道総研食品加工研究センターは、道産魚醤油の普及拡大に向け、新製法を開発した。業務用の使い勝手を踏まえ、魚臭抑制にこうじを使用した従来製法より淡色・減塩化。加えて発酵期間の短縮で低コスト、高歩留まりで製造できるのが特長。
東京都の鮮魚店・北海道すなお水産(文京区本郷、電話03・5615・9706)は、開業した5年前から順調に売り上げを伸ばしている人気店だ。特に浜から取り寄せる商材は「一生懸命に付加価値を高めることに励んでいる生産者のものを選んでいる」と直接顔を合わさなければ見えてこない産地視察を重要視。店頭でもその努力を価格に乗せて販売している。
昆布森漁協の能登崇さんは、ナガコンブの頭を熟成し袋詰めした独自製品「黄金昆布」(100グラム)の本格生産・販売に向け着々と準備を進めている。昨年はコンブのあんじょうで使うコンテナや、伸し作業の効率化を図る専用機を導入。成分分析も実施した。「今後は販売方法などを詰めていきたい」と意欲を見せる。
湧別漁協直営店・オホーツク湧鮮館は、釧路市の株式会社近海食品と提携し前浜産クロガレイのレトルト食品「骨まで食べられるかれいの煮付け」を開発、販売開始した。若年層の魚離れが叫ばれる昨今、カレイの付加価値向上、魚価安改善を目指す新たな挑戦。阿部俊彦組合長は「食べやすく加工した湧別産の魚を多くの人に食べてもらいたい」と話し、昨年11月には町内小・中学校給食と福祉施設へ無償で提供した。町も「魚食普及に力を入れたい」とバックアップする構え。売れ行きは昨年末の販売開始からすこぶる好調だ。
一般社団法人北海道水産物荷主協会(会長・根田俊昭株式会社マルキチ社長)は昨年、「子ども食堂」と連携した魚食普及・食育事業を実施した。道産水産品を使った持ち帰り弁当の製作・提供と併せて食育パンフレットを作成・配布。「おいしかった」「また食べたい」など好評を博し、魚介類を食べる大切さの理解など成果を得た。
日本の水産・食品流通に変化と転換をもたらしたコロナ禍。大消費地の首都圏ではそのインパクトは大きく、流通・末端事業者は対策に迫られた。ただ、生産者が手掛けた水産品を消費者へ安心して届けたいという熱意は揺らがない。創業当初から変わらぬ強みを生かして業績を伸ばしたり、発想の転換で新規需要をつかんだりと現状の打破に挑んでいる。
高砂熱学工業株式会社(東京都、小島和人社長)は漁業者との関係を強化している。同社が手掛ける過冷却完全制御方式の海水シャーベットアイス製造装置「SIS-HF」を導入した漁協などに対して技術面はもちろん、それで得られた水産品の販促面でも精力的なサポートに乗り出している。
東京都の冷凍食品メーカー・株式会社カラミノフーズ(佐藤淳一社長、電話03・6302・0105)は、自社でレシピ開発した世界の料理を全国の製造業者に製造委託し、商品化するノンファクトリーメーカー。主に生協などの宅配・通販向けに販売し、近年の冷食需要増大で業績が急伸長している。ただ、9割以上が肉料理で、魚料理の充実に向け、原料供給、委託製造業者を探している。
北海道の秋サケは約4万8千トンと、3年連続の5万トン割れとなった。親、卵ともヒネ在庫の払底下、凶漁と競合する輸入鮭鱒の高値相場などで全道のキロ平均単価(11月末現在)は前年比2割高の788円に上昇し、水揚金額は3年ぶりに400億円を超えた。ただ、えりも以西を中心に特に太平洋側の来遊低迷が続き、浜間格差が一層深刻化。一方、消流は三陸の不振も相まって国産の品不足感が強まっているものの、価格上昇による消費鈍化や輸入鮭鱒の動向次第で停滞も懸念される。
カネヨ山野辺水産株式会社(宮城県塩竈市、山野辺文幹社長、電話022・366・0171)は、末端消費者向けの商品ラインアップを強化する。自社ブランドの確立が狙いで、今夏に漬け魚と干物を発売。来春にはミールキットと煮魚を投入する。原料から製法まで品質にこだわった冷凍食品をPR。新型コロナウイルス禍に伴う巣ごもり需要の取り込みも目指す。