函館市はトヨタ自動車北海道株式会社と連携して基幹漁業である養殖コンブの陸上作業工程改善に取り組んだ。作業負担が大きいことが漁業者数減少の一因と捉え、省力化を目指して戸井漁協小安地区をモデル地区に、巻き取りや赤葉切りなど各工程で改善案を提案。重複作業を削減したり新たに開発した試作機を活用した結果、作業時間の短縮や付着物を多く除去できる効果が得られた。
昆布加工大手のフジッコ株式会社(本社・神戸市、福井正一社長)は、北海道産の生コンブを原料とした商品開発にも注力している。海水温の上昇や生産者数の減少、人手不足などを背景に道産コンブの生産量低迷が続く中、生コンブは乾燥など陸上作業の負担軽減につながることが利点。原料の仕入れは試験的に道東の一部地域に限られるが、コンブ漁業の未来を見据えて取り組みを行う。
チルド総菜を主力に製造販売する株式会社ヤマザキ(静岡県、山崎朝彦社長)のグループ会社で昆布の1次加工を手掛ける株式会社北海シーウィード(福島町)が稼働7年目を迎えている。福島吉岡漁協と連携し間引きを中心とした生コンブを仕入れ乾燥・加工処理。高齢化や人手不足など漁業を取り巻く環境が厳しさを増す中、浜にとっては間引きコンブの有効活用と併せて、重労働となる乾燥や製品化など陸上作業の負担なく出荷できることが利点。資源低迷で不漁が続くイカ釣り漁業者なども着業、漁閑期の増収対策にもつながっている。
生産低迷が続く北海道のコンブ。流氷や爆弾低気圧、天候不順といった自然環境の影響だけでなく、高齢化や後継者不足に伴う着業者数の減少も減産要因の一つとして挙げられる。道水産物検査協会のまとめによると2023年度の道内全体のコンブ着業者数(着業申請数、拾い専業除く)は5419人(前年度比310人減)とこれまでで最も少なく、13年度からの10年間で1660人も減少している。
長万部漁協のナマコ潜水漁は、海中の濁りが解消され沖側に移動し、日量100キロ前後と上向いた。一方浜値はキロ3500円と軟調に推移。前年同期の3割安に落ち込んでいる。
ボイルホタテの2024年生産量が昨年の2倍近い見通しとなる中、NET800グラムで蔵前千円弱の安価設定が現実的な相場となり、国内バイヤーの注目度が高まっている。荷主や商社筋は「引き合いが強くショートしている」「シーズン前から使う意向を示していた量販店が昨年より多い」と説明。例年以下の歩留まりでサイズもワンランク小型だが、予想以上の反響にうれしい悲鳴を上げている。
東しゃこたん漁協のエビかご漁は積丹支所余別地区で来岸漁港を拠点に柏崎正勝さん(第十八勇福丸=19トン)の1隻が着業。漁を開始した3月末以降イワシの影響を受け不漁が続いている。
岩手県宮古市の宮古漁協(大井誠治組合長)は23日、宮古湾で養殖した「宮古トラウトサーモン」3.1トンを市魚市場に今季初水揚げした。実証試験の期間を含めると5季目。いけすを3基から5基に増やし、7月までに前季比2倍の250トンの生産を目指す。
東京都・豊洲市場の活マツカワ消流は、キロ1万円超の高値を形成している。身厚になって歩留まりが良く、ホシガレイの代用品需要で価値が向上。ただ、活魚専門の仲卸業者は「現在の相場では顧客に強く売り込むことができない」と悩んでいる。用途が競合する東京湾産のマコガレイ(活魚)はキロ2万円とマツカワの倍。「マコガレイは例年梅雨に入るまでは肉厚で高値。それに比べればマツカワの方が勧めやすいが、1.5キロ以上で1万円以上は高過ぎる」と仕入れに慎重姿勢で臨む。
1日付で道水産林務部長に就任した岡嶋秀典氏は22日、記者会見し、水産行政かじ取りの抱負を語った。新たな増養殖を含めた栽培漁業の推進など生産回復対策と両輪の道産水産物の消費拡大を重要施策に強調。併せて担い手確保と人手不足に対応するスマート水産業、ゼロカーボン北海道に貢献する二酸化炭素吸収源の藻場保全・造成などブルーカーボンの取り組みを進めていく考えを示した。