えさん漁協尻岸内地区で、天然コンブ資源の回復に向けた新たな取り組みが始まった。資源低迷要因の一つと推察されるムラサキウニを除去(移殖)し食圧を抑制、コンブの着生・繁茂状況などを調査していく。北大や株式会社WMI(千歳市、伊藤慶子社長)と連携。「令和の里海づくり」モデル事業(環境省)の一環として実施。増輪正理事や岸本眞彦漁業士らコンブ漁業者4人と北大大学院水産科学研究院助教の秋田晋吾氏(海洋科学博士)が主体となり、今年の秋から潜水によるウニの除去を進めている。
道内のほぼ全域で発生した今年の採苗不振を受け、道ほたて漁業振興協会(髙桑康文会長)と道漁連(阿部国雄会長)は5日、道、道議会に対し調査研究体制の強化を求める要請行動を行った。髙桑会長は「次年度以降も発生する可能性があるため早急な対応を検討してほしい」と求めた。種苗生産体制の構築が課題となる中、道総研水産試験場や道の水産技術普及指導所など調査研究機関の統廃合や人員削減が進み、新たな調査に対する人員配置が困難な状況下で、▽稚貝の採苗不振の原因究明▽海洋環境の変化などを踏まえた採苗技術の高度化▽ラーバの出現状況などの調査と情報提供の充実強化-を要請した。
余市郡漁協の大謀網漁は、11月までの漁獲量が全体で前年比2.8倍の183トンと昨年の実績を大きく上回っている。8月から共栄丸漁業部の1軒が操業。11月末の累計で主体のブリが前年同期比2.8倍の159トン、金額が2.6倍の8666万円(税抜き)と増産増額。9月から11月の時期を中心に水揚げしたサケ(オス・メス)が6倍の8.5トン、フグが5.7倍の8.4トン、サバが2倍の2トンなど。昨年はシケなどによる網の損壊被害で水揚げできなかった時期があったものの、大幅に伸長している。
全漁連は4日、東京都千代田区の砂防会館でJF全国代表者集会を開いた。全国から漁業者が集まり、参加と利用の結集による総合事業体としての強み発揮と漁業・漁村を持続的に発展させる今後5年間の運動方針を決めた。農水省や水産庁、関連団体代表らが来賓として見守る中、実践に向けてグループ一丸となって取り組むことを内外に表明した。
養殖サーモンの展望や消費者への訴求方法を探る勉強会が5日、岩手大釜石キャンパスで開かれた。県の産学官金連携組織「さんりく養殖産業化プラットフォーム」と岩手大三陸水産研究センターの主催。海を守るプロジェクトを進める株式会社WMIの伊藤慶子氏、北海道立総合研究機構さけます・内水面水産試験場長などを務めた佐々木義隆氏が養殖サーモンの将来性について講演、オンラインを含め約60人が熱心に聞き入った。
札幌市の株式会社フジウロコ大橋水産(大橋誠一社長、電話011・709・1221)は、干物の生産体制を増強した。2021年3月にGSK株式会社(大阪市)の特殊冷風乾燥機を新規導入、自社商品の製造販売に乗り出し、販路やリピート注文、商品アイテムが年々拡大。10月に大型機を増設し、初年に比べて4倍の処理能力を確保した。業務筋や小売業者、通販業者など需要先への安定供給と一層の販売拡大に臨んでいく。
増毛漁協の刺網漁で、カスベ、アンコウが好漁している。網数の多い着業者は11月後半に両方合わせて日量約5トンの水揚げ。数量が増加しており浜値は弱含みの傾向。キロ900円台を付けていたアンコウは600円程度に下げている。
羅臼漁協の太進水産株式会社(太田昌之代表)は、今年から唯一カキの試験養殖に取り組んでいる。宮城県産の稚貝と半成貝を搬入し施設に垂下。半成貝から育てたカキは順調に身が入り今夏試験販売を実施。「種ガキの方も沖に行くたび成長している」と前浜環境での養殖に手応えを感じている。
人口減少や過疎化など複雑化する地域課題の解決に向けて地域おこし協力隊への期待が高まっている。隊員数は年々増加傾向。総務省によると、2023年度は全国で7200人、そのうち道内は1084人と都道府県別で最多。世代は20~30代が全体の67%を占める。総務省が所管し、地方自治体が都市部などから人材を受け入れる制度として移住定住を図り、個々のキャリアやアイデアなどを生かし、さまざまな分野で地域協力活動を展開。水産業の現場でも新風を吹き込んでいる。
ひやま漁協乙部支所のナマコ協議会加工部門(日沼賢澄部門長)は10月24~27日の4日間、台湾の「2024高雄国際食品見本市」(台湾経済部国際貿易署主催)で農水省の地理的表示(GI)保護制度に登録された乾燥ナマコブランド「檜山海参(ヒヤマハイシェン)」をPRした。見本市には各国から320社・570小間が出展し、国内外のバイヤーやメディアなど1万5千人以上が来場。日本のGI登録産品として、食品需給研究センター(GIサポートデスク)が主体となり「檜山海参」のほか、鹿児島「種子島安納いも」、福井「越前がに」、青森「小川原湖産大和しじみ」の4品目で売り込んだ。