道総研釧路水産試験場はアサリ漁での作業省力化と生産性向上を支援しようと、農業用芋堀り機を改良したアサリ漁の機械化とともに土壌耕運効果の検証に2022年度から乗り出した。調査研究部管理増殖グループの深井佑多佳さんは「道内のアサリ主産地である道東で機械化を進め、高齢化で漁業者が減少しても漁業生産量を維持、向上できれば」と話す。
道総研稚内・網走両水産試験場は、海藻類の陸上養殖技術の開発と生産モデルの構築に向けた取り組みを進めている。道産のアオサ類や寒天原藻(テングサ類やオゴノリ類)などを対象に、生産コストを低減させる手法や効率的な育成条件を検討するほか、高付加価値化を図るため有機種苗生産技術の開発にも注力。道産海藻の知名度向上と利用拡大を目指す。
青森県漁連は2023年度ホタテ水揚げ年間計画を確定した。数量は成貝が増加を見込む一方、半成貝の大幅な減少で前年度比24%減5万5500トンと設定。キロ平均単価(税抜き)は7%高207円とし、金額は18%減115億900万円と試算。単価高で金額を補い100億円台を見込んでいる。
えさん漁協椴法華地区のホッケ刺網春漁は水揚げが堅調に推移している。寿孝丸で操業する川口孝秀ほっけ刺網部会長は「まずまずの漁模様。連休明けも切れずに獲れている」と話す。一方浜値は安く、中サイズでキロ100円台に付いている。
株式会社北三陸ファクトリー(岩手県洋野町、電話0194・75・3548)はオーストラリアで、磯焼け海域で採捕したウニを身入りの良い個体に育て直す「再生養殖」事業に乗り出す。来年にも現地生産を開始する計画で、「北三陸の地から世界の水産業の未来を創っていきたい」と下苧坪之典代表取締役CEO(最高経営責任者)。北海道大などと6年かけて確立した技術を生かし、商品価値の低い痩せウニの活用を藻場の保全・再生に役立てて豊かな海を取り戻す。
2023年産三陸ワカメの共販が10日終了した。全漁連東北事業所(仙台市)によると、数量は前年比6%減2万646トンで、過去最低だった21年とほぼ同水準。栄養塩不足による最盛期の生育不良が大きく響いた。減産を受け、平均単価は17%高キロ266円と高騰。金額は9%増54億9258万円だった。
水産物卸売・水産加工を手掛ける旭川市のくまだ株式会社(熊田泰也社長、電話0166・47・1310)は、新たな商品開発に乗り出す。コロナ禍の影響で当初計画より期間を有した外食部門の新店舗出店が昨年完了し、製造部門の展開を強化。3月に液体急速凍結機も新規導入し、生食用や加熱調理済みなど従来手掛けていないカテゴリーで取引先などのニーズを踏まえて打ち出していく。
北海道のコンブ漁は道南の養殖や道東のさお前を皮切りに始まり徐々に本格化、夏場に最盛期を迎える。生産量を示す道水産物検査協会の格付実績は昨年度、渡島と釧路、根室の主要3地区が過去最低に低迷、道内全体で1万970トンに落ち込み4年連続で最低を更新した。流氷被害や天候不順といった自然環境だけでなく着業者数の減少も減産要因の一つに挙げられ、増産対策と併せ担い手対策も喫緊の課題となっている。
昆布やワカメ、海産物を加工する株式会社タイヨー(境秀和社長)は、本社兼工場を千葉県茂原市に移設、5月に本稼働を始める。建屋は全体的にコンパクトにし、管理の行き届きやすいようにした。従業員には働きやすく、また衛生度を高めた施設で安全安心に配慮した製品を供給していく。
コンブ漁場の維持・回復で重要な取り組みの一つが雑海藻の駆除。民間業者による機械式のほか漁業者が自ら行う駆除もあり、道内各地でさまざまな手法で実施、コンブ胞子の岩盤への着生環境を整備している。