南かやべ漁協の定置は、春にホッケやニシン、マスなどが乗網した。木直地区で操業する尾上美彦理事(有限会社ヤマダイ尾上漁業部)は「4月1日の開始から多魚種で漁に恵まれたのは初めて」と振り返る。ただ、おおむね浜値は安く、漁最盛期はホッケがキロ20円台、ニシンは10円台まで下がったという。
北海道産秋サケの消流状況は、親製品が水揚げ不振による供給過少と内食向け需要の増加で在庫水準は低位だが、安定供給のチリギンとの売り場競合が激化。いくら製品は国産に加え、輸入卵も不漁で供給減から高値に張り付いているものの、今年豊漁予想のロシア・アラスカのマス子が焦点。今期もコロナ禍に伴う消費動向の変化、水揚げ回復時に向けた売り場の堅持が引き続き課題となる。
NECグループは陸上養殖事業に本格参入する。グループでICT技術に強いNECネッツエスアイ株式会社(東京都)、その子会社であるNESIC陸上養殖株式会社(山梨県)が、ネッツフォレスト陸上養殖㈱(東京都)と協働して事業化を進めている。7日には、山梨県南都留郡西桂町にグループ初となる大規模商用施設「富士・桂川ファクトリー」を着工した。2022年9月竣工し、23年秋のサーモン出荷を目指している。
札幌市の丸本本間水産株式会社(梶原博之社長、電話011・756・3011)は、主力の数の子で通年消費の機会創出、若年層への食習慣の継承に向けた商品展開に挑んでいる。洋風の味付けや料理素材に使える利便性などで訴求。また、サケとばの珍味、アルコール急速凍結の道産すし種も手掛け、商品力を高めている。
宮城県で高級魚ホシガレイの資源造成が進んでいる。漁獲量は10年で約4倍に増え、キロ約4千円と県内の水揚げ魚種で特に高値が付く。北・中・南部各地区の栽培漁業関連団体が中心となり、今季は稚魚10万尾を中間育成して放流する計画。漁業者の所得向上を目指し、育成事業を全県的な取り組みに発展させたい考えだ。
宮城県石巻市は今年度、再生可能エネルギー(再エネ)を活用した低コスト型陸上養殖の実証調査事業に乗り出す。ギンザケ稚魚とウニを対象に、調査結果を基に採算性も考慮した養殖技術マニュアルを作成。地元事業者らに周知し、漁業所得の向上や担い手不足の解消、加工原料の安定供給などにつなげていく。
サーチライトなど船舶用電気機器製造販売の三信船舶電具株式会社(東京都千代田区、山田信一郎社長)は、埼玉県春日部市に工場と配送センターを新設した。これまでの足立工場(東京都足立区)から移転・拡張したもので、6月から本格稼働している。足立工場ではできなかった各種試験設備を充実させることで、より品質を重視した製品の製造が可能になった。浜のニーズに応えた新規格の製品製造にも期待が高まる。
新型コロナウイルス禍の影響を受け2年目となった玉冷の消流環境は、予想以上の内販消化で期首在庫が払底した中、大型組成と旺盛な海外需要を背景に相場高で新シーズンを迎えた。小型化した昨年とは打って変わって大型組成と見られる今年は、東南アジアや北米中心に海外需要が堅調。3Sの消費地価格はキロ3千円に達した。内販は売り場を回復した量販店や回転ずし店など国内マーケットの吸収力に注目が集まっている。
道総研さけます・内水面水産試験場は6月28日、今年の北海道の秋サケ来遊数予測値を昨年実績比8.5%減の1677万2千尾と発表した。予測通りの場合、平成以降最低。加えて近年の若齢化傾向による平均目廻りの小型化が続けば、沿岸漁獲量は重量ベースで4万トン台前半。3年連続の5万トン割れで、秋サケの生産・加工流通は依然厳しい局面が懸念される。
道漁連は、6月末時点での本年度道内コンブ生産見込みを1万3020トンとした。過去最低だった昨年度実績(1万2873トン)に比べ1.1%増。過去10年平均(1万5271トン)と比べると14.7%下回り、今季も低水準の生産となる見通し。