今季の秋サケ商戦を展望する全国大手荷受・荷主取引懇談会が4日、札幌市のロイトン札幌で開かれた。北米産ベニザケの豊漁など世界的な鮭鱒生産動向を留意点に意見交換。親製品は中国・加工業者の経営難など輸出環境が厳しく、国内向け冷凍の消流安定策を探った。いくらはマス卵の搬入増が想定され、慎重な価格形成が課題に挙がった。
岩手県水産技術センターは4日、同県の秋サケ回帰予報を公表した。511万尾、1万6731トンと予測。昨年度(526万尾、1万7575トン)並みとなり、引き続き震災前を大きく下回る。回帰時期は11月下旬が中心で、昨年度に比べ10月下旬から11月中旬が少ない見通しだ。水揚げは1万6千トン程度が見込まれることになる。
歯舞漁協の刺網は7月下旬からマダラの水揚げが伸びてきた。7月中旬まで日量数十箱だったが、千箱超の水揚げが続いている。操業は刺網専業船団15隻(20トン未満)と5トン未満船が数隻。5月から不漁が続いていたが、7月下旬に入って盛り返してきた。
宮城県の種ガキが豊作見込みとなった。7月下旬、松島湾と石巻湾の渡波地区、牡鹿半島方面のいずれも良好な種苗付着となり、これまで厚種傾向。付着原盤の仮殖棚への移動が松島湾に続き石巻湾でも活発化している。例年と同様に暑さや日差しによる死滅リスクはあるが、松島湾で3年ぶりの好付着となったことで、県内外への安定供給が期待される。
道漁連はこのほど、冬場の大シケで被害を受けたオホーツク海沿岸のホタテ生産見込み量をまとめた。過去10年間で最低となった修正計画から、さらに1万700トン減産の20万8395トンに下方修正。浜値高騰で内販市況が停滞する中、輸出頼みに一層拍車が掛かっている。
道東沖で小型サンマ棒受網船(10トン未満船)のマイワシ試験操業が7月下旬に始まり、出足の操業は順調だ。主力の釧路港では1日25、26隻で50トンほどを水揚げ。ただ、組成は昨年より小型で、特大が獲れていた6月のたもすくい漁のキロ千円台より単価が下落。高値400円台から安値50円とばらつきも大きい。
紋別漁協所属・松井漁業(松井雅嗣代表)の勢幸丸(14トン)=写真=は刺網船で唯一、株式会社河上(東大阪市、河上明史社長)の推進機「タンデムスラスター」を搭載している。離岸時や漁場の移動時に小回りが利き、松井代表は「航行性や作業性が向上した」と太鼓判を押す。
網走漁協のマス小定置は、7月下旬から1隻当たり100尾以上の水揚げが増え始めた。サイズは2キロ台の良型も見え、着業者は好漁に期待を膨らませている。
日高定置漁業者組合は、「銀聖」プロジェクト活動の一環で、日本の食文化などを学ぶ米国人高校生を受け入れ、7月25日、えりも町の歌別さけ・ますふ化場で増殖事業やサケの生態などの講習、サケの裁割実演などを行った。
サンマ漁は8月中旬から全さんま所属船が出漁し本番を迎える。近年漁場の北偏・沖合化など漁獲動向は不安定だが、秋の味覚を代表する人気の大衆魚。本特集では今季の漁況見通しや消費動向、安定供給に向けた生産者・産地の取り組み、消費地の販売戦略などを紹介する。