いぶり中央漁協のスケソ刺網は1月下旬以降に下火傾向を示しているが、昨年末ごろに水揚げに恵まれるなど昨季を上回る漁模様で推移している。水子や放卵が多くスケ子のピークは過ぎたが、日量が落ちて浜値は上昇し、高値で100円超を付ける日も。加工業者は「最後まで高値が続くのでは」と今後の相場動向を見通す。
道水産林務部が発表した2022年の道内漁業生産状況(速報)によると、金額は前年比23%増の3182億円。ホタテが中国を中心に海外需要で価格が上昇したほか、サケの漁獲増などがけん引し、15年以来7年ぶりに3千億円の大台を超えた。
えさん漁協尻岸内地区ほっけ刺網部会のブランド「海峡根ボッケ バキバキ」の秋漁(11~12月)は徐々に水揚げが上向き、ピーク時は日量で約100箱に達する好漁船もあった。幸栄丸で操業する髙島信幸部会長は「値段も前年を上回り商売になった。秋漁がこれだけ良かったのは久しぶり」と笑顔を見せる。
標津漁協の刺網、底建網でスケソが好漁している。1月の水揚量は全体で1907トンと前年同期比11倍に伸長。刺網着業者は「十数年ぶりの豊漁。例年だと切れる時期に入っているが新しいスケソに切り替わった。卵の状態は真子に近い」と驚いている。
オホーツク海沿岸の2023年ホタテ水揚げ計画は、北部、南部合わせた12単協で前年実績比6%減の30万6300トンとなった。枝幸、佐呂間、常呂、網走、西網走の5単協が前年実績を上回る計画量を設定している。一方、同計画対比でみると6%増、1万6700トンの増加。常呂では前年計画より1万トンほど多く試算している。
近年、増加傾向にある北海道産のマフグを全国に売り込む画期的なプロジェクトが始まった。原料を提供する湧別漁協、それを加工するまるみ水産グループ・の印大吉水産(札幌市)、企画・販売に携わる株式会社感動いちば(札幌市)の3者が連携し、道産原料で道内加工・販売にこだわった「真ふぐ一夜干し」が誕生。オール北海道で商品化した付加価値を武器に、関係者一同、「多くの方に感動を届けたい」と意気込む。25日からクラウドファンディング(CF)で先行受付を開始した。
戸井漁協東戸井地区でミツイシ養殖に着業する芳賀浩平さんは今季、施設全6基に成熟誘導(人工的に子のう斑を形成させる技術)を用い生産された種苗を種付け、これまで順調に生育している。また、幹綱に農業用灌水チューブ(ポリエチレン製)=写真=を取り付ける独自の雑海藻対策も効果を発揮、一時大量付着した「アカグサ」もきれいに落ち、コンブの生育にとって良好な施設環境を維持している。
噴火湾の今季(2022年10月~23年5月)加工貝水揚げ計画(水産新聞社調べ)は、7単協(いぶり噴火湾・長万部・八雲町・落部・森・砂原・鹿部漁協)合わせ昨季実績比12%減の4万9700トンとなった。いぶり噴火湾、八雲町を除く5単協が減産見通し。今季の成長度は例年より鈍く小ぶりで、耳づり1本当たりの歩留まりが低い傾向とみられる。
えさん漁協のマダラ一本釣りは年明けに好転、各船好漁に恵まれている。痩せ形の「戻りタラ」中心だが、日量が1をトン超える船もある。着業者は「正月前は全く釣れなかった。この後も続いてくれれば」と漁継続に期待する。
東京都・豊洲市場で1月中旬から道南産のサクラマスの入荷が始まった。例年よりも早く、仲卸業者は「近年は漁期が早まっていると感じていたが、それでも今年は早い」と驚く。ただ、1月は鮮魚の引き合いが弱く、「釣り物でサイズも大きいが卸値は安い」と明かす。