ひやま漁協奥尻地区青年部成養部会(雁原幸正代表)が取り組むイワガキ養殖は、将来的にシングルシード方式を柱とする生産を目指している。出荷までの養殖期間が短く生産効率が上がることが利点。加えて、型や身入りの安定化も期待できる。昨年からは本格的に「奥伎(おうぎ)」の名称でブランド展開。雁原代表は「シングルシード生産が確立できれば、奥尻産イワガキのブランド力を高めることができる」と強調する。
凍結機器の製造会社や、機器を専門に扱う商社が冷凍食材を自ら販売する事業に乗り出している。食材の品質を損なわない急速凍結といった技術を盛り込んで事業を展開。専門会社直結のノウハウが詰まった食材・商品構成に注目が集まる。これまで流通する機会の少なかった地方の産品にも焦点を当て、その販路開拓に役立てている。生産者が高品質な食材を適正価格で販売できる新しい流通の形としても期待が高まる。
東しゃこたん漁協の佐藤正樹副組合長は道総研中央水産試験場と手を携え、積丹町神威岬近くで岩ノリ(ウップルイノリ)の増殖事業を推進している。佐藤副組合長は「今年の繁茂状況が一番だった」と話す。
渡島噴火湾では6単協(長万部・八雲町・落部・森・砂原・鹿部漁協)とも耳づり作業の最盛期に入った。地区や産地によって成育状況は異なるものの、大半の着業者は「変形貝が少なく昨年より成長している」と好感触。5月中の終了を見込んでいる。
日高管内の一部の浜では、シーズンオフの干場にシートを被せて保護している。風によってバラス(玉砂利)の上に砂が堆積するのを防ぐ。浦河地区の高桑陵さんはブルーシートの隙間からも砂が浸入しないよう風向きを考慮した敷き方に工夫。加えて通常のシートより耐久性に優れるUVタイプを使用、劣化による異物混入防止にも配慮する。
渡島噴火湾のエビかご春漁が振るわない。3単協(砂原・森・落部漁協)とも1隻日量数十キロと苦戦しており、3月後半から2~3日留めの操業が続いている。組成は中主体。浜値は大がキロ5千円台と堅調。着業者は「高値でも数量が少な過ぎてカバーできない。リリースの小エビが薄く秋漁も心配」と気をもんでいる。
住宅リフォームの設計施工や貸倉庫業などを営む株式会社SUUMA(札幌市、須間友美社長、電話011・676・5937)は、酸水素ガスを使ったエンジン燃焼室のクリーニング事業を昨秋に始めた。漁船エンジン内部に付着したカーボンを取り除き、燃焼効率の向上やエンジンの負担軽減を実現。石狩湾漁協の漁業者を中心に口コミで評判が広がり、道内各浜から受注件数が右肩上がりで伸びている。
大津漁協のエゾバイツブかご着業船は船に選別機を搭載、出荷サイズに満たないものは海中還元を徹底している。
コンパクトサイズでブリッジ前などに搭載。水揚げしたエゾバイツブを投入、網状の回転式ドラム内でふるい分けられる仕組み。ドラム下に受けかごを用意、目から落下してきたエゾバイツブは出荷せず海中還元する。
標津漁協の小定置や底建網でニシンが好漁だ。例年より10日程度早く4月上旬に乗網し、14日現在で1658トンと、昨年の総漁獲量の6割を超えた。今年から魚価向上に本腰を入れ、漁業者によるオスとメスの選別も一部実施。浜値が上昇し、金額は7810万円と昨年累計の5975万円を3割上回っている。
不漁が続く三陸のイサダ(ツノナシオキアミ)漁が予定の漁期を待たずに終了した。漁業情報サービスセンター(JAFIC)によると岩手、宮城両県の今季水揚量は計4112トン(前年比2.1倍)。2年連続の不漁に伴う在庫薄を反映し、1キロ当たりの平均単価は231円(同2.4倍)と高騰した。
イサダは養殖魚や釣りの餌となるほか、健康維持効果のある成分を含むことからサプリメントの原料にも使われるなど近年需要が拡大している。