コンブは北海道が誇る水産物の一つ。北前船航路「昆布ロード」によって関西や北陸など各地に根付き、日本の食文化を形成する重要な役割を担ってきた。ただ生産量は減少傾向で今季も低気圧や台風の影響で苦戦を強いられた。だし系を中心に消費も鈍い。本特集では資源増大・需要喚起に向けた取り組みなどを紹介する。
北海道昆布漁業振興協会や北大などが取り組むコンブ資源増産実証試験が前進している。胞子入りセルロース溶液を散布する手法で、えりも漁協平宇地区では散布由来のコンブが採取対象に。今季は新たに道南でも予定、徐々に実施地区も拡大している。また散布状況を確認しやすいように食紅入りセルロースを使ったり、散布器具の改良で作業効率化を図るなど技術向上にも注力する。
道南の養殖施設などに繁茂する紅藻「ダルス」。カナダやアイルランドでは食用として親しまれているが、日本国内では低利用資源で一般的認知度も低い。本格的な産業利用に向け道立工業技術センター(函館)を中心に産学官共同で研究、本年度は「加工」「栄養成分」「人への効果」を柱に知見収集を進めている。また来季は収穫増を計画。乾燥品の供給も視野に入れる。
日本昆布協会(田村満則会長)は10月27日、東京都内のホテルで、消流宣伝事業をサポートする「昆布大使」と懇談会を行った。会員企業代表者46人が参集。昆布産地出身者のほか管理栄養士や野菜ソムリエなどの資格を持つ大使21人と意見交換、消費拡大のヒントを探った。
【大阪・西宮】株式会社永楽(大阪市、藤橋健太郎社長、電話06・6341・4720)はこのほど、つくだ煮や塩吹きなど既存の全商品を完全無添加にシフトした。卸や西宮市内に構える店舗「苦楽園こんぶ処永楽」で生まれ変わった新商品を提案。アミノ酸や甘味料など添加物・化学調味料を一切含まない「自然の味わい」を前面に訴求していく。
株式会社マツモト(松本紳吾社長)はこのほど、函館工場内入口ホールを改装し直売店「函館の昆布処 こぶ政」を開設した。10月15、16両日は「函館昆布まつり」と銘打ちオープンセールを開催。加工品中心に安く販売したほか試食も提供。とろろ(ピロー包装)やおしゃぶりのつかみ取りも用意、大いににぎわった。
道漁連と道こんぶ消費拡大協議会は17日、札幌市立手稲宮丘小学校で昆布に関する食育授業を開いた。同校5年生108人とその保護者16人が対象。だしの試飲でうま味の相乗効果を体感させるとともに、原藻や漁具、漁模様の映像を見せながら授業を展開、日本の食文化を支える昆布への関心を高めた。
えりも漁協のコンブ採りは10月7日現在大半の地区が終漁、全地区延べ採取日数は172日で昨年実績(137日)を上回る。ただ地区間格差があり庶野8日、目黒6日と苦戦の浜も。8月に台風で沖止めが続いたこともあり「生産は計画、昨年実績ともに下回る見通し」と同漁協。上物が少なく等級比率も落ちるという。