北海道の秋サケは日本海、道東などで終漁する漁場も出て日量が落ちてきている。今季実績は6万トン程度と昨年に続く不漁に変化はないが、渡島噴火湾ではピークを迎える11月中旬にまとまった水揚げを見せた。来遊資源が極端に4年魚に傾斜した中、終漁時期まで後期群の厚い噴火湾や道南で例年以上に伸びるのかが注目される。
オーストラリア・タスマニア州と、釧路・根室両管内を中心に北海道との水産加工産業交流を進めているジェトロ北海道は、同国の水産会社中心に視察団を招へいし、12日に札幌市、13日に釧路市で道内企業との情報・意見交換会を開いた。新たなビジネスの創出や企業連携の可能性などを探るとともに、オーストラリア側は、省力化・コスト低減や商品の品質向上などの面から道内企業が開発した加工機械・技術に関心を示した。
渡島噴火湾の今季加工貝(2年貝)は、6単協(長万部、八雲町、落部、森、砂原、鹿部漁協)とも大量へい死に悩まされる中、臨時の成育調査を行った森は2千~3千トンと一昨年並みに減産する見通しを示した。ほか5単協の出荷量も昨季を大きく下回る見込み。毎年年末から出荷を始める長万部では「成育次第だが開始時期は見通せない」という。
北海道の秋サケは、中期までの来遊数が2000万尾に達し、昨年の最終実績(1734万尾)を超えた。ただ、道総研さけます・内水面水産試験場によると、4年魚、5年魚とも漁期前予測を下回る状況。後期の来遊傾向から今シーズンの最終来遊数は前年比3割増の2300万~2400万尾、漁期前予測3137万尾の7割強にとどまる見通しで、3年連続の3000万尾割れとなる。
漁業情報サービスセンターがまとめた10月末現在のスルメイカ(生)水揚げ状況によると、稚内が前年同期を3割下回るものの1687トンを揚げ北海道では最も多い。
小樽市漁協の秋シャコ漁が不振だ。ナギ続きで巣穴から出ず、掛かりが悪いのに加え、フグやカワハギによる食害が追い打ちをかけている。着業者は「網を揚げても殻ばかり」と嘆く。
札幌市の食料品卸・株式会社エスワイエスウイング(依光博文社長)が商業施設「三井アウトレットパーク札幌北広島」に構える「北の漁師 羅臼」(越中谷克敏店長)は塩干品に特化した店づくり。メインの干物はGSK株式会社(大阪市、小屋敷一雄社長、電話06・4302・3470)の特殊冷風乾燥機で当日仕入れた旬の魚を加工し提供。コアなファンをつかんでいる。
湧別漁協は今シーズンから1年カキのブランド「漁師が恋した小さな牡蠣~COYSTER」の販売を本格化する。2年目の出荷を前に、10月28日には東京都で試食会を開催。一般客や飲食店関係者ら定員100人を上回る約120人が参加する盛況ぶり。ブランド浸透へ弾みを付けた。
昆布森漁協(後藤義勝組合長)所属の木下憲一さんは仙鳳趾カキに新たなブランド「元祖 ミルク牡蠣」をプロデュースし今季10月から殻付きカキの出荷を始めた。さらに11月からはむき身専用トップシールでも「ミルク牡蠣」を出荷する計画だ。
留萌管内で三陸向けの半成貝出荷が始まった。一部に1~2割ほどへい死している地区も見られるが、大半は例年並みのサイズに成長。11月頭から北るもい漁協苫前地区を皮切りに順次出荷している。ただ宮城県の水揚げ悪化に伴う危機的な経営状況から、数量は大幅に落ち込む。