後を水揚げしている。浜値は今年の最高値でキロ1330円を付けるなど高値を形成。漁協市場担当者は「大体1000~900円で推移している。今は他浜で出荷が少ないことに加え、2年前くらいから韓国向けを含め引き合いが強まっている」と説明する。
白糠漁協のシシャモ漁が10月21日に始まり、昨年を上回る出足となった。ただ、シケ後の操業となった30日は漁が落ち、着業者は「この後また獲れてくれれば」と海況安定を願う。浜値はキロ千円台に下げた日もあり、昨年を大幅に下回っている。
道南本場折浜の天然は今年もマコンブ主体の水揚げとなった。資源量は依然として低水準だが、近年若干好転した地区もある。一方、ガゴメは資源低迷が続いており、着業者は「回復の兆しが見えない」と吐露する。函館市漁協は「今年は不漁」と示す。マコンブ主体の生産で、ガゴメは「ほぼ皆無」と言う。同漁協根崎地区では沖側でのカギ引きが主体。着業者は「沖側になんぼかあった。ただ、日数的に昨年より少なく、15キロこん包で昨年の60個に対し今年は27個の生産。一昨年は100個だった」と説明。「陸側にも若干あったようで2、3隻が中間系のコンブを採取していた」と振り返る。
ガゴメは「数枚掛かった程度。近年は全く採れない」と吐露。マコンブに関しても「水コンブが全く掛からなかった」と心配する。
元釧路税関支署長の松井正人株式会社Pine Well Corporation社長が3日、横浜市神奈川区にすし店「鮨処 漁井(JOY)」を開店した。釧路勤務時代に心を射抜かれた水産物などを産直で仕入れて首都圏の客に新しい食体験を提供。北海道ならではの食文化を楽しめる店舗として他地域での展開も視野に入れて魅力発信に力を注いでいく。
持続可能な水産業の実現を目指し、国内外のキーパーソンらが最新情報を共有するアジア最大のサステナブルシーフードイベント「サステナブルシーフード・サミット(TSSS)2025in大阪」がこのほど、グランキューブ大阪で開かれた。日本・韓国・欧米・太平洋島諸国から政府、企業、NGOなどが集結。IUU漁業対策、人権保護、気候変動下の資源管理、小規模漁業のデジタル化など多様な論点で日本の水産業が国際市場で成長を続けるための道筋が示された。
帯広地方卸売市場株式会社(髙嶋昌宏社長)は来年以降、とかち帯広場外市場 一鱗(いちりん)内に構える直営の鮮魚販売コーナーのリニューアルを計画している。一昨年から手掛ける水産加工事業の業務と併せて生魚の3枚おろしなど裁割処理を一般消費者に見せる市場ならではの販売展開を検討。ガラス張りなどを視野に入れている。
小型イカ釣船による今漁期のスルメイカ漁が、水産庁が管理する漁獲可能量(TAC)を全国で超過している状況を受け、青森県小型いか釣漁業協議会は20日から当面の間、休漁とする自主的措置をとった。関係者によるとTAC超過を受け水産庁が10月末にも採捕禁止令を出す可能性があり、17日に緊急理事会を開き協議したという。来年度のTACへの影響など考慮したものと見られる。再開時期は未定(21日現在)で、水産庁の判断を待ち検討していくという。
仙台市中央卸売市場で17日、三陸や常磐のイセエビを提案する試食イベントが開かれた。荷受の仙都魚類株式会社(仙台市、大沼秀行社長)が主催。宮城県南三陸町では9月末時点で前年比10倍となる約2500キロが水揚げされるなど地場産の増加を受け、地産地消メニューとして買受人らに味噌汁やバターソース添えの蒸し焼きを振る舞い販促を呼びかけた。この日は宮城産を中心に約70キロが入札され、キロ1万1千~6千円で取引された。
北海道の秋サケ定置網漁は10月下旬に入ってさらに日量が落ちて2万トン割れの様相を深めている。道漁連の集計によると、23日現在で前年同期比67%減の1万2144トン。昨年急落の最低水準だったオホーツク・西部の枝幸、猿払村、中部の雄武、沙留なども休漁を挟んだ操業で盛り上がりがなく推移し、加えて追い込み時期にクラゲが多くなり、サケの寄りに影響や大量入網で網起こし、選別に労力を要する事態も発生。3年連続の減産模様で終盤に向かっている。