渡島噴火湾では稚貝の本分散が9月から始まった。進ちょく状況は地区間で異なるが、前半に連続したシケの影響で作業はやや遅れ気味。場所によっては空貝が目立つ地区もあるようだが、おおむね必要量を確保できる見通し。
北海道の秋サケ定置はオホーツクや日本海、えりも以東で昨年を上回るものの、根室、えりも以西が落ち込んで低水準の水揚げで推移している。日高地区も沿岸水温が20度超の高水温下、全域で不振の滑り出し。9月中旬も各漁場1トンに満たない水揚げが続き、休漁を挟んだ操業を余儀なくされる地区も。漁業者は水温低下と併せて例年漁が見え始める20日以降の盛り返しに期待をかけている。
噴火湾のエビかご漁が始まった。序盤から連発するシケに悩まされ、3単協(落部・森・砂原漁協)とも17日が開始5日目の水揚げ。漁場は狭い範囲に形成され、1隻30~400キロ前後と船間格差が目立つ。浜値はメスがキロ2千円台後半と昨年並み。ボタンエビ秋漁は9月~11月中旬。シケの影響でかご入れが5日に延びた。25隻が着業する落部の15日現在(4日分)水揚量は前年同期比31%減12.7トン。17日は24隻で5トンの水揚げ。
函館水産試験場が試験養殖に取り組む促成ガゴメは、今季順調に生育、このほど行った収穫で良好な結果が得られた。実厚・幅広で天然ガゴメに匹敵する品質もあり、昆布取扱業者は「資源が激減する中、代用品として活用できる」と太鼓判。これにより天然の漁獲圧が抑制され、資源回復につながる可能性があるほか、将来的な事業化で漁家収益向上も期待できる。来季は間引き時期や最適な株密度・施設深度などを検討、養殖技術向上を図る。
宮城県石巻市小渕浜の阿部水産(阿部祐二代表、電話090・6453・5643)は、ワカメやカキの休漁期にキクラゲの栽培と販売に挑戦している。手塩にかけたキクラゲは潮風を受けてミネラルたっぷり。牡鹿半島で育った「金華きくらげ」として、地域の新たな特産品化を目指す。水産業の閑散期に手軽にできる副業のモデルケースとしても注目を浴びる。
帯広地方卸売市場(株)(高橋正行社長)は、通販事業に乗り出した。6月の改正卸売市場法施行やウイズコロナ・アフターコロナの消費行動も踏まえ、一般消費者に取扱商材を発信。今後、PB商品の開発を含めアイテムを充実させ、市場流通の活性化や新たな収益確保を目指す。7月中旬に通販サイトを運営するストアーズ・ドット・ジェーピー(株)のサイト内に専用サイトを開設。水産と青果を持つ総合市場の強みを生かし、取り扱う農水産品をはじめ、新得そばや本別産乾燥小豆などの特産品を販売。役員個人のSNS(ツイッター)でも情報発信している。水産物は現在、たらこ、ホタテのボイル・玉冷、毛ガニ、干物、昆布、昨年商品化したPB商品の漬け魚シリーズなどをラインアップしている。
神奈川県水産技術センターは、種苗生産を試みているクマエビについて、卵から稚エビまで育成することに成功した。東日本では初という。地球温暖化による海水温上昇の水産業への影響を抑えるために取り組んできた試みだが、新たな栽培漁業対象種としての可能性を見いだした。
小樽開発建設部は古平漁港内の泊地の水域を活用し、ウニやナマコの蓄養水面を整備する計画で調査を進めている。東しゃこたん漁協の古平地区浅海漁業部会に所属する漁業者も作業に協力。ウニの出荷調整や身入り改善を図るほか、ナマコの放流適地とすることも視野に入れている。
上磯郡漁協知内涌元地区の成澤栄蔵理事はメバル(ウスメバル)釣りに着業。晩夏は比較的低調で、秋以降の水揚げ向上に期待している。
漁場は水深50~80メートル。第八雄生丸(4.5トン)で操業。船にはさお2本を装備し、食紅で赤く染めた冷凍イカを餌にメバルを釣り揚げる。「赤いと魚の付きがいい。また、夜明けは魚がかたまりよく釣れる」と漁の特徴を話す。