生産低迷が続く北海道のコンブ。かつて3万トン以上あった道内生産量(道水産物検査協会の格付実績)は近年1万トン台前半で推移し、2019年度以降は4年連続で過去最低を更新。24年度は前年夏から秋にかけての記録的高水温が影響し資源量が著しく低下したため、低水準だった前年実績を3割以上下回る8213トンまで落ち込んだ。過去10年(2015~24年度)平均は1万2978トンで、ピークだった1989年度(3万3505トン)と比べると4割程度。最も多い年でも15年度の1万6763トンにとどまる。
コンブ養殖で課題の一つに挙げられるのが品質低下を招くヒドロ虫類(通称「毛」)の付着。過去に大量発生した年は大幅な減産につながったほか、除去にも多大な労力がかかり、その際に発生する粉じんは喉や鼻への健康被害を及ぼすなど漁業者を悩ませている。有効な防除対策がないことから渡島地区水産技術普及指導所では対策検討の基礎資料とするため、ヒドロ虫類の生態把握調査に取り組んでいる。
高齢化などを背景に全道的にコンブの陸回り不足が慢性化する中、歯舞漁協では、漁業体験や地域交流を楽しむ漁民泊「渚泊」が労働力確保につながっている。2023年度には根室市や東海大と連携し、渚泊と組み合わせた「コンブ漁業体験型インターンシップ制度」を構築。夏コンブ最盛期に大学生が漁家に宿泊しコンブ干しなどに従事、人手不足解消の一助となっている。
広尾漁協の保志弘一さんは着業するコンブ漁の課題解決を目指し、インターネット上に構築された3次元の仮想空間(VR)でコンブ漁を体験できる「コンブメタバース」をウェブコンテンツ制作などを手掛けるThe360株式会社(千葉県船橋市)の平田瑞穂さんと共同で開発、5月上旬にリリースする。
えりも漁協えりも岬地区のかご漁は赤潮以降、漁獲が激減した真ツブなどの資源が戻らない状況下、特別採捕や混獲によるオオズワイガニ中心の水揚げが続いている。えりも岬地区のかご漁は4月21日に8隻(5トン未満船2隻含む)が操業。うち4隻がオオズワイガニの特別採捕で操業。オオズワイガニの日量ノルマは1隻500キロ。4月14日には同地区でメス100キロ、中200キロに上限を設定。小は海中還元し、資源管理にも努めている。
ボイルホタテの2025年消流は、冷凍両貝仕向けに伴う浜値の高騰で製品価格が上昇する厳しい展開となった。NET800グラムの産地価格は昨年の4~5割高となる2千円台中盤。生産量は半減する見通しにある中、商社筋はじめ多くの関係者は「玉冷価格の半値でも値ごろ感にはつながりづらい」と、微妙な反応を見せている。
岩手の天然ウニ漁が県南部でも始まった。4月28日に船越湾、大槌湾沿岸の釜石東部、新おおつち両漁協管内の今季1回目現品入札(むき身)が行われ、白(キタムラサキウニ)1号品の10キロ単価は釜石東部で高値19万8千円、新おおつちで同18万2千円の値を付けた。漁業者らは「ハシリにしては身入りよく、今季は期待できそうだ」と意気込む。
海洋研究開発機構(JAMSTEC)と長崎大などの研究チームは、海洋内の栄養の湧き出しについて、青森・下北半島の尻屋崎沖に同半島太平洋側や三陸沖の豊かな漁場形成につながる領域があることを発見した。同領域は「あたかも枯れない泉のように」深部から栄養に富む水を巻き上げ表層へ供給、夏から秋にかけてサバの好漁場などを形成する大きな渦の中の植物プランクトンの安定生産を支えているという。
川崎重工業株式会社は、食料安全保障への貢献を目指した水産養殖システムを開発して「MINATOMAE」プロジェクトとして推進している。その事業化に向けたステップとして、同社神戸工場の岸壁エリアである神戸港海域で実施していたトラウトサーモンの育成試験の水揚げを4月24日に行い、850尾(1尾当たり平均2キロサイズ)ほどの飼育に成功した。同社の技術を生かした海面閉鎖式養殖で国内最高水準の飼育密度を実現した。「都市近郊での持続可能な海面養殖実現に向けた重要な成果」と同社では受け止めている。
マリノフォーラム21はスマート水産業に関する情報をまとめたサイト「スマート水産業ナビ」を開設した。全国で進められている事例やICT・IoTなど先端技術搭載機器の紹介のほか、実践者をサポートするために従事している“伴走者”同士が情報交流できる場を設けた。成果や知見の共有を図ることでスマート水産業の普及を推進していく。