えりも漁協庶野地区のタコ空釣縄漁が厳しい操業を強いられている。昨年10月の漁開始から主力のミズダコが振るわず、年明け以降漁獲の中心となるヤナギダコも低迷、好転の兆しが見えないまま漁期後半へと入っている。また昨秋からイワシなどが針に掛かる影響でヤメ絡みがひどく、着業者を悩ませている。
三陸産養殖ワカメの入札会が5、6の両日開かれた。塩蔵の出荷量は今季7回目の宮城が前回比3%減の191トン、3回目の岩手南部が3%減の236トン主力の芯抜き1等の10キロ平均単価は宮城が前回並みの1万6893円、岩手南部が4%高の2万63円だった。最高値は岩手・綾里漁協野白浜、前浜産芯抜き1等の2万2099円。出荷量を昨年の同じ回と比べると、宮城が24%減、岩手南部が22%減。干しの出荷はなかった。
船外機などを製造するトーハツ株式会社(東京都板橋区)が昨年夏に発売した船外機MFS30D(30馬力)の導入が東北や北海道の磯船で広がっている。同社が注力する同馬力帯で業界最軽量モデルの一つ。発進時に船首のみが持ち上がるパンプ(半滑走状態)から素早く脱してプレーニング(滑走状態)に移行しやすくなった。航行時の安全性や負荷軽減などに貢献する。
ホタテ玉冷の2023年度消流は、景気後退に転じた欧米の需要動向に加え、福島第一原発処理水放出後に懸念される海外の水産物輸入の対応が注目される。米国の産地供給量は昨年以上に減少するため輸出に有利な情勢とみる向きもあるが、世界的金融不安や物価高に伴う消費停滞の高まり、中国の米国向け保水加工原料の増大といったリスクも流通環境に及ぼす影響が大きく、足元の国内消費を軸に冷静な価格帯でのシーズンスタートが期待されている。
東京都・豊洲市場の北海道産アンコウ消流は需要が下火になっている。鍋シーズンが終わり、販路先は春商材に切り替え。卸値はハシリの10月に青森県産や噴火湾産でキロ1800~1500円で推移し、3月末時点は800~600円と落ち着いている。40年近くアンコウを取り扱う仲卸業者は「ここ10年は入荷量が多いので供給面では安定している。今季もそうだった」と商戦を乗り越えたことに安どしている。
水産庁は、水産地域の関係者が災害に備えて取り組む事項を整理したガイドラインを改訂した。対象とする災害やエリアを拡大したほか、東日本大震災の経験から「事前復興」に関する記載を追加した。減災計画やBCP(事業継続計画)の策定をサポートするマニュアルと事例集も整備し、防災や減災対策の促進を図る。
2023年度のさけ・ます人工ふ化放流計画は、サケの放流数が道計画で前年度比3090万尾減の8億5625万尾。水産研究・教育機構水産資源研究所の計画分を合わせた総放流数は9億8525万尾で、道が計画策定を始めた01年以降最低。特にえりも以西海区では資金難から3065万尾減となった状況に対し、計画案が諮問・協議された3月24日の道連合海区では委員から道、国の対応を求める意見が相次いだ。
上磯郡漁協上磯地区のブランド「峩朗ガキ」はハシリに比べて身入りが向上した。荷動きもコロナ禍で鈍化した昨シーズンまでと比べて順調で、北斗峩朗ガキ養殖部会の加藤佑基部会長は「残量を見ると春の大型連休ごろまでに出荷が終わりそう」と見込む。
宗谷漁協の毛ガニかご漁は順調な水揚げ状況で推移している。今季は小を漁獲せず、高単価が期待できる大中で許容漁獲量(ノルマ)の消化を目指す。毛ガニ部会の本間毅部会長は「操業は順調。ただ今年は大中の浜値が3600円程度と安値を付ける。経費をかけず、4月中旬ごろにノルマを達成させることも考えている」と話す。
湧別漁協の「第八ゆうべつ丸」が竣工した。ホタテけた引自営船新造計画(7隻)の4隻目が誕生。中央ブリッジをおもてブリッジに替え甲板スペースが拡大したことで作業性が向上。バルジを下げ安定感も増した。竣工式で阿部俊彦組合長は「船体構造の要望にも迅速に応えてくれた」と建造元に敬意を示しつつ、乗組員には「海難事故のないよう安全に操業してほしい」と要請。3月28日から漁場造成に入った。