飲食業などを営む札幌市の株式会社WINST(加藤大吾社長)は、新規事業で水産加工に乗り出した。常呂漁協の若手漁業者で組織する「マスコスモ合同会社」(柏谷晃一代表)など産地仕入れの北海道産を扱う「あくと水産」と、規格外魚の有効利用など食品ロス削減活動を掲げる「SFPlab」の2ブランドで商品展開。「楽しい」の演出を加えた「新たなおいしい」をコンセプトに全国発信に臨んでいく。
「あらためて反対」「納得できない」―。国が4月13日に方針を明らかにした東京電力福島第一原発の処理水放出。大量の海水で希釈し、放射性物質の濃度を国の基準より十分低くすると説明するものの風評被害への懸念は強い。宮城県漁協の寺沢春彦組合長は「まずは国民や諸外国への説明責任を果たさなくてはだめだ。安心が担保されない限り到底受け入れられない」と憤りを隠さない。福島県や隣県の漁業関係者らは風評の恐ろしさが身に染みている。
網走漁協のホタテ稚貝養殖船「第十八翔由丸」(15トン、アルミ)がこのほど竣工、4月14日に母港・網走港でその雄姿を披露した。操作性・安全性の向上はもとより稚貝出荷作業の効率化を重視。船主のほたて養殖部会副部会長・田口公司さんは「希望通りの船体に仕上がった。前船より大型化し安定性も増している」と大満足。5月末に始まる稚貝の出荷作業で本格デビューする。
昆布製品製造卸の株式会社丸善納谷商店(函館市、納谷英雄社長)は、有機JASの制定が検討されている海藻で認証取得を目指している。研究機関に加えコンブは戸井漁協小安地区、ワカメはひやま漁協奥尻地区の若手漁業者と連携し、培養液を使わず生産した種苗を用い試験養殖を進めている。2年後の製品化を見据え、昆布で取り引きのある英国の商社に輸出する計画で、有機(オーガニック)志向が高い欧州での日本産有機海藻の浸透を図る。
道総研函館水産試験場は戸井漁協小安・東戸井両地区と連携、成熟誘導(人工的に子のう斑を形成させる技術)を用いた早期生産種苗のマコンブで試験養殖を進めている。通常の促成マコンブより沖出し時期を前倒しできるため、成長が早く、付着物増加前に収穫できることや厳冬期の間引きを避けられることが利点。「この養殖方法を確立できれば生産性・作業性の向上につながる」と浜側の期待も大きい。
留萌管内4単協(増毛・新星マリン・北るもい・遠別漁協)で、地まき用稚貝の出荷作業が始まった。シケ休みは少なく出荷ペースは順調だが、例年にない成長不足と生残率の低下で、計画粒数に対する出荷量は7~8割にとどまる見込み。各単協とも成長のもうひと伸びに期待を寄せている。
岩内郡漁協の底建網はホッケやマダラの水揚げが順調に推移している。ただ、ホッケの魚体が小ぶり。浜値は2桁で盛り上がりに欠いている。約10軒が操業。太田誠組合長は「ホッケの日量は各軒約1トン。全体では約10トンで推移している」と説明する。浜値は3月31日が40~20円。
鮮魚卸の大森式流通(宮城県石巻市、代表・大森圭株式会社 ダイスイ社長)が神経じめした魚は、野じめ処理の物に比べてイノシン酸が30倍近く含まれるなど、うま味成分に優れていることが分かった。数値化することで「おいしさ」を科学的に証明した大森代表は「手間はかかるが、処理一つで高く売れるようになったら漁業の未来は変わるはず」と意気込みを新たにする。
岩内町の一八興業水産株式会社(紀哲郎社長、電話0135・62・1811)は、レトルト加工の設備・技術を生かし、カジカやソイなど前浜で水揚げされ、従来原料に低利用魚の加工・販売に取り組んでいる。「一八食堂」と銘打って、骨まで軟らかく食べられる煮魚に作り上げ、味付けも多彩にシリーズ展開。価格評価が低い魚の付加価値を加工技術で高める原点に臨んでいる。
株式会社 極洋(井上誠社長)は新中期経営計画「Build Up Platform 2024」(2021~23年度)を発表した。「事業課題への継続的取り組み」と「持続的成長への挑戦」を柱とし、社会と共有すべき価値を創造することで、新たな成長への礎となる「高収益構造への転換」を目指す。