「健康にいい」「栄養価が高い」などのプラスイメージの一方、「骨があって食べにくい」「生臭い」などの理由から年齢層問わず国民全体に進む「魚離れ」。その消費者嗜好(しこう)を踏まえ、魚食向上に貢献する水産食品の創出を目指し、食品加工研究センターを中心に道総研が開発したのが一夜干しレトルト製法。「こつぱくっと」と名付け、ニシンを皮切りに商品化魚種の拡大に臨んでいる。
ウニやワカメの加工・卸売などを手掛ける株式会社ひろの屋(岩手県洋野町、電話0194・65・2408)。今年5月に創業10年を迎える若い会社だが、中小企業庁の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選出されるなど未来を見据えた事業展開が注目を集めている。磯焼け対策の一環で取り組む、配合飼料を活用したウニの養殖技術開発もその一つ。社長の下苧坪(したうつぼ)之典さん(39)は「海の恵みと美しさを次世代に引き継いでいくことが、水産業に携わる者に課せられた使命だ」と熱く語る。
宮城県石巻市の水産加工・有限会社マルセ秋山商店(秋山英輝社長、電話0225・24・0822)は、放射光を活用した冷凍食品の研究開発に取り組んでいる。超高性能の巨大な「顕微鏡」で水産物の身質などを調べ、筋繊維の向きなどから凍結方法を選択。消費期限や鮮度、品質の向上につなげている。秋山繁専務は「おいしさを客観的に可視化したい」と話す。マグロやカキなどに合った凍結方法を3月に公表する予定だ。
カキやホヤ、ムール貝などの生産から加工・販売はじめ、オイスターバーの経営まで手掛ける株式会社海遊(宮城県石巻市雄勝町、電話0225・25・6851)。「生産者が食品衛生やリスク管理まで責任を持つことが大事。消費者も、作り手の顔が見える安全・安心を求めているはずだ」。自らもカキ養殖を行う社長の伊藤浩光さん(58)は、6次産業化を推進する理由をこう明かす。所得向上や雇用創出も生み出す「強い漁業」を目指す。
函館空港ビルデング株式会社は、地域振興・発展に貢献することを経営ビジョンに掲げ、道南産水産物の魅力発信に注力している。空港内の土産店では、地元漁業者や加工メーカーがつくる各種水産品を積極販売するほか、がごめ昆布を使った自社製品も展開する。直営レストランでは昆布やマグロを取り入れたメニューが並ぶ。また、近年世界的に深刻化が指摘される「海洋プラスチック問題」を受け、紙製のストローに切り替えたりパネル展を開くなど「脱プラ」にも取り組む。
北海道の秋サケは4万5000トンと、40年ぶりに5万トンを切る大不漁となった。魚価も一昨年の異常高騰の影響などで昨年比2%安と伸び悩んで金額は300億円割れ。定置や漁協の経営、増殖事業の運営を直撃し、資源動向の先行き不安が増している。一方、消流は生鮮主導となり、親子とも製品の生産量は低水準。売り場は輸入品主体の動きで、供給不安からさらに縮小が進む状況も懸念され、引き続き販路確保が大命題となる。
ライフスタイルの多様化に伴い、食を取り巻く環境は日々変化を遂げている。その変化への対応は製造工程や包装形態でも求められており、食品メーカーや機械・資材メーカーの不断の努力により、「商品」となって消費者の前に反映される。その誕生は、おいしいことを前提に、消費期限の延長や食品ロスの削減など諸課題と向き合った成果でもある。
青森県漁連(三津谷廣明会長)が昨年10月から青森市港町2丁目に建設を進めてきた県水産物の流通拠点施設「JF青森漁連流通PRセンター」が完成した。最新の急速凍結技術「プロトン凍結」を用いて年中出荷できる高品質な冷凍加工品を作り、漁業者の所得向上につなげる。市民らが気軽に来場できる販売スペースも設けた。14日にオープニングフェアが開催される。
根室市のカネ共三友冷蔵(株)(石田一志社長、電話0153・23・5261)は今年、急速凍結の新技術「3D冷凍」で、近年前浜で水揚げが増加傾向のマイワシ、主力魚種・サンマの高付加価値化に乗り出した。生食も可能な高品質冷凍を前面に回転ずしなど新たな販路獲得につなげている。
髙橋工業(株)は3日、社名を「タカハシガリレイ株式会社」に変更した。これに先立つ11月29日、60周年記念祝賀会を新社屋となるガリレイグループ新本社ビル(大阪市西淀川区)で行った。60周年、新社屋、新社名。3つの節目の発表の場となった祝賀会には、同社の主力製品トンネルフリーザーのユーザーである日本を代表する食品メーカーら取引先が多数出席し、新たな門出を祝った。