今年の秋サケ商戦を展望する一般社団法人北海道水産物荷主協会(会長・根田俊昭株式会社マルキチ社長)主催の全国大手荷受・荷主取引懇談会が1日、札幌市の京王プラザホテル札幌で開かれた。商社から競合する輸入鮭鱒の生産・搬入動向について情報提供を得て消流安定策を意見交換。増産予想、在庫残存などの状況変化も見据え、売り場回復・拡大に向け、需給バランスを踏まえた価格形成、産地と消費地の情報共有による拡販体制などが必須に挙げられた。
岩手県水産技術センター(釜石市)は7月31日、2023年度(9月~2024年2月)の県内への秋サケ回帰予報を発表した。予報値は数量10万尾、重量298トン。いずれも前年度実績の6割程度で、東日本大震災前(06~10年度の5カ年平均)の1%に落ち込み、人工ふ化放流事業が本格化した1984年度以降で最低となる見通し。回帰の中心は12月上旬とみている。
ミズダコが全道的に高騰している中、北るもい漁協では前年同期の1.5倍、キロ950円の高値を付けている。羽幌本所では「昨年から上がっており今年は過去最高」と説明。水揚量も上々で金額は1.6倍に伸びている。
礼文島の天然コンブは全般的に繁茂状況が良く、自由操業による採取が進んでいる。着業者は「質の良いコンブを選んで採っている」「資源的にまだまだ採れる」などと話し、今後のナギと好天を願うとともに水揚げの上積みに力を込める。
留萌管内で稚貝の仮分散が始まった。当初の予想通り採苗器の付着量が低水準のため丁寧に作業を進めている。開始後数日の状況で「稚貝の成長は進んでいるが下のサイズが少ない」と着業者。それでも「なんとか足りそう」と気を引き締めつつ、水温も上昇しているため、より慎重な分散を心掛けている。
礼文島のホッケ刺網は春中心に好漁に恵まれた。日網で操業し高鮮度出荷。高橋宏明組合長は「春に比べて多少落ちるが夏も獲れている」と説明。浜値も昨年を上回っている。ただ「コンブが始まり操業船が少ない」と言う。
羅臼漁協で刺網を営む有限会社丸の野水産(野圭司社長)は、自船・第三十一吉定丸(19トン、野圭司船頭)で混獲される低・未利用魚などを中心に直販に力を注いでいる。高級・大衆魚も含め良質な魚だけを厳選し、希望に応じて神経じめを施すほか、冷水機を活用し帰港まで鮮度保持を徹底。産直ECサイトを通じ道内外の消費者や飲食店に発送している。取り組み開始から1年余りが経過しリピーターを多数獲得するなど一定の手応えをつかむ。今後は加工品の製造も視野に、羅臼産の付加価値向上や魅力発信に挑戦を重ねていく。
羅臼漁協の潜水漁業部会が着業する春のナマコ漁は、今年も全着業者が漁獲ノルマを達成して終漁した。一方毎年秋に行うホタテ漁は、3年前の大シケ被害から資源が回復傾向にあり、好漁を期待している。
福島県内でスーパーマーケットを展開する株式会社いちい(福島市)は、東日本電信電話株式会社(NTT東日本、東京都新宿区)、岡山理科大(岡山市)と共同でベニザケの陸上養殖に成功した。情報通信技術(ICT)や人工飼育水の「好適環境水」を駆使。1年半で、稚魚から販売できる大きさまで成長させた。今後は大規模生産に着手し、2025年の事業化を目指す。
岩手県普代村の有限会社カネシメ水産(金子太一社長)は25日、新商品の魚醤「鮭醤-KEISHO-」の発売に向け、クラウドファンディング(CF)サイト「Makuake」で資金調達を始めた。商品発表直前に工場が全焼。再起の足がかりに販売を決意した。今後も基盤の鮮魚・活魚販売に注力しながら新たな商品開発に取り組んでいく。