青森県太平洋のイカ釣りは今季も不漁が続く。専用の荷捌施設を整え「昼イカ」を全国に送る三沢市場では、継続的な水揚げとなり昨シーズンを4割近く上回るものの、10月は漁のある船で40~50箱、多い日で千箱強。1箱5500~3千円ほどと高値だが、船は厳しい操業が続く。
留萌管内の稚貝本分散は、4単協(増毛、新星マリン、北るもい、遠別漁協)とも順調に進み終盤を迎えた。空貝がなく好成長で、選別機の目合いも大きく必要量を十分に確保。作業は10月末で終わる見通し。
11軒の増毛は大半が10月末に終了する。「成長が良く作業も順調。(16日時点で)早い漁家はあと2日で終了」(同漁協)する。
利尻漁協沓形地区でコンブ養殖中心に営む中辻清貴さんは今年8月、大型の乾燥施設2棟を新設した。来年から本格稼働、雨天時の作業効率化を図る。天候に左右されず稼働できるため陸回りの確保にもつながると考える。主力で稼働する乾燥施設(写真) は55坪。乾燥機5台、換気扇4機を完備。扇風機も20台以上設置、風を循環し台車に載せたコンブを乾かす。併設するもう1棟は160坪。広々とした空間を最大限利用し将来的に乾燥施設として稼働する構想だが、当面は仕上がったコンブを取り込んだり、乾燥前のコンブの水切りや台車に並べるスペースとして活用する。
道東巻網のマイワシは10月14日までに14万4558トンを漁獲、昨年実績(13万8691トン)を超え、2011年に水揚げを再開して以降最高となった。TAC(24万1491トン)の6割を水揚げしたが、漁は終盤に入っており消化するのは厳しい見通し。魚体は小型で推移している。
北海道の秋サケ定置は低調なまま盛漁期を過ぎ、一昨年を下回る1978年以来の5万トン割れの可能性も見えてきた。今年は例年3割を占める大所のオホーツク・東部の斜網地区が不振で大きく影響。来遊資源の低迷から脱却が見通せず、秋サケ業界は将来への不安が増している。
利尻漁協のヒラメ一本釣漁は、活魚での高品質出荷に注力している。沖での水揚げは基本的にたもを使わないほか、漁協職員もゴム手袋を着けずに選別し魚体の擦れを徹底して防止。荷揚げも1隻ごと順番に行うなど鮮度保持にも力を入れる。主に東京・豊洲市場に流通。輸送距離の長さや離島のハンデを克服、荷受や仲卸、高級すし店などの評価は高く、東南アジアにも輸出されている。
鹿部漁協所属の(カネジョウ)上平漁業(上平浩二代表)の新造船「第三十八大翔丸」(9.7トン、FRP)が竣工、9月28日に地元の本別漁港で勇姿を披露した。広い甲板が特長で作業性を向上。船尾など死角を映すカメラも設置、安全性も重視した。今月解禁したスケソ刺網で初陣を飾り、主力のホタテ養殖にも着業する。
苫小牧漁協の夏ホッキけた引漁が好調だ。9月は日量ノルマをクリアするなど順調な操業が続いた。近隣の鵡川や白老で他漁種に切り替わり、価格も上向いている。
オホーツク海南部(雄武、沙留、紋別、湧別、佐呂間、常呂、網走、西網走漁協)の水揚量は、漁場造成を含め13万3630トン(8日時点)となった。計画達成率は85%。歩留まりは11%前後、アソートは常呂・佐呂間が3S、ほかは4S、5S中心。浜値は常呂・佐呂間がキロ100円台後半、ほかは100円台前半で推移している。
宮城県中部のワカメ養殖で今季、少なくとも19人の漁業者が新規着業する見通しだ。11月上旬から活発化する種苗糸の幹縄への挟み込みに向け、養殖資材の準備や種苗の手配が進む。コウナゴなどの春漁の不振や、後継者のカキ終漁後の営漁安定のため、3、4月に確実な水揚げが見込め、高値が続くワカメとめかぶの魅力が増している。