約8万トン、3千万尾に水揚げが急回復した北海道の秋サケ。越年在庫が低位、輸入物の高値基調などを背景に全道のキロ平均単価(11月20日現在)が前年比1割安の704円と魚価も堅調で、水揚金額は600億円に伸長した。ただ、各海域とも昨年を上回ったものの、太平洋側は依然低水準。背面処理能力の低下もあらためて浮き彫りとなった。一方、消流は親、卵とも供給急増下で高止まり。年末需要期の消費促進、来季に向けて売り場の拡大、在庫の適正化が焦点となる。
子孫繁栄の縁起物など日本の食文化「数の子」。正月以外の消費機会創出、次世代への継承などの課題を抱える中、ブランドメーカー・留萌市の井原水産株式会社(勝田恵介社長、電話0164・43・0001)は、機能性で「健康数の子」、日常食化で「カズチー」を購買を促す“宣伝役”に訴求。食習慣の再興に挑んでいる。
白糠漁協のシシャモは11月23日に終漁、数量は過去最低に終わった昨年を56%上回る50.6トンに伸ばした。キロ平均単価も過去最高値だった昨年を10%下回ったものの4199円と高値を維持、金額は40%増の2億1266万円と6年ぶりに2億円を超えた。
ひやま漁協乙部支所ナマコ協議会の加工部門は来年2月にも、延縄で漁獲される前浜産スケソの卵を使った塩たらこ製品を、乙部町内の売店で地元住民向けに売り出す。また、新たな加工場も近く完成し、早ければ1月中にも稼働する見通し。
噴火湾で10月からマボヤの水揚げが進んでいる。仕向けは全量、韓国輸出。成育は安定しており1軒当たり1回に2~8トン前後、年間40~60トンの水揚げ。一方生産者はじめ関係者は、来年の福島第一原発ALPS処理水放出後における流通環境に大きな不安を抱いている。
南かやべ漁協の木直・尾札部両地区が主力の2年養殖は、生育不良でコンブがほとんど付いていない施設も多く、来夏大幅な減産を見込む着業者もいる。木直地区の着業者は「全般的に生育状況が悪く9割は死んだ。水温が影響したのではないか」と話す。わずかに残った箇所も長さが短く生育は不十分。「本来今時期は生育良好な種コンブを選びのれんに挟み込む作業を行うが、今のところ使えるコンブがほぼない」と状況を説明。「今後どれだけ成長するか様子を見て良ければのれんに付ける」と考えを示す。
野付尾岱沼の根室管内5単協(歯舞・根室・根室湾中部・別海・野付漁協)共同海区が1日にスタートした。29号巽沖造成(16隻)が日産100トン、29号外海造成(11隻)が同20トンペース。浜値はそれぞれキロ500円台、300円台と昨年より2~4割高で推移している。
カニの主力商材・タラバとズワイをめぐる消流は、ロシア産の輸入環境の変化や品薄高値の市況下で仕入れた昨シーズン産の在庫消化を優先する動きなどが複雑に絡み合い不透明感が増している。ここ2年ほど国内需要の伸長でズワイ、タラバの国際市況をけん引した米国は、ロシアのウクライナ侵攻を契機にロシア産を禁輸。船凍ボイル品の一大仕向け先の喪失で、今シーズン産の先安観が広がり、昨年仕入れた在庫の「投げ売り」も散見されている。水産商社や加工業者は「早期に在庫を消化し、マーケットを安定化させたい」などと吐露する。
函館市漁協の函館サーモン養殖部会は11月下旬、トラウトサーモン(ニジマス)のブランド「函館サーモン」2期目の海面養殖を函館漁港で開始した。港内に設置したいけす3基に合計5千尾の幼魚を投入、2023年5月下旬から7月上旬の期間で約15トンの水揚げを目指す。
道南白口浜の一部で、養成綱に挟み込んだ促成種苗が損傷したり抜け落ちる被害が今年も発生している。被害が目立つ川汲地区ではホッケなどの食害が要因とみており、種を差し直して回復を図る着業者もいる。また、雑海藻が養成綱などに大量に付着し種苗の生育が芳しくない場所もある。