東京都・豊洲市場の北海道産ヒラメ消流は競合する九州産の操業が終わり、荷動きが良くなってきている。また、値頃感を訴求しやすい時期になり、和食・すし店以外の飲食店からの注文が目立ち始めた。卸値は高値キロ2千円台前半。直近の大型連休中は3千~2千円台後半と観光需要で急伸したものの、連休明けからは2300円台に落ち着いている。
岩手県の久慈市漁協(川戸道達三組合長)は7日、久慈湾で新たに養殖を始めたトラウトサーモン(ニジマス)を初出荷した。船上で保冷効果の高いシャーベット状の氷でしめた2.5トン。刺身やすし種用商材として引き合いが強く、4月11日に出荷が始まったギンザケより4割ほど高いキロ1300円台で取引された。6月下旬までに120トンの水揚げを目指す。
水産研究・教育機構はこのほど、明治から令和までの日本の沿岸資源漁獲変動を可視化する研究成果を科学誌で発表した。明治時代からの漁獲統計を集計することで日本の長期的な漁獲量の変動の把握に努めた。近年さまざまな魚種で北日本での漁獲が増えているが、過去にも似た状況があったことが判明した。気候変動の適応策のヒントが過去の漁業活動から得られる可能性もあるものと捉えている。
大津漁協のエゾバイツブかご漁は漁場間でばらつきがあり、全般的に日量も徐々に減少している。川村和也エゾバイ篭部会長は「昨年ほどではないがハシリは獲れた。漁が落ちるのは毎年の傾向。餌付きが悪くなる」と話す。4月上旬にかご入れして開始。厚内含め13隻が操業している。川村部会長は「それほどシケ休みは多くないが、場所によって漁に差がある」と説明。操業する水深は30メートル以浅で、資源の厚い水深帯は30メートル近辺。25メートルより陸側に入ると規格外の小さいサイズが多いという。続けて「比較的漁があるのは大津前から十勝太前にかけて」とも。他船の動きやGPSで過去のデータを確認してかごを移動。「徐々に下側にも入れているがツブが入る場所と入らない場所がはっきりしている」と漁況を話す。一方で「上側は大樹との境界で入りの良い場所があるが、漁場は遠く漁も切れて徐々に下側に移っているようだ」と話す。
古宇郡漁協(池守力組合長)が神恵内地区に建設を進めていた神恵内荷捌所施設が竣工、4月1日から供用を開始した。蓄養施設、屋根施設、製氷施設も併設し、衛生管理型施設の機能を整備。鮮度・品質保持に一層力を入れて、漁獲物の付加価値向上と漁業者の所得向上につなげていく。
4月に始まった青森県陸奥湾の半成貝出荷は、5月中旬からようやく本格化する。昨年の高水温に伴う分散後のへい死が増加したことに加え、収容しているパールネットにユウレイボヤが大量付着したため半成貝の成長不足が散見。4月末水揚量は前年同期比65%減の1760トンと苦戦を強いられている。
札幌市中央卸売市場の水産物荷受・カネシメ髙橋水産㈱を中核とするカネシメホールディングスグループは1924年に海陸物産委託問屋「カネシメ髙橋松吉商店」を創業以来、今年で100周年を迎え、4月23日、札幌パークホテルで記念式典・祝賀会を開いた。荷主、取引先、来賓ら約350人が出席。道産をはじめ水産物の安定供給、消費拡大に貢献してきた同グループの節目を祝うとともに、200年企業への一層の躍進に期待を寄せた。
湧別漁協のホタテけた引自営船「第三十三ゆうべつ丸」が竣工した。中央ブリッジからおもてブリッジに変更し、船体を大型化したことで機能性・安全性が格段に向上。前方のサイドスラスターで八尺巻き揚げ時の船体調整も容易となった。竣工式で阿部俊彦組合長は元請け・建造元に敬意を表し、乗組員には「安全操業に努め一丸となって作業に当たってほしい」と要請。近く稚貝放流から本格稼働する。
北海道のコンブは道南の養殖などを皮切りに5月から徐々に水揚げが始まり、夏場に各地で本番を迎える。昨年度は道内全体で5年ぶりに増産に転じたものの、前年度に次いで過去2番目に少ない1万2千㌧台の低水準の実績となった。着業者数の減少に歯止めがかからず、乾燥や製品づくりといった陸上作業を支える陸回り作業員の不足も慢性化、生産回復に向け人手対策が課題となっている。また、生コンブの活用など陸上作業を省力化する取り組みも進んでいる。
明治35年創業で各種昆布製品を販売する五辻の昆布(京都市、久世章斗社長)は昨年、本店2階に「昆布と麺 喜一」をオープンした。昆布3銘柄(利尻、羅臼、真昆布)をベースに各素材をブレンドしたスープが特徴のラーメンを提供するほか、昆布水の試飲やおぼろ削りの実演も行い、多角的に昆布の魅力を発信する場として営業。久世社長は「昆布の価値を再認識してもらい、その食文化を次世代につないでいきたい」と思いを話す。