昆布製品製造卸の株式会社丸善納谷商店(函館市、納谷英雄社長)は、有機JASの制定が検討されている海藻で認証取得を目指している。研究機関に加えコンブは戸井漁協小安地区、ワカメはひやま漁協奥尻地区の若手漁業者と連携し、培養液を使わず生産した種苗を用い試験養殖を進めている。2年後の製品化を見据え、昆布で取り引きのある英国の商社に輸出する計画で、有機(オーガニック)志向が高い欧州での日本産有機海藻の浸透を図る。
道総研函館水産試験場は戸井漁協小安・東戸井両地区と連携、成熟誘導(人工的に子のう斑を形成させる技術)を用いた早期生産種苗のマコンブで試験養殖を進めている。通常の促成マコンブより沖出し時期を前倒しできるため、成長が早く、付着物増加前に収穫できることや厳冬期の間引きを避けられることが利点。「この養殖方法を確立できれば生産性・作業性の向上につながる」と浜側の期待も大きい。
道水産物検査協会がまとめた道産コンブ格付実績は、3月単月が前年同月比9%減の497トンにとどまり、2020年度累計で過去最低だった前年度を0.4%下回る1万2873トンに落ち込んだ。
JF全漁連と水産庁はこのほど、2020年度「浜の活力再生プラン」優良事例表彰を実施した。古平町・積丹町地区水産業再生委員会(積丹町分会)が水産庁長官賞を受賞、ウニの安定生産への取り組みやウニ殻を活用した循環型のコンブ増養殖、ブリのブランド化への取り組みが評価された。
函館市漁協石崎地区の促成が順調に生育している。コンブの伸びは例年に比べ良好で、2月に続いた低気圧による大シケでも目立った被害はなかった。すでに間引きは終わり、今後施設の雑海藻駆除など手入れを進め、夏の収穫期に向け成長を促す。
えさん漁協椴法華地区で、促成の間引きを利用した「おとひめこんぶ」の生産が始まっている。春の薄く軟らかい若葉を乾燥させた早煮昆布で、着業者は乾燥機の温度や風の循環に気を配りながら良質な製品に仕上げている。
えさん漁協で養殖コンブの間引きが進んでいる。夏の収穫期に向け1株当たりの本数を減らし生育を促す作業。日浦~恵山地区ではこれまで低気圧による大きなシケ被害はないものの、例年に比べ繁茂が薄く予備のコンブなどで補てんしている。
函館市尾札部町の能戸フーズ株式会社(能戸圭恵社長、電話0138・63・3211)は、南茅部産がごめ昆布、真昆布の消費拡大に向け、「食べる」商品の開発・販売を重ねている。女性をターゲットに、美容や健康志向に適応した商品も展開。今年はアフター・ウィズコロナを見据え、ネットショップ「昆布村」をリニューアルし、直販の強化も進めている。
松前さくら漁協の養殖コンブは、2月に低気圧による大シケが続いた影響で綱が切れるなどの被害を受けた。着業する木崎吉三理事は「台風並みの大シケだった」と振り返り「ここまで大きな被害は初めて」と話す。
戸井漁協東戸井地区でミツイシ養殖に着業する芳賀浩平さんは、幹綱への雑海藻付着を防ぐため農業用灌水チューブを活用している。幹綱にかぶせるようにチューブを取り付けホチキスで留めて固定。試験的に導入した昨秋以降、雑海藻の付着はほぼ皆無。芳賀さんは「チューブ表面に若干付いた箇所もあるが、手でなぞるだけで簡単に落ちた」と効果を実感。「細部を改良し来季から本格的に使いたい」としている。