青森県陸奥湾の半成貝出荷が始まり、関係者はベビーの順調な荷動きに期待感を強めている。先行するチルドは量販店中心に引き合いが多く、冷凍は「噴火湾のボイルが減産で高値維持ならば、昨年の価格帯でも吸い込みそう」と卸業者。ただ「オホーツクの増産で玉冷価格が昨年以下となれば動きは鈍くなる」と警戒。ベビー原料も確実に増産するため、今後の浜値の推移や玉冷の価格帯に注目が集まっている。
青森県陸奥湾で半成貝の水揚げが始まった。成育は全湾的に順調で特に西湾は大型の傾向。後潟漁協や青森市漁協奥内では10キロ当たり200枚以下の良型サイズ。ウロ取りボイルの平均歩留まりは過去10年平均より0.7ポイント高い23.5%となった。このため西湾中心に水揚げを早める漁業者が増えており、4月前半は前年同期よりも圧倒的に多い5720トンの上場が予定されている。
米国の2019年度水揚げ計画は、生玉換算で2万8000トン程度が見込まれている。18年度に続き高水準となるため、玉冷輸出の期待度は薄い。今年のオホーツクも小型傾向で増産となれば、引き続き内販重視の展開が予想され、シーズン初めの価格形成が消流を左右する最大のポイントになりそうだ。
青森県陸奥湾の2019年度ホタテ水揚げ計画(案)について、県漁連は7万3千トンを見込んでいる。このうち成育の順調な半成貝は4万8千トンで、18年度計画より3千トン多く試算。4月1日から出荷される見通し。3月28日には第1回半成貝入札を予定しており、その価格帯に注目が集まっている。
いぶり噴火湾漁協の耳づり作業は、3月中旬から始める漁家が増えそうだ。加工貝(2年貝)の減産で終漁が早まったことに加え遅い耳づりの生存率が低いため。今年の稚貝も成育不良が目立ち「本数は昨年より少なくなる」と、着業者は気をもんでいる。
古宇郡漁協の漁業者グループ8人が取り組むホタテ養殖が実働3季目に入った。今季は昨年12月から今年2月末までに計4回、28トンの半成貝を活魚車で韓国に活出荷した。浜値はキロ250円前後を付けた。来季の4季目は将来の完全養殖を見据え、稚貝生産に乗り出す。
ホタテ玉冷の2019年度消流は、国内で順調に消化された18年度と同様、内販に軸足を置いた展開となりそうだ。大幅に回復した米国の水揚げは18年度並みかそれ以上とみられ、オホーツクも増産・小型予想のため。新シーズン目前の消費地では、製品価格の下方修正に期待感が強く、末端消費に勢いを付けた昨年の価格帯を望む声が大半を占める。
毎年3月に行う砂原漁協のホタテけた引が中止となった。養殖と同様に天然貝も大量へい死が発生したため。漁獲対象外のサイズも死滅しており来年の水揚げにも影響が出そうだ。
宮城県のホタテ水揚げは本年度が2750トン前後となり、4月からの来年度は3700トン程度と見込まれる。東日本大震災後に約8500トンまで回復したが、大減産が3年続く。主力の半成貝養殖でへい死率が高まり、昨秋は20人が移入を見合わせた。来年度は、昨年のまひ性貝毒規制長期化から前倒しの出荷が望まれるが、これまで成育は全般的に遅れ気味。
今春に耳づりする渡島噴火湾の稚貝は、各漁協とも成育不良が目立っている。正常貝は「例年以下」と話す着業者が多く、その割合は5~6割と示唆。一方で垂下する本数は「昨年並みか多少減る程度」との声も聞かれる。近年は遅い時期の耳づりほど生存率が低いため、作業を早めた着業者も多い。