「目指すのはベンチャー」。そんな創業間もない成長途上の企業のようなビジョンを掲げるのが鵡川漁協だ。2020年度の販売取扱高が約4億円と北海道内では小規模な漁協だが、昨年9月に開設した鮮魚直営店の売り上げが好調に推移。ホタテの資源造成にも打って出るなど、組合事業の付加価値化と漁業者の所得向上を実現しようと、知恵と行動力を結集している。
北海道内のアサリ主産地として知られる厚岸漁協。道水産林務部がまとめる北海道水産現勢によると、2019年の全道漁獲量は1488㌧で、厚岸町産は約7割の1004㌧を占める。厚岸湖内の造成漁場「アサリ礁」では約170軒が着業。漁業者が取り組む漁場の管理・保全などが堅調な生産状況を下支えしている。中でも本来は田畑で使う耕運機を導入する漁家が約10軒存在、漁場管理に工夫を凝らし、成育環境の向上につながっている。
北海道内のアサリ主産地として知られる厚岸漁協。道水産林務部がまとめる北海道水産現勢によると、2019年の全道漁獲量は1488トンで、厚岸町産は約7割の1004トンを占める。厚岸湖内の造成漁場「アサリ礁」では約170軒が着業。漁業者が取り組む漁場の管理・保全などが堅調な生産状況を下支えしている。中でも本来は田畑で使う耕運機を導入する漁家が約10軒存在、漁場管理に工夫を凝らし、成育環境の向上につながっている。
新型コロナウイルス禍で2020年に減速したホタテの海外輸出は、昨年の世界的な経済活動の再開と他国の生産減を背景に、玉冷アソートの大型組成も相まって大幅な回復を見せた。水産庁は海外のさらなる販路拡大を進めようと、ホタテに関わる関係団体で組織する「日本ほたて貝輸出振興協会」を設立。新規市場の開拓などに力を入れる構えだ。
北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの四ツ倉典滋准教授は、昆布加工大手のフジッコ株式会社(神戸市)と連携、共同施設で育種の研究を進めている。道内を中心に100産地以上の培養株を保存、交配・交雑を行い、高水温や貧栄養といった環境耐性に優れる株を選抜していくなど長期的な視点で技術開発に注力している。
水産物の関心を高めようと、ユーチューブで漁模様などを配信する漁業者が増えている。新星マリン漁協の指導漁業士・佐賀友三さんもその一人。留萌市などと連携しながら情報発信に力を入れている。昨年12月には、講師を務めカジカ調理を教えた市主催の食育体験教室も動画配信。安価魚の付加価値向上、魚食普及を目指し、各団体が協力し合っている。
非対面で24時間いつでも手軽に購入できる自動販売機。魚の消費や調理離れが叫ばれる若年層への訴求も兼ねて、その自動販売機で水産品の拡販に乗り出したのが、札幌市の水産加工卸・有限会社千葉水産(千葉信幸社長、電話011・784・2453)。商品は骨を取り除いた切り身「骨のない魚」。購入後すぐに料理に使え、手軽さは“2倍”。昨年8月の販売開始以来、予想以上の売れ行きを見せ、魚食拡大の新たな販売方法として手応えを得ている。
3年連続2千万尾割れの低来遊となり、地域間格差も深刻化した昨年(2021年)の北海道の秋サケ。ただ、道総研さけます・内水面水産試験場の解析によると、18年級の3年魚が予測を大幅に上回ったほか、5年魚で回帰した16年級がオホーツクや根室・北部などで高齢化に転じ、資源回復へのサインが現れ、来季に向けて全道規模では光明も差した。
秋サケ製品の消流は、ヒネ在庫の払底や水揚げ不振などから、親、卵とも、供給量は引き続き低水準。ただ、高値形成に加え、競合する海外鮭鱒の搬入増加が見込まれ、道漁連は新漁までの在庫の適正化と売り場の確保を重点に各種対策を講じていく。
道東沿岸を中心に秋サケやウニが大量へい死するなど甚大な漁業被害をもたらした赤潮。漁場の被害・資源状況を把握する上で活躍が期待されるのが小型無人潜水機「水中ドローン」。札幌市の株式会社アイ・ティ・エス(下川俊克社長、電話011・743・1707)は最新機も含めさまざまな機種を販売、各用途に適した機種を提案する。要望に応じて初心者向け講習会も実施している。
北海道の漁業は昨年、イカや秋サケといった主要魚種の低迷が続いた一方、羅臼では定置網にサバが大量乗網するなど異変も起きた。北大名誉教授で函館国際水産・海洋都市推進機構函館頭足類科学研究所所長の桜井泰憲氏に海洋環境や気候変動に伴う資源状況や将来的な見通しについて聞いた。