羅臼漁協で刺網を営む有限会社丸の野水産(野圭司社長)は、自船・第三十一吉定丸(19トン、野圭司船頭)で混獲される低・未利用魚などを中心に直販に力を注いでいる。高級・大衆魚も含め良質な魚だけを厳選し、希望に応じて神経じめを施すほか、冷水機を活用し帰港まで鮮度保持を徹底。産直ECサイトを通じ道内外の消費者や飲食店に発送している。取り組み開始から1年余りが経過しリピーターを多数獲得するなど一定の手応えをつかむ。今後は加工品の製造も視野に、羅臼産の付加価値向上や魅力発信に挑戦を重ねていく。
羅臼漁協の潜水漁業部会が着業する春のナマコ漁は、今年も全着業者が漁獲ノルマを達成して終漁した。一方毎年秋に行うホタテ漁は、3年前の大シケ被害から資源が回復傾向にあり、好漁を期待している。
福島県内でスーパーマーケットを展開する株式会社いちい(福島市)は、東日本電信電話株式会社(NTT東日本、東京都新宿区)、岡山理科大(岡山市)と共同でベニザケの陸上養殖に成功した。情報通信技術(ICT)や人工飼育水の「好適環境水」を駆使。1年半で、稚魚から販売できる大きさまで成長させた。今後は大規模生産に着手し、2025年の事業化を目指す。
岩手県普代村の有限会社カネシメ水産(金子太一社長)は25日、新商品の魚醤「鮭醤-KEISHO-」の発売に向け、クラウドファンディング(CF)サイト「Makuake」で資金調達を始めた。商品発表直前に工場が全焼。再起の足がかりに販売を決意した。今後も基盤の鮮魚・活魚販売に注力しながら新たな商品開発に取り組んでいく。
梱包や包装の世界的企業であるモスカ(ドイツ)の日本法人のモスカ・ジャパン株式会社は、水産品の梱包・出荷用として、超音波技術によるバンド掛け機を提案している。作業効率や安全性、環境配慮などさまざまな機能面で、従来の熱で接着するタイプと比較して優位性を訴求する。同社はこのほど営業技術のスタッフを増員。今後も増員を計画しており、日本の水産現場に向けて普及を促進させる。
漁業情報サービスセンター(JAFIC)は24日、2023年上半期の日本周辺の漁海況の特徴について取りまとめ、公表した。黒潮大蛇行が今期も継続して観測史上最長となり、海面水温は、北部太平洋や日本海中央部を中心に高めだった。常磐~三陸沖合では黒潮続流が著しく北偏し、海洋熱波が生じた。黒潮続流の北偏とそれに伴う著しい高水温は、近年のサンマやマサバの不漁との関連が指摘されている。
森漁協元監事の山下良慈さんが進めていた天然マコンブの着生実験について、6月に行った調査の結果、浅瀬に投入した17基の「天然昆布種付着器」全てに種が付着し、大量に生育したことが明らかとなった。2020年度に始めた実験から3年半がたち「岩場のない場所でも藻場が形成できる」ことを実証。コンブ生成に大きな手応えをつかんでいる。
厚岸漁協のアサリ漁は禁漁期前に当たる7月上旬から中旬の出荷量が、例年に比べて減産傾向で推移した。かき・アサリ班の遠田城義班長は「潮回りの影響で、禁漁前の全体出荷は7~8トン。いつもの年の半分以下だった」と振り返る。一方で減産などを受け、市況は高値を形成した。
戸井漁協東戸井地区の天然コンブ漁が7月下旬に始まった。陸側主体に繁茂しているマコンブを採取。着業する芳賀浩平さんは「昨年の水が育った。個人的な印象はここ数年で一番の資源状況。まだまだ採れそう」とみている。
陸奥湾養殖ホタテの2023年度春季実態調査結果がまとまった。減少した22年産の成貝向け割合は直近5年平均よりやや多く、確実な再生産を目指すためにも、異常貝率が低く収容枚数が少ない成貝を親貝用に確保し、施設を安定させながら来春の産卵まで保有することを促している。親貝保有枚数は必要量を下回っており、今秋の稚貝分散時には収容枚数を減らした成貝用パールネットを多く作り、25年採苗に向けて親貝確保に努めることを示している。