自治体のふるさと納税支援などを手掛ける株式会社イミュー(東京都、黒田康平社長)と白糠漁協(山田明組合長)は、前浜で急増しているブリの船上活じめ(放血)などで価値を高める取り組みで生み出したブランド「極寒ぶり」の進化に乗り出した。生食できる鮮度の長期保持を図るための新蓄養技術を導入。専用施設を新設し、9月から実証試験を始めた。料理人の調理意欲などに刺さる出荷商品を確立、飲食店などの販路拡大を進めて白糠産ブリの需要・認知向上を目指す。鮮度保持蓄養施設は、鮮度保持技術の開発・指導などを行う釧路市の株式会社リバーサー(松田英照社長)が開発した「低活性活かし込み技術」を応用。海水より塩分を低濃度などに調節した蓄養水で数日間安静飼育し、漁獲によるストレスなどを回復(実証試験中)。さらに餌を与えずに断食飼育することで胃の中を空にし、酸化を遅らせる(実証済み)。
東京都・豊洲市場の利尻島産活ヒラメの消流は荷動きが活発化する需要期に入る。肉厚になり、歩留まりは向上。相場は落ち着いており、脂乗りに期待が高まっている。8月末ごろから入荷を開始。中心サイズは1~2キロほど。卸業者は「腹側が真っ白な天然物で顧客に勧めやすい」と水槽から出して説明。「先行して仕入れている同業者からは『エンガワの脂の乗りはまだ先になる』と聞いている。これから北上したイワシをたくさん捕食するようになれば脂身も増えてくる」と期待する。
株式会社ライフコーポレーションは14~16日、首都圏のスーパーマーケット「ライフ」店舗で道産品を販促するフェア「北海道うまいもの巡り」を実施した。銘菓やご当地品を取りそろえたほか、水産や青果、精肉、総菜売り場、ベーカリーなどでもそれぞれ道産品を用意し、食品フロアは文字通り“北海道一色”となる3日間を演出した。
近畿大学水産研究所奄美実験場(鹿児島県瀬戸内町)は絶滅危惧種とされているタマカイ(ハタ科)の9歳魚を親として約23万尾の人工ふ化に成功した。国内では2例目だが、奄美海域では初。熱帯性である同種の繁殖としては最も高緯度海域での成功例となり、高水温に適し、成長が早いなど陸上養殖の優良品種として評価されている交雑魚「クエタマ」を持続的に生産できる可能性も見えてきた。
東京都・豊洲市場のサンマ消流は商戦スタート時の勢いが失速してきている。組成の小型化で商品価値が低下。仲卸業者は「9月中旬から2キロ箱18尾などが増え、14尾より大きいものは入ってこない」と、販売戦略を再検討している。9日時点の入荷はやや大型に分類される2キロ箱15尾の卸値がキロ3千円。同商材を仕入れている仲卸は「当初の2800~2700円のものが上昇した。15尾は当社では飲食店向けだが、量販店向けの4キロ箱や2キロ箱16~18尾も相場が上がっている。今期は例年と違って、最初はまとまった数量で入荷して安かったが、最近は上げ相場」と話す。
株式会社シーフードレガシーと『日経ESG』(株式会社日経BP発行)は10月8~10日、「東京サステナブルシーフード・サミット2024」(TSSS2024)を東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催する。「サステナブルシーフードを水産流通の主流に」をテーマに、持続可能な水産業を実現するための道筋を考える。公式サイトでは、参加者の事前申し込みを受け付けている。
農林水産省がこのほど公表した「2023年漁業センサス」では、全国の海面漁業の漁業経営体数は、前回調査(18年)比17.0%減の6万5652経営体(23年11月1日時点)。このうち海面養殖業を営む漁業経営体数は12.8%減の1万2164経営体で、漁業経営体全体よりも減少幅が小さくなった。今回の調査では新たに海外向けの出荷(輸出)金額の割合や水産エコラベル認証の取得状況、漁業共済への加入状況についても調査し、その結果を明らかにした。
株式会社NTTアグリテクノロジー(東京都)の小林弘高マーケティング統括本部長は8月29日、岩手大釜石キャンパスで「完全閉鎖循環式陸上養殖の課題と展望」と題して講演した。通信回線でつながる水質センサーやネットワークカメラなどのIoT機器を駆使し、福島市で実証実験を行うベニザケの陸上養殖について解説。「技術を組み合わせて新たなものを生み出すには、さまざまな分野を飛び越えて取り組むことが重要」と説いた。
NECネッツエスアイグループが陸上養殖する「天然水サーモン」の販売が8月下旬に大手通販サイト「Amazon」で始まった。同グループのICT技術、株式会社林養魚場の養殖技術を組み合わせた完全無投薬・アニサキスフリーの商材。2日には千葉県市川市の鮮魚店「サカナタベタイ」でも店頭販売を開始。同じ生産方法で先行販売している別名の商品ブランド「JAPAN SALMON」と並んで好評を得ている。
8月27日に東京都内のホテルで開かれた「道ぎょれん会」の秋季取引懇談会で、秋サケ製品に関する分科会では、減産予測下も冷静に水揚げ動向など適正価格を見極め、通年商材としても末端の需要に応えられる製品流通に努めていく必要性を共有した。道漁連の役員や担当職員、道内企業の関東担当部署、首都圏の商社、卸業者らが意見を交わした。