岩手県産養殖干しコンブの今季共販入札会が終了した。7月から素干し・本干しの順に2回ずつ計4回行われ、合計数量は前年比13%増の276トン(素干し66トン、本干し210トン)。価格は2~3割高で推移した。5日に行われた本干しの2回目(今季最終)入札では田老町漁協出荷の長切1等が10キロ3万8690円の値を付け、市場関係者から驚く声が上がった。入札会はすべて県漁連北部支所(宮古市)で行われた。県漁連によると高水温の影響により3年ほど前から続いていた減産傾向が「今季は若干だが回復」。買受人らの品質に対する評価も上々だが、相場は強含みで推移した。
日高中央漁協のコンブは、不漁だった昨年に比べて繁茂状況が良く、各地区採取日数を伸ばしている。全8地区の累計は11日現在で141日に達し、昨年(最終実績49日)、一昨年(同110日)を上回る日数を確保。増産が期待される。
えりも漁協のコンブ採りはこれまで順調に出漁。全10地区の累計採取日数は、不漁だった昨年の最終実績98日(320時間)を大きく上回り、5日現在で165日(607時間)とした。昨年に比べて総体的に繁茂状況も良く、増産が期待される。同漁協は「昨年が極端な不漁で最近の中では最も悪かった」とし、今季の増産に期待。全体の採取日数は「一昨年(228日)が良かった。今年もそれに近いくらい出られれば」と海況と天候の安定を願う。
道南・黒口浜に位置するえさん漁協の天然マコンブは古武井・尻岸内両地区で採取。ただ、陸側の限られた場所にしか着生しておらず、着業者は「沖には全くない。少しでも資源が回復してくれたら」と願う。
南かやべ漁協のコンブで主力となる促成養殖は、水揚げが順調に進みほぼ終了した。本年度は、昨年度実績(2123トン)を上回る2355トンの生産を計画するが、枯れが早かったことなどを考慮し、同漁協は「計画数量を若干下回るのでは」と見込む。また今季はコケムシの付着も早く、着業者は洗浄・除去作業に苦慮した。
羅臼漁協の天然コンブは、3月に接岸した流氷の影響で陸側漁場の資源状況が芳しくない。8月に入って自由操業での採取が進んでおり、着業者は「出漁日数は順調。少しでも多く水揚げできれば」と力を込める。7月22日にスタート。同月7回、8月は7日現在で6回と順調に出漁。約130人が着業する。
礼文島の天然コンブ漁が最盛期を迎え、自由操業での採取が進んでいる。今季はナギや天候に恵まれない日も多いが、島全般的に繁茂状況が良く、着業者は「順調に水揚げできれば」と力を込める。
利尻漁協の天然コンブ漁が7月上旬に始まった。資源状況が良好な地区もあり、順調に採取が進むと増産が期待されるものの、ナギや天気に恵まれない日が多く、着業者は今後の海況と天候の安定を願っている。鴛泊・鬼脇両地区は7月5日、仙法志・沓形両地区が10日に解禁。25日現在、鬼脇地区以外が旗操業で2回採取した。
えさん漁協では促成マコンブの水揚げ・製品づくりが順調に進んでいる。日を重ねて実入りは徐々に向上している一方、例年に比べて珪藻の付着が目立つ浜もあり、着業者は洗浄機を使って除去している。
コンブの大規模養殖生産技術確立を目指し、理研食品株式会社(宮城県多賀城市、宮澤亨社長)が岩手県大船渡市で実証試験を重ねている。7日に経過を観察する収穫を行い、順調な進行を確認した。従来の水平養殖方式と異なり、親縄にロープを垂直につるす垂下方式2種に取り組む。温暖化の要因となるCO2(二酸化炭素)の吸収源として、脱炭素社会実現へ多様な利活用が進むコンブの大量供給に寄与し、確立した技術の養殖漁業への転用も期待される。