定置網などに入ってもサイズが小さ過ぎたり、なじみがなかったりなど需要が乏しく、流通に乗らない、また価格評価が低い「未・低利用魚」。命や経費をかけて沖に出る漁業者の思いを組んで有効活用の仕組みづくりが函館市で芽生えている。コロナ禍の苦境打開への模索も相まって異業種が呼応。食習慣の形成や漁獲魚種の変化に対応した商品開発など新たな水産物流通の創造に知恵を絞っている。
北海道日本海沿岸などのイカ釣漁で、クロマグロの来遊増が要因とされるイカの漁獲減や漁具被害に歯止めが掛からない。道水産林務部では2021年漁期を皮切りに漁業者対象の被害実態調査に着手し対策を進めるが、決め手を欠く。道の調査(2カ年)によると、漁具・漁獲物の被害額は合計1億8711万円。ただ報告件数が限られ、着業者は「調査結果が提出された分の被害額だけ。ほんの一部に過ぎない」との見方を示す。
いぶり中央漁協のかご漁はエビが昨年を上回る水準で推移している。5月29日現在でナンバンは前年同月比2.2倍の5.4トン、ボタンは2.1倍の1.7トンと増えている。3月にスタート。金額はナンバンが1.8倍の654万円、ボタンが1.9倍の819万円と伸びている。キロ平均単価はナンバンが18%安の1219円、ボタンが12%安の4807円。着業者からは市況の下振れを憂慮する声が上がった。
枝幸漁協のミズダコ漁が振るわない。いさり樽流しは多い着業者で日量200キロと前年同期の3~4割程度まで減少。100キロに満たない着業者も多く苦戦している。薄漁を映し浜値はキロ1400円台を付け、序盤から4桁と高騰。昨年も高値基調だったが、今年は約6割高で推移している。阿部克彦タコ部会長は「昨年の秋漁が薄く覚悟はしていた。値段に助けられている」と話す。
釧路市漁協のツブかご漁はシケに阻まれ出漁日数が伸び悩んでいる。日量は船間差があるものの、おおむね堅調。価格は真ツブが好値を付けている。三日市智央釧路つぶ籠漁業部会長は「沖数が少ない中、価格が良く助かっている」と話す。
オホーツク海沿岸の本操業が6月から本格的にスタートした。北部は猿払村が日産400トン、宗谷が380トン前後の水揚げ。歩留まりは各地上がっており、5月時点ですでに10%を超えている状況。アソートは3S中心の地域も出始めており、昨年に続き3S前後が中心サイズとなるもよう。浜値はキロ100円台中盤から後半と好値を付けている。
ホタテの新物商戦を展望する一般社団法人北海道水産物荷主協会(根田俊昭会長)主催の第29回全国ホタテ大手荷受・荷主取引懇談会が23日、京王プラザホテル札幌で4年ぶりに開催された。昨年並みの供給量が見込まれる冷凍ボイルは玉冷やベビーの製品高を背景に順調な消化が期待される一方、玉冷は米国の景気後退に加え福島第一原発処理水放出後の輸出環境に不安感が強く、内販強化を見据えた価格修正を望む意見が示された。
刺身、すし種をはじめ和洋中さまざまな料理に使われ、人気素材のエビ。世界各地で養殖も盛んに行われ、市場は緩やかな成長が見込まれている。天然の北海道産は2016年以降減産傾向を示し、資源回復が懸案の様相だが、量販店や飲食店などの集客商材として需要は健在。各浜では資源保護、鮮度・衛生管理などに注力している。
ひやま漁協上ノ国地区のホッケ刺網は、順調な漁模様で推移している。日量400~500キロを水揚げ。着業する市山智敏さんは5月10日に開始し、「ハシリからまずまず」と話す。石崎漁港を拠点に操業。11月末まで漁を行う。市山さんは「本来なら5月はそれほど多くホッケが掛からない」と説明。「水温は13度と低いが、来遊が例年に比べ早い」と続ける。
えさん漁協尻岸内地区で25日、養殖ミツイシの収穫が始まった。今後最盛期に向けて徐々に実入りが向上していく。佐藤光行昆布養殖部会長は「初日に揚げた分の実入りは悪くなかった。まだハシリ。さらに生育が進むよう、天気に恵まれることを期待したい」と話す。