落石漁協の前浜さお前(ナガコンブ)は、不漁だった昨年を上回る繁茂状況。主漁場の「昆布瀬」は近年着生状況が芳しくなく、わずかな操業日数で終漁していただけに、着業者は「今年は少しでも水揚げを伸ばせられたら」と増産に向け力を込め沖に出ている。
渡島噴火湾の耳づり作業は大半の漁家が終了したものの、作業ペースや稚貝の成長は地区によって差が出た。森、砂原、鹿部ではザブトンかごに大量のザラボヤが付着したことで重量が増し、1度に揚げられる連数が減少したため作業が遅れ、稚貝の成長も悪化した。6月まで続けた漁家も多く苦戦を強いられたが、耳づり本数はある程度垂下できたもよう。
噴火湾でオオズワイガニが異常発生している。カレイ刺網着業者によると、網外しに時間がかかるため網数を減らしており、アカガレイやソウハチは食害の影響も受け数量がまとまらない状況だ。浜値はカレイもオオズワイも安値に振れている。網は損傷が激しく「1カ月も使えばぼろぼろ」となり、着業者は「仕事にならない」と悲鳴を上げている。
根室湾中部漁協のアサリ手掘漁は、個人差はあるものの大半が1日1人当たりの上限量(80キロ)を水揚げしている。ただ、資源状況について藤林新造部会長は「減少傾向にある」と指摘。「以前に比べ80キロ採るのに時間がかかるようになった」と実感する。序盤にシケがなく順調操業が続いた昨年の同時期(6月8日現在)と比べると、数量は9%減の23トン、金額は5%減の1716万円、キロ平均単価は4%高の736円となっている。
小樽市漁協のウニ漁は総体の数量と金額が昨年を上回る水準で推移している。10日現在では主体の白(キタムラサキウニ)で塩水パックの数量が前年同期比9%増の2万7798個。それでも高島地区の着業者は「コンブなど餌となる海藻が見えず、ウニの資源量が芳しくない」と話し、今後に不安を抱える。
株式会社八戸フーズ(青森県八戸市、関川保幸社長、電話0178・45・7661)はヒラメ加工の増産に乗り出した。5~6月の青森産の取扱量は原料ベースで前年比5倍の100トンに達する見込みだ。新たに導入した三枚おろし機がフル回転。潤沢な冷却殺菌海水と新設の大型チルド庫で鮮度とうま味を保つ。生産性向上と高品質化の両立で取引先の需要をつかむ。
宮城県産養殖ギンザケは水揚げが日量200トンペースとなり最盛期に突入した。回転ずしの人気たねや加工原料として需要が伸びる中、浜値はキロ700円台と高値基調で推移する。活発な取引は7月中旬のシーズン終了まで続く見込みだが、高水温の影響で終了時期が早まる可能性もある。
道は16日、知事選後の政策予算となる2023年度補正予算案を発表した。水産関係では海藻藻場などがCO2吸収・貯留源となるブルーカーボンの推進に向けた事業を新規に盛り込んだほか、新たな養殖業の推進でウニの陸上養殖の技術確立に向けた実証試験に乗り出す。一般会計の補正額は45億8205万9千円で、当初予算と合わせた総額は前年度当初比2.6%増の293億8590万1千円となった。
6月8日の世界海洋デーや6月の環境月間にちなみオイシックス・ラ・大地株式会社は7日、東京・大崎の同社イベントスペースでサステナブル・シーフードの最新動向を紹介する発表会を実施した。陸上養殖やプラントベースフード(植物由来食品)を展開する企業が登壇し、水産品における環境課題を共有し、その解決策を探った。
斜里第一漁協の定置業者・有限会社豊慶漁業部(佐藤唯行代表)は昨年から自船「豊慶丸」で漁獲したサクラマス、ホッケなどの加工販売事業に乗り出している。漁業者ならではの鮮度・品質保持技法「船上活じめ」を施し、徹底した血抜き処理で一夜干しを製造。併せて痩せウニ(エゾバフン)の蓄養・加工も試行。地域・組合・前浜資源の知名度向上や魚食普及、定置経営の安定などを目指す。