南太平洋・トンガ沖の海底火山噴火に伴う津波の影響で、三陸沿岸の漁業にも被害が相次いでいる。岩手県でカキ養殖用いかだや定置網の破損が確認され、宮城県では松島湾のワカメ養殖施設の約8割が被害を受けた。海況が悪く、調査が進んでいない地域もある。両県によると、船の流出や人的被害は報告されていない。
全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま、東京都)によると、2021年のサンマ水揚量は岩手が前年比62%減の2852トン、宮城が同64%減の3459トンだった。両県とも記録的な不漁が続き、3年連続で過去最低を更新。浜値(平均単価)は大船渡がキロ691円を付けるなど、前年の1.5倍に高騰した。
一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン(FJ、宮城県石巻市、阿部勝太代表理事、電話0225・98・7071)は、市内水産加工会社社長の「右腕」になる経営人材を異分野から採用する「SeaEO(シーイーオー)プロジェクト」を開始した。斬新なアイデアや新規事業の創出などを図り、業界の持続的な成長につなげていく。
株式会社泰興商事(岩手県大船渡市、町田健司社長)のフィッシュソーセージ専用工場であるサンリクフーズ(宮城県気仙沼市)の冷凍自動倉庫が昨年12月20日付で農林水産省「EU向け輸出水産食品取扱認定施設」の「原料・製品保管倉庫」の認証を取得した。宮城県では初。これまでHACCPやハラルなど食品製造に関わる国際認証を取得しており、今回の保管機能の取得も加わることで、海外展開に弾みをつけていく。
中国で高級食材として需要が高いナマコの種苗生産に、宮城県漁協石巻市東部支所の若手漁業者が成功した。コストをかけず、漁業者でも実践できる簡易な飼育管理方法を模索。高水温対策や餌となる植物プランクトンの培養などに励み、陸上水槽で育てた稚ナマコ約1600個を放流した。今後、安定した生産体制の確立を急ぐ。資源の維持・増大を図り、冬場の収入源確保を目指す。
めかぶ加工・販売の有限会社丸繁商店(宮城県気仙沼市、小野寺繁雄社長、電話0226・23・4941)は新商品「10秒deおいしいめかぶ」を発売した。スライスした宮城産を厚さ5ミリの板状に凍結。冷凍庫の隙間に収まり、解凍が簡単で包装のプラスチック使用量も減らせるのが特長。コロナ禍で免疫細胞の集まる腸内環境に関心が高まる中、食物繊維が豊富で「腸活」に最適なめかぶを、より手軽に毎日の食卓に取り入れてもらう。
漁業の6次化を推進する株式会社海遊(宮城県石巻市雄勝町、伊藤浩光社長、電話0225・25・6851)は、サステイナブル(持続可能な)食材として注目が集まるムール貝(ムラサキイガイ)の拡販に力を入れる。今年春にワイン蒸しなど加工品3品を投入。認知度の向上を図るとともに、高付加価値化により収益力のアップを目指す。
秋サケ製品の消流は、ヒネ在庫の払底や水揚げ不振などから、親、卵とも、供給量は引き続き低水準。ただ、高値形成に加え、競合する海外鮭鱒の搬入増加が見込まれ、道漁連は新漁までの在庫の適正化と売り場の確保を重点に各種対策を講じていく。
水産加工の株式会社ケーエスフーズ(宮城県南三陸町、西條盛美社長、電話0226・46・8111)はウニ、ナマコの陸上養殖(蓄養)事業に着手した。地元漁業者が磯焼け対策で間引きした痩せウニを買い取り、歩留まりをアップさせて出荷するとともに放流用稚ナマコの育成なども手掛ける計画。先進的なIoT(モノのインターネット)技術を取り入れ、作業効率化や安定生産を実現しながら地域の漁業振興に貢献していく。
カネヨ山野辺水産株式会社(宮城県塩竈市、山野辺文幹社長、電話022・366・0171)は、末端消費者向けの商品ラインアップを強化する。自社ブランドの確立が狙いで、今夏に漬け魚と干物を発売。来春にはミールキットと煮魚を投入する。原料から製法まで品質にこだわった冷凍食品をPR。新型コロナウイルス禍に伴う巣ごもり需要の取り込みも目指す。