南かやべ漁協の主に定置で漁獲する魚種は、21日現在のまとめでイワシが数量、金額ともに昨年同期比4倍超と伸長。サバやニシンも水揚げを大幅に伸ばしている。イワシは数量が前年同期比4.4倍の7481トン、金額は4.7倍の3億8千万円、キロ平均単価は9%高の51円。サバは数量が61%増の1035トン、金額は38%増の6600万円、キロ平均単価は15%安の64円。ニシンは春主体の水揚げ。数量が2.2倍の2069トン、金額は2倍の7765万円、キロ平均単価は7%安の28円。
南かやべ漁協のコンブは、天然・養殖合わせた全体の生産が昨年度実績(2565トン)を下回る見込み。水揚げの大半を占める主力の促成が昨年採苗が遅れたことに加え、1~2月には相次いでシケ被害に見舞われるなど苦慮。同漁協は「全体の計画数量2442トンから10%程度減る見通し」と示す。
漁業者中心の有志団体・ブルーフォーラム、飲食業者の株式会社エー・ピーホールディングス、加工業者の株式会社紀文産業は協業で未利用魚を活用した商品企画を進めている。第1弾は標津産カジカ。可食部の歩留まりが低く、産地外に流通することが少ないため、一時期は浜値がキロ5円。3社が強みを生かし、カレー、麻婆ソース、バーニャソースの加工品を開発し、価値を高めていく。クラウドファンディング(CF)で活動の周知と資金調達を行っている。
網走漁協の稚貝仮分散が8日に始まった。今年の採苗は、不調だった昨年以上に苦戦しており、計画粒数の確保が厳しい状況。ほたて養殖部会長の田村隆理事(第十八幸隆丸=14トン)は「希望的観測でも最終的な生産量は計画の6~7割」と見込んでいる。
宮城県水産技術総合センター(石巻市)は16日、2024年度の県内への秋サケ来遊数を1万尾と予測し、過去最低だった前年度並みにとどまる見通しを示した。海水温の上昇や資源量の減少が響き、最低水準からの回復は困難な状況だ。予測数量は沿岸漁獲と河川捕獲の合計で、シブリング法(前年の2年魚の来遊数から3年魚の来遊数を、前年の3年魚の来遊数から4年魚の来遊数を推定)に基づいた。7千尾~1万6千尾の来遊となる確率が約80%。沿岸漁獲から算出した23年度の平均目廻り(2.78キロ)で換算すると、24年度の予測重量は27.8トン(最少19.5トン~最多44.5トン)となる。
岩手県産養殖干し(本干し)コンブの今季初入札会が9日、宮古市の県漁連北部支所で開かれた。県内4漁協が前年同期比2%減の155トンを上場。減産が計画される中、品質は上々で、主力の棒は同2割高の10キロ2万円前後で落札された。漁協別上場数量は重茂が同8%増の101トン、田老町が同17%減の50トン、小本浜が同35%増の4トン、田野畑村が同59%減の1トン。買受人は「実入り、色つやともに上出来。数は少ないが、モノは良い」と評価した。
第26回「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」(大日本水産会主催)が21~23日、東京ビッグサイトで開催された。「シーフードビジネス×技術革新で水産の未来を創る」をテーマに約630社が出展。国内だけでなく、海外からも多くの来場者が参集し、熱意に満ちた商談を繰り広げた。全漁連は会員8団体と合同出展し「プライドフィッシュ10周年」を来場者に訴求。消費拡大のための販路開拓につながる商談やPRを行った。青森県漁連は陸奥湾産ホタテや十三湖産シジミ、宮城県漁協はみやぎサーモンやワカメ製品を出品、試食提案には多くの人だかりができていた。
水産庁は、昨年8月下旬のALPS処理水海洋放出開始から約1年が経過するのに合わせ、ホタテの生産・輸出・消費状況をまとめた。輸出先の多角化が進んでいることを示し、昨年度懸念されていた在庫の過剰積み上がりはおおむね解消されていると認識。今後も国内消費の拡大や輸出拡大に取り組んでいくことが必要との見解を強調している。
今年の秋サケ定置網漁で河川そ上数が親魚捕獲計画を下回る予測が示されている渡島管内、胆振管内、えりも以東海域、根室海域は、操業始期から自主規制措置を実施する。網入れ時期を遅らせ、河川へのそ上を促し、再生産用親魚の確保に万全を期す。
北大水産学部の学生を中心に漁村訪問や水産物の移動販売などの事業を推進する団体「レディ魚ー(ゴー)」で代表を務める同大学水産学部3年の北浦優翔さんと、工学部3年の松岡直哉さんは大学を休学し、今春から標津町の漁師で組織する標津波心会(林強徳代表)の下で漁業やゲストハウスの運営などに奮闘している。大学の授業では学べない魚や自然との向き合い方などを現場で研さん。これから水産業に深く携わっていくための礎を築いている。