オホーツク海沿岸の9月末ホタテ水揚量は、漁場造成を含め25万8463トンとなった。前年同期比3%減、全計画量に対する達成率は84%。枝幸、沙留が昨年を上回るペース、猿払が横ばいで推移している。北部の猿払村、枝幸、南部の紋別、常呂が3万トンを超えた。9月の歩留まりは大半が11%前後、組成は変わらず3S主体だが4S、5Sの割合が増えている。
散布漁協の養殖ウニは、8月末の大雨の影響で大量にへい死した。被害は個人差があるものの、全滅に近い着業者もいるため組合全体で大幅な減産となる見込み。ただ昨年導入したIoT海洋モニタリングシステム「うみログ」(株式会社アイエスイー)で塩分濃度を把握し、事前にかごを沈める大雨対策を講じており、永坂哲也うに養殖部会長は「うみログがなければ被害規模がさらに大きくなっていた可能性もある」と指摘する。
定置網や引網など漁業でも浸透しているYKKファスナー。福島県栽培漁業協会(相馬市)ではヒラメやアユの種苗放流で活用されている。船に積み込む防水生地製のいけすと、そのいけす内で稚魚を小分けにしているかごの開閉で使われている。開け閉めが従来の布地の面ファスナー式より簡単で、作業を手伝う漁業者の負担軽減につながっている。
東京都・豊洲市場でホッケのとばが再入荷した。取り扱う干物・珍味の卸業者・髙須商店の髙須孝輔社長は「築地市場時代からリピート注文の多い商材。メーカーが減ってしばらく入荷していなかったが、9月28日に菅原商店(神恵内村)の『波ほっけ』を入荷した」と供給再開を喜ぶ。定番のサケとばは近年、秋サケの不漁、価格高騰が影響し、利益低下に苦慮。一方、ホッケとばは「珍しさに引かれて購入し、秋サケとは違うおいしさからリピート注文を得ている」と説明。「特にあぶった皮がうまい。適度に加熱すると、パリパリの食感が素晴らしい」と話す。
北海道の秋サケ定置網漁は9月が1万5千トン台と、近年にない2万トン割れで折り返した。10月も全体的には漁期前予測並みの盛り上がりに欠ける滑り出し。浜値は出足の高騰から下方修正されたが、強気配。昨年は海水温降温後にペースが上がり、日量千トン前後が続いた10月前半の漁況に今季の行方がかかっている。
いぶり噴火湾漁協のウニたも採漁は、エゾバフンウニの減少、低歩留まりのためキタムラサキウニ中心の水揚げとなった。全道的な減産の影響もあり浜値は高騰。キタムラサキウニの殻付きで一時キロ3800円を付けた。高値基調を受け、出荷形態はむき身から殻付きに傾斜、水揚量は前年比3割増で終漁した。
いぶり噴火湾漁協礼文支所の幣航輝理事(千鳥丸)は、礼文で唯一、タコ空釣縄に着業する。陸側で獲れる「通りダコ」を狙い、毎年6月中旬から7月にかけ投縄。「昔から続けてきた諸先輩のアドバイスを受け引き継いだ。礼文の一漁法として続けていきたい」と話す。仕掛けの概要を説明してくれた。
日高中央漁協浦河地区で刺網を営む第十八高漁丸(髙田悟船主)と第三十一高徳丸(髙城顕一船主)の2隻は、付加価値対策としてキンキン(キンキ、キチジ)の船上活じめに注力している。生きている魚の中から良型を選び素早く血抜き処理。帰港までは発泡下氷詰めで鮮度保持を図り同漁協市場に搬入。魚体の色や傷の有無、うろこの状態を確認するなど見た目も重視し、厳選した魚のみ出荷する。うま味や脂乗りなど身質のバランスがよく、東京のすし店などから高評価を得ている。
天然ブリの全国有数産地となった北海道。2023年は1万トンを超え、農水省集計の海面漁業生産量(養殖業を除く)で長崎県を抑えて全国トップに返り咲いた。今年も春定置時期から乗網し、秋定置の水揚げが注目される。地場消費は依然途上だが、加工品開発も進展。多獲地域では船上活じめなどのブランド品を先導役に需要拡大、魚価底上げの取り組みを続けている。
サンマ棒受網漁は25日、根室・花咲港で大型13隻が今季最多の955トンを水揚げした。1日に千トンに迫るのは5年ぶり。久しぶりのまとまった水揚げに浜が活況を呈する中、着業者は「9月中旬ごろから群れがある」と増産に期待をかける一方、ハシリからの不安定な漁況や魚群の来遊が断続的との見方も強く「いつまで続くか分からない」と先行きに不安感も漂っている。