岩手大学釜石キャンパス(岩手県釜石市)で学ぶ、同大農学部食料生産環境学科水産システム学コースの3、4年生が、地域との結びつきを強めている。2016年度に新設された同コース。地域の復興・活性化に取り組み、釜石に不可欠な存在として価値を高めている。市も学生主体のイベントに補助金を交付するなど支援。学生たちは交流を通じて浜の本音を聞き、課題の解決策を模索している。
商業捕鯨の再開に伴って水揚げの中心になったニタリクジラが、ミンククジラの人気を追い越しつつある。一方で北海道では依然としてミンクの引き合いが根強い。調査捕鯨の頃、生体研究の副産物として、主にミンクやイワシクジラが販売されていた名残でもあるが、捕鯨国内大手の共同船舶(株)はニタリの需要底上げに注力。特に北海道で普及させたいと力を込める。
北海道の秋サケは4万6千トン弱と、昨年に続き5万トン割れの凶漁となった。浜値は卵需要のメスを主体に高騰し、全道のキロ平均単価(11月末現在)は前年比2割高の657円に上昇。金額は約350億円まで回復したものの、浜間格差も大きく、資源動向の先行き不安は払しょくされないまま。一方、消流は今後の水揚げ回復時に向けた売り場の堅持が引き続き課題となる。
東日本大震災からの復興を目指し、岩手県釜石市で漁業支援に当たってきた釜援隊(釜石リージョナルコーディネーター)の齋藤孝信さんが、支援継続のため任意団体「漁(すなど)り舎」を設立した。釜援隊の活動は今年度で終了するが、市は地域活動の担い手をサポートする事業を12月下旬に始める計画。応援したい団体を指定して市にふるさと納税ができる制度だ。団体の認定に向け奔走中の齋藤さん。「釜石の豊かな海と水産物の魅力を広く発信したい。交流人口拡大のため多くの人に応援してもらえれば」と期待している。
近年、海洋汚染の主要因としてマイクロプラスチックの問題が注目されており、欧州に限らず多くの国々でプラスチックごみの削減に向けた規制強化が進んでいる。日本では、2019年6月に政府がプラスチック資源循環戦略を策定しており、同戦略に含まれる目標を達成する手段の一つとして、プラスチックのリサイクルの促進や、代替素材の導入が期待されている。SDGs(持続可能な開発目標)の姿勢がより普及した現在、日本はそのような目標に向け、食品容器包装の変革が必要不可欠となっている。
改正漁業法が12月1日に施行された。水産資源の減少で生産量や漁業者数が長期的に減少傾向にあることを受け、資源管理や漁業許可、免許制度など漁業生産に関する基本的制度を一体的に見直し、「資源の持続的活用」と「水産業の成長産業化」の両立を目指すのが狙い。ただ、既存の漁業者が従事してきた漁家経営への影響を危惧する声も少なくない。施行当日の1日には沿岸漁業者ら有志が東京都内に集まり、改正漁業法下の新たな資源管理がもたらす影響について考えるフォーラムが開かれた。漁業者の暮らしと漁協経営が守られる資源管理の在り方について意見を交わした。
様似町の丸富水産(株)(髙橋求幸社長、電話0146・36・3221)は、ボイル、ブランチングを主体に通年でタコの加工を手掛け、全国に販売している。特に近年は主力商材・秋サケの水揚げ低迷が続き、第二の柱を強化。町のふるさと納税返礼品など個人向けに調味付けも商品展開している。
捕鯨国内大手の共同船舶(株)(所英樹社長)は国産鯨肉の価格向上とアイスランドからの輸入再開を目指している。昨年7月に31年ぶりに再開した商業捕鯨で、水揚げの中心になったニタリクジラの需要の底上げに力を入れる。またアイスランド産(ナガスクジラ)の輸入元の三坂商事㈱と提携して、国内の流通量を年間5500トンと倍近くに押し上げたいとしている。
共同船舶は10月2日に都内でニタリクジラの商流や漁模様などを説明する勉強会を開いた。
歯舞漁協のロングセラー商品「はぼまい昆布しょうゆ」が今年、1990年の販売開始から節目となる30年を迎えた。誕生当時は漁協による商品開発が珍しい時代。地道な営業活動に加え、テレビCMや地域団体商標を取得するなどし、今では全国区のブランドとして存在感を発揮している。
落部漁協は今年、前浜に生息する「やせウニ」の駆除を実施、併せて身入り向上の実証試験に乗り出した。藻場への移殖放流のほか、北大大学院水産科学研究院が取り組むウニ用人工餌料の開発と連動し、かご養殖、陸上養殖の3手法を試行。新たな漁家収入の確立とコンブの食害防止を目指し、商品化の可能性、最適な養殖方法を検証する。将来的には漁業者主体の事業化を視野に入れている。