道総研稚内・網走両水産試験場は、海藻類の陸上養殖技術の開発と生産モデルの構築に向けた取り組みを進めている。道産のアオサ類や寒天原藻(テングサ類やオゴノリ類)などを対象に、生産コストを低減させる手法や効率的な育成条件を検討するほか、高付加価値化を図るため有機種苗生産技術の開発にも注力。道産海藻の知名度向上と利用拡大を目指す。
えさん漁協椴法華地区のホッケ刺網春漁は水揚げが堅調に推移している。寿孝丸で操業する川口孝秀ほっけ刺網部会長は「まずまずの漁模様。連休明けも切れずに獲れている」と話す。一方浜値は安く、中サイズでキロ100円台に付いている。
水産物卸売・水産加工を手掛ける旭川市のくまだ株式会社(熊田泰也社長、電話0166・47・1310)は、新たな商品開発に乗り出す。コロナ禍の影響で当初計画より期間を有した外食部門の新店舗出店が昨年完了し、製造部門の展開を強化。3月に液体急速凍結機も新規導入し、生食用や加熱調理済みなど従来手掛けていないカテゴリーで取引先などのニーズを踏まえて打ち出していく。
後志以北の日本海沿岸ニシンは、道の集計によると、4月末現在で前年同期比9%減の4592トンとなり、2年連続で4千トンを超えている。4月以降の主産地である留萌管内は10%増の1436トンと伸びている。
北海道のコンブ漁は道南の養殖や道東のさお前を皮切りに始まり徐々に本格化、夏場に最盛期を迎える。生産量を示す道水産物検査協会の格付実績は昨年度、渡島と釧路、根室の主要3地区が過去最低に低迷、道内全体で1万970トンに落ち込み4年連続で最低を更新した。流氷被害や天候不順といった自然環境だけでなく着業者数の減少も減産要因の一つに挙げられ、増産対策と併せ担い手対策も喫緊の課題となっている。
海洋土木が主力の株式会社菅原組(函館市、菅原修社長、電話0138・44・3710)は、創業地の松前町でコンブ養殖事業も手掛けている。新規就業者も募り昨年と今年で3人が加入。同事業を長年支えてきた先輩漁業者の指導の下、新たな担い手として人材育成に努めている。全道的にコンブ着業者数が減少し生産低迷が続く中、地域のコンブ産業を守り次世代へとつなげていく。
コンブ漁場の維持・回復で重要な取り組みの一つが雑海藻の駆除。民間業者による機械式のほか漁業者が自ら行う駆除もあり、道内各地でさまざまな手法で実施、コンブ胞子の岩盤への着生環境を整備している。
標津漁協のニシンが好調だ。今年は小定置網と底建網で昨年より1週間程度早い3月下旬から獲れだし、4月22日現在の漁獲量は前年同期比49%増の2647トンと伸長している。浮き沈みが大きい操業が続いているが、良型も交ざり、着業者からは「まだ漁が続くのでは」と今後の増産を期待する声も上がっている。
枝幸漁協のホタテけた引自営船「第十八えさし丸」が竣工した。村上鉄工所のえさし丸建造は2018年以降4隻目。おもてブリッジ構造の採用で中央部の甲板スペースを拡大。サイドスラスターは船首尾に搭載し安全と機能性に配慮した最新鋭の新造船が誕生した。近く漁場造成に入る予定で、本操業から本格的な水揚げを開始する。
紋別漁協のホッキ資源に回復の兆しが見えてきた。1隻平均100~150キロと上々の水揚げ。混獲のエゾバカガイは引き続き潤沢だ。鍋島智嘉ほっき部会長は「数量が安定してきた」と話し、昨年までの不安定な漁模様から好転への手応えを感じている。一方浜値はホッキが昨年並み、エゾバカガイは強含み。