重茂漁協(岩手県宮古市、山崎義広組合長)は7月、新商品「重茂焼うにバター」を市重茂水産体験交流館「えんやぁどっと」限定で発売した。重茂のウニなど原材料は全て県産。素材を生かした濃厚な味わいと、ここでしか手に入らない希少性を武器に、運営する同施設への誘客を狙う。
解凍ものでも好評な生さばずし
千葉県旭市の飲食店兼旅館「カントリーハウス海辺里(つべり)」(電話0479・57・3190)の渡邉義美社長が開発した特許技術の冷凍法が隣接する銚子市の飲食店を巻き込んで青魚の付加価値を高めている。カキ殻粉末、香味野菜、塩水を特製の瓶(かめ)で寝かせて作る「熟成塩タレ」を身に浸透させ急速凍結。中小零細企業の商品開発を既存設備で簡単に行えることが強みだ。
もともとはアニサキス対策の冷凍処理の一環で開発。解凍してもドリップが少なく鮮魚のような食感とうま味が感じられる冷凍技術の開発が求められていた。目を付けたのが旭市飯岡地区で水揚げされているイワガキの殻。そのカキ殻を1400度の陶芸窯で高温焼成してできた酸化カルシウム粉末を水に溶かした水酸化カルシウムで抗菌・殺菌する。
熟成塩タレはカキ殻粉末と塩で塩分濃度15%の塩水を作る。そこに香味野菜と昆布を加えて数カ月熟成させて完成する。身にタレを漬けて細胞まで浸透させてからマイナス60度で冷凍。解凍してもドリップが少ないので臭みを抑えてうま味を引き立てられる。
沖縄科学技術大学院大学の物理生物学ユニットのチームは、商業化の可能性を持つツツイカの養殖システムを開発した。世界初という。現在特許申請中で、今後は同大学の技術開発イノベーションセンターと連携し、事業化を目指す。
羅臼漁協の一部の刺網船は船上活じめ出荷に継続して取り組んでいる。ホッケやサメガレイなど多魚種で展開。第三十三千代丸で操業する石田一美理事は「長く続けてきたことでだいぶ浸透・定着してきた」と実感。野じめを大きく上回る価格に付くなど高い評価を得ている。
「前浜で進行している磯焼けに歯止めを掛けたい」……その強い思いから、森漁協元監事の山下良慈さん(66)は、天然マコンブが付着していた廃材パイプを改良し着生・生育実験を試みた結果、大きな成果を得た。「胞子が付着し生育することが確認でき、良好な場所では引き揚げられないほど伸びていた」と山下さん。この取り組みに協力していた株式会社森機械製作所(森光典社長)は、共同発案者として特許を申請。磯焼け対策に手応えを得ており、今秋から道内各地で試験導入する計画だ。
噴火湾の稚貝採取は、渡島・胆振管内とも各地で順調に進んでいる。採苗器の付着量が多いため「若干小ぶり」と話す着業者もいるが、必要量は十分確保できる見通し。現時点では昨年のような高水温とはならず、例年同様の作業スケジュールで進んでいる。
羅臼漁協の天然コンブ漁が7月20日に始まった。総体的に不漁だった昨年を上回る繁茂状況で、増産に期待がかかる。一方、ウニの食害が目立つ漁場も点在し、着業者は良質なコンブを選びながら採取している。
羅臼漁協のニシンは7月27日現在、数量が前年同期比18%減の319トンと下回っているものの、雌雄選別出荷したことなどによりキロ平均単価が3.3倍の137円に上昇、金額を2.7倍の4380万円に伸ばしている。
天然コンブが始まるまで刺網に着業していた漁業者は、春の操業でニシンを雌雄選別して出荷。「オスメス込みだとキロ60~50円程度だが、選別してメスは400円に付いた。平均的にメスの漁獲割合が高いので、手間は掛かるが選別した方がいい」と話す。同漁協は「オスの価格も高かった」と示す。
室蘭漁協はイベント出店や加工品の販売を通じ、収益基盤の多角化を目指している。営業企画部が中心となり、地域のイベントで販促活動を展開。オリジナルのグルメ商品を開発し来場客の好評を博すなど、順調な滑り出しを見せた。今後は道の助成金を活用し急速冷凍設備を導入、干物などを売り出す。
紋別漁協でミズダコの浜値が堅調だ。序盤からキロ900円台の高値基調となり、7月26日は998円と強含み。水揚量は多い時で日量6~7トンになったが現在は2~3トンペース。昨年よりも低調に推移している。